幕末維新期の米国留学 横井左平太の海軍修学
価格:7,150円 (消費税:650円)
ISBN978-4-7664-2250-4 C3021
奥付の初版発行年月:2015年08月 / 発売日:2015年08月下旬
▼漢学から英学への飛躍、海軍への関心、異国の人々との交流――。
横井小楠の甥・左平太の留学生活と生涯を通して、黎明期の近代日本を描き出す。
本書は、肥後藩士で幕末の思想家として知られる横井小楠の甥・左平太の生涯を、史実に即して描きだすものである。彼は、幕末期に弟の大平とともにアメリカに渡り、さらに維新期にも法制官僚としての使命を帯びて単身再渡米。欧米の軍事技術や法制を身につけ、日本の独立に寄与しようと奮闘した。小楠のもとでの学問と政治的な原体験、アメリカでの詳細な修学状況、肥後藩士や恩師・勝海舟らとの交流を新たな史料に基づいて実証的に追究し、近代黎明期における日本人留学生の実態を明らかにする。
高木 不二(タカギ フジ)
大妻女子大学短期大学部名誉教授。博士(史学)。
1949年生まれ。1982年、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。慶應義塾高等学校教諭をへて、1993年、大妻女子大学短期大学部助教授。2001年、同教授。2014年、定年退職。
主要業績として、『横井小楠と松平春嶽』(吉川弘文館、2005年)、『日本近世社会と明治維新』(有志舎、2009年)、『明治維新の新視角 薩摩からの発信』(共著、明治維新史学会編、高城書房、2001年)、『明治維新史研究の今を問う 新たな歴史像を求めて』(共著、明治維新史学会編、有志舎、2011年)などがある。
目次
はじめに
第一章 横井左平太の訓育
1 横井左平太をめぐる俗説
(1) 横井左平太の名前について
(2) 横井左平太の履歴について
2 横井左平太の学び
(1) 父時明の死と横井家の境遇
(2) 養父小楠による教育の開始
(3) 視野の広がり
(4) 政治への関わり
第二章 横井左平太・大平の修業
1 神戸行き
2 長崎にて
(1) 英語の学習
(2) 長崎における横井兄弟の写真
3 長崎出航
第三章 横井左平太・大平とアメリカ
1 ニューヨークからニューブランズウィックへ
2 ニューブランズウィックにて
3 ラトガースカレッジ・グラマースクールの沿革
4 グラマースクールの規約と修学課程
5 手紙からみる学生生活
6 アナポリスへ
7 日本人留学生の経済事情
第四章 日下部太郎について
1 渡米までの日下部太郎について
2 ラトガースカレッジでの留学生活の開始
3 日下部太郎の学生生活
4 日下部太郎の死
5 日下部太郎の交友関係
6 日下部太郎のアメリカ留学の目的
7 日下部太郎の訃報とその波紋
第五章 横井左平太の一時帰国、再渡米そして死
1 一時帰国
(1) 一時帰国の事情
(2) 小楠の死
(3) 大平の死
(4) 小楠とキリスト教
(5) 結婚
2 再渡米
(1) 再渡米の事情
(2) 勝海舟との関係
(3) 細川家との関係
(4) ボストン近郊での生活
(5) 肥後藩留学生の動向
3 帰国そして死
(1) ワシントン、そして帰国
(2) 元老院出仕
(3) 左平太の最期と墓誌
おわりに
注
あとがき
横井左平太年譜
索引
英文史料