慶應義塾大学東アジア研究所叢書
戦後アジア・ヨーロッパ関係史 冷戦・脱植民地化・地域主義
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-7664-2289-4 C3331
奥付の初版発行年月:2015年12月 / 発売日:2015年12月下旬
▼戦後国際政治史を問い直す。
▼これまでの戦後国際政治史における「アメリカ中心の視点」を相対化し、冷戦期の四つの分断国家(ドイツ・中国・朝鮮半島・インドシナ)の誕生、脱植民地化以降のアジア・ヨーロッパ諸国の水平的な関係への移行、そして多極化・地域統合から地域間関係への萌芽、という変化を読み解く試み。
細谷 雄一(ホソヤ ユウイチ)
慶應義塾大学法学部教授。1971年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。主要著作::『外交による平和―アンソニー・イーデンと二十世紀の国際政治』(有斐閣、2005年)、『倫理的な戦争―トニー・ブレアの栄光と挫折』(慶應義塾大学出版会、2009年)、『国際秩序―18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ』(中公新書、2012年)、『歴史認識とは何か―日露戦争からアジア太平洋戦争まで』(新潮社、2015年)、ほか。
(※掲載順)
【編著者】
細谷 雄一(ほそや ゆういち Yuichi Hosoya)
慶應義塾大学法学部教授。同大学大学院法学研究科博士課程修了、博士(法学)。
【執筆者】
宮下雄一郎(みやした ゆういちろう Yuichiro Miyashita)
松山大学法学部准教授。1977年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、パリ政治学院大学院博士課程修了。博士(法学)・Ph. D.(History)。主要著作:“Pechkoff et le Japon, 1946-1949,” Relations internationales, n。158(Juillet-septembre 2014);“Jean Monnet et l’Asie 1933-1940,” in Gérard Bossuat (sous la direction de), Jean Monnet, banquier, 1904-1945: Intérêts privés et intérêt général (Paris : IGPDE, Comité pour l’histoire et économique de la France, 2014)、ほか。
林 大輔(はやし だいすけ Daisuke Hayashi)
公益財団法人世界平和研究所研究員、EUSI(EU Studies Institute in Tokyo)研究員兼プログラムコ―ディネーター。1975年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。主要著作:「イギリスの中華人民共和国政府承認問題、一九四八年-一九五〇年―戦後アジア・太平洋国際秩序形成をめぐる英米関係」『法学政治学論究』第76号(2008年)、「第二次世界大戦期の香港問題、一九四一年-一九四五年―帝国・脱植民地化・降伏受理をめぐる英米中関係」『法学政治学論究』第92号(2012年)、ほか。
小川 浩之(おがわ ひろゆき Hiroyuki Ogawa)
東京大学大学院総合文化研究科准教授。1972年生まれ。京都大学大学院法学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(法学)。主要著作:『イギリス帝国からヨーロッパ統合へ―戦後イギリス対外政策の転換とEEC加盟申請』(名古屋大学出版会、2008年)、『英連邦―王冠への忠誠と自由な連合』(中央公論新社、2012年)、ほか。
水本 義彦(みずもと よしひこ Yoshihiko Mizumoto)
獨協大学外国語学部准教授。1971年生まれ。英国キール大学大学院博士課程修了。Ph. D.(International Relations)。主要著作:『同盟の相剋―戦後インドシナ紛争をめぐる英米関係』(千倉書房、2009年)、『欧米政治外交史 1871~2012』(共著、ミネルヴァ書房、2013年)、ほか。
小林 弘幸(こばやし ひろゆき Hiroyuki Kobayashi)
関東学院大学国際文化学部非常勤講師。1984年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。主要著作:「第一次ハロルド・ウイルソン政権とポラリス・ミサイル搭載型潜水艦建造問題、一九六四-一九六五年」『法学政治学論究』第94号(2012年)、「第一次ハロルド・ウイルソン政権の大西洋核戦力構想」『法学政治学論究』第97号(2013年)、ほか。
福田 円(ふくだ まどか Madoka Fukuda)
法政大学法学部准教授。1980年生まれ。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科後期博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。主要著作:『中国外交と台湾―「一つの中国」原則の起源』(慶應義塾大学出版会、2013年)、『日中関係史1972-2012 Ⅰ 政治』(共著、東京大学出版会、2012年)、ほか。
鈴木 均(すずき ひとし Hitoshi Suzuki)
新潟県立大学国際地域学部准教授。1974年生まれ。欧州大学院歴史文明学科博士後期課程修了。Ph. D.(History and Civilization)。主要著作:『サッチャーと日産英国工場―誘致交渉の歴史 1973-1986年』(吉田書店、2015年)、“Negotiating the Japan-EC Trade Conflict 1970-1982,”in Claudia Hiepel (ed.), Europe in a Globalising World: Global Challenges and European Responses in the “long” 1970s (Nomos, 2014)、ほか。
