それでも神はいる 遠藤周作と悪
価格:1,980円 (消費税:180円)
ISBN978-4-7664-2254-2 C0095
奥付の初版発行年月:2015年08月 / 発売日:2015年08月中旬
いかなる哀しみのなかでも人生を肯定し続けた遠藤文学に、これほど心寄せた文芸批評はかつて出遭ったことがない(加藤宗哉)
▼悪のむこうにあるもの―。
私は「悪」の問題は遠藤文学の根幹をなす問題であると考えている。それは遠藤が初期評論から一貫して取り組んできたものであり、一本の糸のようにどの作品にも綴られている。「悪」の問題はまだ課題も多く、この問題への取り組みは、はじまったばかりだと認識している。一歩一歩進んでいきたいと思う。(あとがきより)
『沈黙』で世界的に知られる遠藤周作(1923-1996)が没してまもなく20年となる。20代から「人間に潜む悪」に多大な関心を寄せ、それは晩年まで変わることがなかった。「遠藤周作の悪」を取り上げたはじめての遠藤周作論。
今井 真理(イマイ マリ)
1953年、東京都生まれ。文芸評論家。聖心女子大学国語国文学科卒業、同大学院修士課程卒業。専門は日本近代文学・現代文学。日本ペンクラブ会員・日本キリスト教文学会会員・遠藤周作学会会員。2007年以降、町田市民文学館での「遠藤周作展」をはじめ、多くの遠藤周作企画展に携わっている。共著として、『遠藤周作の研究』(実業之日本社、1979年)、『遠藤周作『沈黙』作品論集』(クレス出版、2002年)、主要論文及び評論として、「遠藤周作試論―『沈黙』のなかの声―」『文学・史学』1979年5月、「指、その後のトマの」『季刊創造』春第3号1977年4月、「それでも人間は信じられるか―遠藤周作とアウシュヴィッツ 」『三田文学』2006年冬季号等がある。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
第一章 それでも人間は信じられるか ―― 遠藤周作とアウシュヴィッツ
第二章 「掌」の文学 ―― 信仰と懐疑
第三章 初期評論の世界
第四章 サドの存在 ―― 『留学』
第五章 『海と毒薬』の光と翳
第六章 『沈黙』 ―― 沈黙のなかの声
第七章 遠藤のイエス像―― 母なるキリストを求めて
第八章 『薔薇の館』 ―― 薔薇と復活
第九章 無名のひと ―― 哀しみの連帯
第十章 悪のむこうにあるもの ―― 闇と光の中で
あとがき