海外の安楽死・自殺幇助と法
価格:5,060円 (消費税:460円)
ISBN978-4-7664-2263-4 C3032
奥付の初版発行年月:2015年11月 / 発売日:2015年11月上旬
▼安楽死,医師による自殺幇助。大きく報道されるこの法的・倫理的問題は海外ではどのように扱われているのか。
医事法の第一人者,甲斐克則教授編訳のもと,アメリカをはじめ,ドイツ,フランス,そして積極的に安楽死を認めるオランダ等,代表的な国々の法とその運用を,当該国の代表的な研究者が紹介・解説する。
甲斐 克則(カイ カツノリ)
早稲田大学大学院法務研究科(法科大学院)研究科長,同教授。広島大学名誉教授。日本医事法学会代表理事,日本生命倫理学会代表理事,日本刑法学会理事。1954年生まれ。九州大学法学部卒業,九州大学大学院法学研究科博士課程単位取得,法学博士。九州大学法学部助手,海上保安大学校専任講師,同助教授,広島大学法学部助教授,同教授を経て,現職。
著書に,ペーター・タック『オランダ医事刑法の展開』(編訳,慶應義塾大学出版会,2009年),『医事刑法研究1 安楽死と刑法』(成文堂,2003年),『医事刑法研究2 尊厳死と刑法』(成文堂,2004年),『医事刑法研究3 被験者保護と刑法』(成文堂,2005年),『医事刑法研究4 生殖医療と刑法』(成文堂,2010年),『医事刑法研究5 医療事故と刑法』(成文堂,2012年),『医事法講座1 ポスト・ゲノム社会と医事法』(編著,信山社,2010年),『医事法講座2 インフォームド・コンセントと医事法』(編著,信山社,2011年),『医事法講座3 医療事故と医事法』(編著,信山社,2012年),『医事法講座4 終末期医療と医事法』(編著,信山社,2013年),『医事法講座5 生殖医療と医事法』(編著,信山社,2014年),『医事法講座6 臓器移植と医事法』(編著,信山社,2015年),『シリーズ生命倫理学5 安楽死・尊厳死』(共編著,丸善出版,2012年)ほか多数。
【編訳者】
甲斐 克則(かい かつのり)
早稲田大学大学院法務研究科(法科大学院)研究科長,同教授。広島大学名誉教授。日本医事法学会代表理事,日本生命倫理学会代表理事,日本刑法学会理事。
(※[ ]内は、担当章)
【共訳者】
新谷 一朗(しんたに かずあき)[第2章]
海上保安大学校准教授
福山 好典(ふくやまよしのり)[第3・6・8・9章]
姫路獨協大学法学部専任講師
天田 悠(あまだ ゆう)[第3・9・10章]
早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程
久藤 克子(ひさふじ かつこ)[第5章]
岡山県立大学保健福祉学部教授
柿本 佳美(かきもと よしみ)[第7章]
奈良女子大学非常勤講師,同大学アジア・ジェンダー文化学研究センター研究員
【著者】
カール・F・グッドマン(Carl F. Goodman)[第1章]
アメリカ合衆国・ニューヨーク州弁護士、ジョージタウン大学法律センター招聘教授、元広島大学教授)
シーラ・マクリーン(Sheila A. M. McLean)[第2章]
イギリス・グラスゴー大学名誉教授,前「医療の法と倫理」研究所所長・教授
ペニー・ルイス(Penney Lewis)[第3章]
イギリス・ロンドン大学キングズ・カレッジ「生命倫理と法」研究所教授
ジョージ・ムスラーキス(George Mousourakis)[第4章]
ニュージーランド・オークランド大学法学部上級講師
ハロー・オットー(Harro Otto)[第5章]
ドイツ・バイロイト大学名誉教授
ヘニング・ローゼナウ(Henning Rosenau)[第6章]
ドイツ・ハレ大学法学部教授
クリスティアン・ビック(Christian Byk)[第7章]
フランス・パリ控訴院判事,比較法フランスセンター理事会委員,法・倫理・科学国際学会事務局長
アグネス・ヴァン・デル・ハイデ(Agnes van der Heide)[第8章]
オランダ・エラスムス大学メディカルセンター教授
リュック・デリエンス(Luc Deliens)[第9章]
ベルギー・ブリュッセル大学医学部教授
シュテファン・ブラウム(Stefan Braum)[第10章]
ルクセンブルク・ルクセンブルク大学法学部教授
目次
第1部 英米法圏国家の状況
アメリカ合衆国の状況 ――
第1章 アメリカ合衆国における自殺幇助と法の支配
カール・F・グッドマン / 甲斐克則(訳)
Ⅰ. 延命拒否権としての「死ぬ権利」と医師による自殺幇助の権利との相
違
Ⅱ. 憲法上自殺幇助の権利はない
Ⅲ. インフォームド・コンセントおよび「身体の統合性」の権利と治療拒
否権
Ⅳ. アメリカ合衆国憲法は自殺幇助の権利を創出しない
Ⅴ. 自殺幇助罪の成否と陪審員の判断
Ⅵ. 州政府による自殺幇助法の立法化動向 ―― オレゴン州の場合
英国の状況 ――
第2章 英国における終末期の意思決定
シーラ・マクリーン / 甲斐克則・新谷一朗(訳)
Ⅰ. 序
Ⅱ. 決定無能力者に対する意思決定
Ⅲ. 終末期の意思決定と決定能力ある患者
Ⅳ. 結 語
第3章 自殺幇助に関するインフォーマルな法の変容
―― 検察官のための指針 ――
ペニー・ルイス / 甲斐克則(監訳) / 福山好典・天田悠(訳)
Ⅰ. 序
Ⅱ. 自殺ツーリズムに関する指針か、それとも自殺幇助一般に関する指針
か?
