超高齢・人口減少社会のイノベーション 超成熟社会発展の経済学Ⅲ
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-7664-2312-9 C3034
奥付の初版発行年月:2016年03月 / 発売日:2016年03月中旬
▼技術と制度の革新を大胆に推進し、新たな産業と社会を創造するイノベーションリーダー必読!
▼超高齢社会を支える最先端技術を紹介!
経済発展の基盤が揺らいでいる「超成熟社会」の持続的な発展のためには、制度と技術の両面にわたるイノベーションが不可欠です。本書は、それらによって超成熟社会の抱える大きな課題である高齢化・人口減少の問題にどう立ち向かえるかを示そうとするものです。
第Ⅰ部ではまず、人口減少の背景にある出生率と婚姻率の動向、人口減少の地域経済への影響、認知症増加の社会への影響などについて、経済学的視点から整理します。
第Ⅱ部では、医療、エネルギー、宇宙、農業、金融の分野での最先端の取り組みと、将来を見通したときに浮かび上がってくる技術面と制度面の課題を論じ、取り組むべきイノベーションの方向性を提示します。
樋口 美雄(ヒグチ ヨシオ)
慶應義塾大学商学部教授。1980年慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学、商学博士。慶應義塾大学商学部助手、同助教授を経て現職。これまでに、米国コロンビア大学客員研究員、国民生活金融公庫総合研究所長、慶應義塾大学商学部長・商学研究科委員長、日本経済学会長、労働政策審議会会長、内閣官房「まち・ひと・しごと」創生会議委員等を歴任。著書に、『人口減少と日本経済――労働・年金・医療制度のゆくえ』共編、日本経済新聞出版社(2009年)、『若年者の雇用問題を考える――就職支援・政策対応はどうあるべきか』共編著、日本経済評論社(2013年)。
駒村 康平(コマムラ コウヘイ)
慶應義塾大学経済学部教授。1995年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、経済学博士。国立社会保障・人口問題研究所研究員、駿河台大学経済学部助教授、東洋大学経済学部教授を経て現職。これまでに、厚生労働省顧問、社会保障審議会委員、社会保障制度改革国民会議委員等を歴任。著書に、『日本の年金』岩波書店(2014年)、『中間層消滅』角川新書(2015年)。
齋藤 潤(サイトウ ジュン)
慶應義塾大学大学院商学研究科特任教授。1978年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了、同年経済企画庁(現内閣府)入庁。内閣府政策統括官(経済財政分析担当)等を経て現職。これまでに、オックスフォード大学大学院留学、国際通貨基金(IMF)エコノミスト、日本経済研究センター主任研究員、青山学院大学及び東京大学の非常勤講師等を歴任。
【編著者】
樋口美雄(ひぐち よしお) 第二章
慶應義塾大学商学部教授。
駒村康平(こまむら こうへい) 第三章
慶應義塾大学経済学部教授。
齋藤 潤(さいとう じゅん) 序章、第一章
慶應義塾大学大学院商学研究科特任教授。
【著者】
片岡一則(かたおか かずのり) 第四章
東京大学大学院工学系研究科 / 医学系研究科教授。1979年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、工学博士。東京女子医科大学助手、同講師、同助教授、東京理科大学基礎工学部助教授、同教授を経て、現職。これまでに、パリ大学客員教授、ミュンヘン大学客員教授、浙江大学客員教授、四川大学名誉教授を歴任。専門分野は、バイオマテリアル、ドラッグデリバリーシステム。
大橋弘隆(おおはし ひろたか) 第五章
三井造船株式会社海洋事業推進部アドバイザー。1974年東京大学工学部卒業。同年三井造船株式会社入社。流体関連研究、新規事業開発を経て、現在海洋関連の事業開発を担当。これまでに、アーヘン工科大学研究員、長岡技術科学大学客員教授を歴任。
前村敏彦(まえむら としひこ) 第五章