山本 健(やまもと たけし Takeshi Yamamoto)
西南学院大学法学部准教授。1973年生まれ。ロンドン大学ロンドンスクール・オブ・エコノミクス(LSE)国際関係史学部博士課程修了。Ph. D.(International History)。主要著作:『同盟外交の力学―ヨーロッパ・デタントの国際政治史 1968-1973』(勁草書房、2010年)、「『ヨーロッパの年』と日本外交、1973-74年―外交の多元化の模索と日米欧関係」 NUCB Journal Economics and Information Science 第57巻、第2号(2013年)、ほか。
黒田 友哉(くろだ ともや Tomoya Kuroda)
日本学術振興会特別研究員(PD)。1979年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要著作:『複数のヨーロッパ―欧州統合史のフロンティア』(共著、北海道大学出版会、2011年)、「EC / アセアン関係の制度化、1967-1975年―EU-アジア関係の一起源をめぐって」『国際政治』第182号(2015年)、ほか。
鶴岡 路人(つるおか みちと Michito Tsuruoka)
防衛省防衛研究所地域研究部主任研究官。1975年生まれ。英ロンドン大学キングス・カレッジ博士課程修了。Ph. D.(War Studies)。主要著作:『冷戦後のNATO―“ハイブリッド同盟”への挑戦』(共著、ミネルヴァ書房、2012年)、Partners for Global Security: New Directions for the UK-Japan Defence and Security Partnership (co-edited with Jonathan Eyal and Edward Schwarck),(London: Royal United Services Institute for Defence and Security Studies, 2015)、ほか。
目次
序章 戦後国際政治史の新しい視角 細谷雄一
はじめに ―― 戦後国際政治史を問い直す
Ⅰ アメリカ中心の視点を相対化する
Ⅱ 「四つの分断」 ―― ドイツ・中国・朝鮮半島・インドシナ
Ⅲ 西側世界の協調と分裂
Ⅳ 地域間関係の萌芽
第Ⅰ部 冷戦・分断・脱植民地化
第1章 西側同盟のグローバル化 ―― ヨーロッパ冷戦からアジア冷戦へ
細谷雄一
はじめに ―― 遠く離れた関係
Ⅰ ヨーロッパ冷戦と東アジア冷戦
Ⅱ グローバルな西側同盟へ
Ⅲ グローバルな戦略と西側同盟の軍事化
おわりに
第2章 フランスと東アジア、1945-1951年
―― 「第二次世界大戦の論理」と「冷戦の論理」のはざまで
宮下雄一郎
はじめに
Ⅰ フランスと「世界大戦」
Ⅱ フランスの復興をめぐる政治と日本
Ⅲ サンフランシスコ講和条約とフランス
おわりに
第3章 イギリスと東アジア、1945-1948年
―― 英中友好通商航海条約交渉を中心に 林 大輔
はじめに
Ⅰ 戦後イギリスの中国政策と極東政策の形成
―― イギリスの役割と対米関係の模索
Ⅱ 英中友好通商航海条約交渉
おわりに
第Ⅱ部 戦後アジアにおけるイギリス
第4章 コモンウェルスの絆 ―― マクミラン首相のアジア歴訪、1958年
小川浩之
はじめに
Ⅰ コモンウェルス首相会議から「小さな地域的困難」へ
Ⅱ インド ―― ネルーとの対峙
Ⅲ パキスタン ―― イスラーム共和国の困難
Ⅳ セイロン ―― 洪水被害への支援問題
Ⅴ シンガポール ―― 自治への歩み
おわりに ―― コモンウェルス歴訪からの帰国とその評価
第5章 帝国の終焉と同盟の解体 ―― イギリスの脱植民地化政策とSEATO 水本義彦
はじめに
Ⅰ SEATOの創設
Ⅱ マラヤ連邦の独立
Ⅲ ラオス内戦
Ⅳ マレーシアの創設とシンガポール基地問題
Ⅴ マレーシア紛争とベトナム戦争の開始
Ⅵ 英軍のスエズ以東撤退計画
おわりに
第6章 イギリスの核不拡散政策とインド、1964-1968年
小林弘幸
はじめに
Ⅰ 背景 ―― 1964年10月までの核不拡散をめぐる国際環境
Ⅱ インド核武装への懸念
Ⅲ インドへの「安全保障」提供の検討
Ⅳ 「コモンウェルス核戦力」構想
Ⅴ インドの核不拡散条約参加問題と構想の終焉
おわりに
第Ⅲ部 東西ドイツとアジア
第7章 「一つの中国」と東西ドイツ ―― 中国と西ドイツの国交正常化
福田 円
はじめに
Ⅰ 「中国」と東西ドイツ
Ⅱ 東方政策と中国
Ⅲ 中国と西ドイツの国交正常化交渉
おわりに
第8章 東西ドイツ関係と日本 ―― 1966-1981年 鈴木 均
はじめに
Ⅰ 日・西独経済関係と、日欧貿易摩擦
Ⅱ 東独という国家と、ヴィリー・ブラント
Ⅲ すれ違う日本と西独――イランをめぐる食い違い
Ⅳ ミドル・パワー間の共同歩調の模索
―― 領土問題、ベトナム戦争と、対中・対東独関係
Ⅴ 東独との国交正常化 ―― 伸び悩む貿易と、活発な文化交流
Ⅵ 東独首脳の訪日「ラッシュ」
おわりに
第9章 似て非なる関係 ―― 南北朝鮮、東方政策、EC諸国、1969-1975年 山本 健
はじめに
Ⅰ 1970年代の南北接近
Ⅱ 二つのドイツ、二つのコリア?
Ⅲ 国連と第三世界諸国
Ⅳ 大国との関係
Ⅴ EC諸国と朝鮮半島
おわりに
第Ⅳ部 地域間関係の形成
第10章 地域間関係の制度化 ―― ECのASEAN政策、1975-1980年
黒田友哉
はじめに
Ⅰ EPCとASEAN
Ⅱ EC・ASEAN関係の政府間主義化(1) ―― 大使級対話の創設
Ⅲ EC・ASEAN関係の政府間主義化(2) ―― 閣僚会議の創設
Ⅳ EC・ASEAN協力協定の成立
おわりに
第11章 冷戦と日欧政治・安全保障関係 鶴岡路人
はじめに
Ⅰ 日欧関係の再出発
―― 日米欧「三本柱」論とその後
Ⅱ 冷戦の危機と日欧
Ⅲ 政治と経済の狭間で
Ⅳ 冷戦終結から冷戦後へ ―― 「冷戦ファクター」再考
おわりに
あとがき
索 引