Ⅲ. 意見募集
Ⅳ. 規制なき枠組み
Ⅴ. 被害者の症状
Ⅵ. 組織または専門職者による自殺幇助
Ⅶ. 不承不承の被疑者
Ⅷ. 自殺幇助に関する法の変容
Ⅸ. 結 語
オーストラリアの状況 ――
第4章 安楽死・自殺幇助と法
―― 比較法的アプローチ ――
ジョージ・ムスラーキス / 甲斐克則(訳)
Ⅰ. 序
Ⅱ. 予備的な定義
Ⅲ. 安楽死と法の道徳的限界
Ⅳ. 安楽死とオランダ法における医学上の緊急避難の抗弁の発展
Ⅴ. 安楽死に対するノーザン・テリトリーのアプローチ
Ⅵ. これからの途 ―― 安楽死問題に関する合意獲得
第2部 大陸法圏国家の状況
ドイツの状況 ――
第5章 臨死介助の刑法上の問題性
ハロー・オットー / 甲斐克則・久藤克子(訳)
Ⅰ. 概念的描写
Ⅱ. 生命短縮を伴わない臨死介助
Ⅲ. 消極的臨死介助
Ⅳ. 積極的臨死介助
第6章 ドイツにおける臨死介助および自殺幇助の権利
ヘニング・ローゼナウ / 甲斐克則・福山好典(訳)
Ⅰ. 臨死介助の伝統的形式
Ⅱ. 臨死介助の再編
Ⅲ. 結 語
フランスの状況 ――
第7章 フランス法における安楽死
クリスティアン・ビック / 柿本佳美(訳)・甲斐克則(補正)
Ⅰ. 自らの死を再び自分のものとすることを人に許容すること
Ⅱ. 否定された安楽死への権利
第3部 ベネルクス3国の状況
オランダ・ベルギーの状況 ――
第8章 オランダとベルギーにおける安楽死と医師による自殺幇助
アグネス・ヴァン・デル・ハイデ / 甲斐克則・福山好典(訳)
Ⅰ. はじめに
Ⅱ. オランダとベルギーの法制度
Ⅲ. オランダとベルギーにおける安楽死の実践
Ⅳ. 結 語
ヨーロッパ全体・ベルギーの状況 ――
第9章 安楽死
―― ヨーロッパおよびベルギーにおけるスタンスと実務―
リュック・デリエンス / 甲斐克則・福山好典・天田悠(訳)
Ⅰ. はじめに
Ⅱ. 安楽死へのスタンスに関するヨーロッパの展開
Ⅲ. 2002年にオランダとベルギーにおいて施行された安楽死法
Ⅳ. ベルギーにおける届け出られた安楽死事例からみた安楽死に関する医
療慣行
Ⅴ. ベルギー・フランダースにおける医師への大規模調査からみた安楽死
およびその他の終末期の意思決定に関する医療慣行
Ⅵ. 社会的弱者グループにおける安楽死の利用
ルクセンブルクの状況 ――
第10章 ルクセンブルクにおける臨死介助
―― 新法の成立過程,解釈および実務 ――
シュテファン・ブラウム / 甲斐克則・天田悠(訳)
Ⅰ. 成立過程
Ⅱ. ルクセンブルクにおける安楽死と緩和医療の法的メルクマール
Ⅲ. 適用時に起こりうる問題
Ⅳ. 国家管理・評価委員会
編訳者解説・あとがき
事項索引
初出一覧
編訳者・共訳者紹介
著者紹介