性 生命の教養学11
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-2264-1 C0045
奥付の初版発行年月:2015年10月 / 発売日:2015年10月上旬
▼性の諸相を博物誌的に明らかにする
すべてのひとが「当事者」である性の問題。
セックス / セクシュアリティ / ジェンダーの区別および相互浸透のありさまを段階的に捉える「性の手ほどき」。
「生命」の意味を限りなく広く捉えていく「生命の教養学」。
今回の「性」の各論は、自然科学から人文科学へ、そして、双方に関与する技術や心理をめぐる議論を置く。その全体の流れの上で、動物一般のセックスからヒトのそれへ、またヒトのセックスから人間のセクシュアリティへ、そしてセクシュアリティからジェンダーへ、さらに概念としてのジェンダーからジェンダーと社会との関わりへの移行を想定している。
高桑 和巳(タカクワ カズミ)
慶應義塾大学理工学部准教授。1972年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。専門はイタリア・フランス現代思想。著作に『フーコーの後で』(共編著、慶應義塾大学出版会、2007年)、翻訳にミシェル・フーコー『安全・領土・人口』(筑摩書房、2007年)、ジョルジョ・アガンベン『思想の潜勢力』(月曜社、2009年)、同『王国と栄光』(青土社、2010年)、同『ニンファ その他のイメージ論』(慶應義塾大学出版会、2015年)、イヴ-アラン・ボワ&ロザリンド・E・クラウス『アンフォルム』(共訳、月曜社、2011年)などがある。
上記内容は本書刊行時のものです。【編者】
高桑和巳(たかくわ かずみ)
慶應義塾大学理工学部准教授。専門はイタリア・フランス現代思想。
【著者】
松本 緑(まつもと みどり)
慶應義塾大学理工学部准教授。1958年生まれ。大阪大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。専門は発生・生殖生物学。著書に澤田均編『動植物の受精学 共通機構と多様性』(分担執筆、化学同人、2014年)、「性の誕生 そのスイッチを追い求めて」(上・下)(共著、『現代化学』第527号・第528号(東京化学同人、2015年2月・3月))などがある。
長谷川由利子(はせがわ ゆりこ)
元慶應義塾大学商学部准教授。1948年生まれ。お茶の水女子大学理学部生物学科卒。東京都立大学にて理学博士号取得。専門は比較内分泌学。著作に慶應義塾大学生物学教室編『新・生物学』(分担執筆、慶應義塾大学出版会、2005年)、「甲殻類の性分化と造雄腺ホルモン」(『慶應義塾大学商学部創立五十周年記念日吉論文集』慶應義塾大学出版会、2007年)などがある。
佐々木玲子(ささき れいこ)
慶應義塾大学体育研究所教授。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(学術)。専門は発達動作学。著作に、慶應義塾大学体育研究所編『新・体育理論』(分担執筆、慶應義塾大学出版会、2006年)、日本体育協会監修『子どもの心と体を育む楽しいあそび』(分担執筆、ベースボールマガジン社、2015年)などがある。
長沖暁子(ながおき さとこ)
慶應義塾大学経済学部准教授。1954年生まれ。東京都立大学理学部卒業。専門は生物学、科学社会学、女性学。著作に『AIDで生まれるということ』(共編著、萬書房、2014年)などがある。
小堀善友(こぼり よしとも)
獨協医科大学越谷病院泌尿器科講師。1975年生まれ。金沢大学医学部卒業。専門は男性不妊、勃起障害、性感染症。著作に『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン、2014年)などがある。
梅川純代(うめかわ すみよ)
日本大学非常勤講師。1973年生まれ。ロンドン大学アジアアフリカ研究所博士課程修了。専門は中国性愛文化。著作に『「気」の思想から見る道教の房中術』(共著、五曜書房、2003年)、井上章一編『性欲の文化史2』(分担執筆、講談社、2008年)などがある。
斎藤 環(さいとう たまき)
筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。1961年生まれ。筑波大学医学研究科博士課程修了。専門は思春期・青年期の精神病理学。著作に『生き延びるためのラカン』(バジリコ、2006年)、『承認をめぐる病』(日本評論社、2013年)、『猫はなぜ二次元に対抗できる唯一の三次元なのか』(青土社、2015年)などがある。
石井達朗(いしい たつろう)
慶應義塾大学名誉教授。1943年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。専門は舞踊、身体文化。著作に『男装論』(青弓社、1994年)、『ポリセクシュアル・ラヴ』(青弓社、1997年)、『異装のセクシュアリティ』(新宿書房、2003年)、『身体の臨界点』(青弓社、2006年)などがある。
鈴木 透(すずき とおる)
慶應義塾大学法学部教授。1964年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門はアメリカ文化研究。著作に『実験国家アメリカの履歴書』(慶應義塾大学出版会、2003年)、『性と暴力のアメリカ』(中公新書、2006年)などがある。
大串尚代(おおぐし ひさよ)
慶應義塾大学文学部教授。1971年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。専門はアメリカ文学。著作に『ハイブリット・ロマンス』(松柏社、2002年)、慶應義塾大学文学部編『恋愛を考える』(慶應義塾大学出版会、2011年)、倉橋洋子ほか編『越境する女』(分担執筆、開文社出版、2014年)などがある。
岡 真理(おか まり)
京都大学大学院人間・環境学研究科教授。1960年生まれ。東京外国語大学大学院外国語学研究科修士課程修了。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題、第三世界フェミニズム。著作に『彼女の「正しい」名前とは何か』(青土社、2000年)、『棗椰子の木陰で』(青土社、2006年)、『アラブ、祈りとしての文学』(みすず書房、2008年)などがある。
目次
はじめに 性の手ほどきを大学で 高桑 和巳
Ⅰ
性を操る生殖戦略
プラナリアの生殖様式転換機構 松本 緑
性決定・性分化とホルモン 長谷川由利子
動作・パフォーマンスの性差 佐々木玲子
Ⅱ
生殖技術とジェンダー 長沖 暁子
泌尿器科医が教えるオトコの性と射精の話 小堀 善友
生命の創造 中国の性愛技法 梅川 純代
「ジェンダー」の精神分析 斎藤 環
Ⅲ
文化と異性装 石井 達朗
恋愛、売春、セックス・セラピー
映画『セッションズ』から考えるアメリカ社会と性 鈴木 透
文学とジェンダー
女性が書くこと、女性が読むこと 大串 尚代
占領と性(ジェンダー / セクシュアリティ)
パレスチナ問題を通して 岡 真理