三井造船株式会社技術開発本部再生可能エネルギープロジェクトグループ長。1982年九州大学工学部卒業。同年三井造船株式会社入社。生産設備開発、新規事業開発を経て、現在波力発電装置の開発を担当。
村井善幸(むらい よしゆき) 第六章
日本電気株式会社準天頂衛星利用推進室兼パブリックビジネスユニット主幹。1983年豊橋科学技術大学大学院修士課程修了。同年日本電気株式会社入社。防衛関連事業ならびに宇宙関連事業に従事した後、2015年4月より現職。講義時は、準天頂衛星利用推進室長。
野牧宏治(のまき こうじ) 第七章
富士通ホーム&オフィスサービス株式会社先端農業事業部企画部長。1988年富士通工業専門学校、2004年産業能率大学経営情報学部卒。1984年富士通株式会社入社。半導体工場建設に伴う環境配慮計画やCSR推進に従事した後、2013年より現在の組織で植物工場事業の立ち上げ、事業化を担当。東京大学大学院非常勤講師、八王子ゆめおり市民会議2011代表等を歴任。
樋口哲郎(ひぐち てつろう) 第八章
東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社取締役管理部長。1984年慶應義塾大学経済学部卒業。同年日本合同ファイナンス株式会社(現、株式会社ジャフコ)入社。投資事業組合の企画募集や出資者対応に従事した後、退職し、2015年より現職。講義時は、株式会社ジャフコファンド運用部ファンド運用推進グループプリンシパル。
目次
はじめに 清家 篤
序 章 本書の問題意識 ―― 「超成熟社会」への挑戦 齋藤 潤
一 「超成熟社会」としての現代
二 超成熟社会とは何か
三 超成熟社会発展のための方策
四 本書の構成
第Ⅰ部 超高齢・人口減少社会の経済学
第一章 人口減少の背景と克服策 齋藤 潤
はじめに
一 人口減少が経済成長に及ぼす影響
二 人口減少の背景
三 人口減少を克服するための方策
おわりに
第二章 日本における地域の人口減少と地方創生 樋口美雄
一 人口減少と日本社会
二 地域の人口減少
三 人口移動と雇用増減
四 性別・年齢別の人口移動
五 希望出生率の実現を阻む要因
六 各国における首都圏への人口集中
七 人口減少に対する地域戦略
八 今後の取り組み
第三章 長寿社会に対応した社会経済の仕組み 駒村康平
はじめに ―― 日本の人口構造の変動
一 長寿と人口高齢化
二 三つの寿命
三 人口構造の変化と社会
四 長寿とライフコース
おわりに ―― 長寿社会における社会経済の仕組み
第Ⅱ部 超高齢・人口減少社会に立ち向かうイノベーション
第四章 ナノバイオテクノロジーが先導するスマートライフケア社会
片岡一則
はじめに
一 ナノマシンとは
二 ナノマシンによる治療
三 治療の対象
四 ナノマシンにできること
五 難治がんの治療
六 低い副作用
七 医療費抑制とオートクチュール医療
八 ナノマシンの開発戦略
九 今後の研究課題
一〇 研究開発の戦略
一一 抗体医療の課題
一二 トータルサービスとしてのナノマシン
一三 スマートヘルスケアへの進化
おわりに
第五章 海洋資源開発と波力発電の現状と課題 大橋弘隆・前村敏彦
はじめに
一 海洋資源開発事業の現状と課題
二 波力発電の現状と課題
第六章 準天頂衛星システムの現状と今後の課題 村井善幸
はじめに
一 NECの宇宙事業
二 測位衛星/準天頂衛星システムについて
三 衛星測位システムの市場と準天頂衛生システムの利用分野
四 準天頂衛星システムの課題
おわりに
第七章 最先端植物工場「会津若松Akisaiやさい工場」 野牧宏治
はじめに
一 私たちが目指すもの
二 半導体工場から植物工場への転換
三 事業の特徴
四 商品としての「キレイヤサイ」
五 福島県立医科大学との共同臨床試験
六 乗り越えるべき課題
おわりに
第八章 ベンチャーキャピタル投資の役割 樋口哲郎
はじめに
一 ベンチャー企業とは
二 ベンチャーキャピタルとは
三 ジャフコのビジネスモデル
四 企業の発展に必要な資金調達
五 ベンチャーキャピタル投資の状況
六 銀行とベンチャーキャピタルの違い
七 ベンチャーキャピタルの観点
八 投資先発掘の観点
九 ビジネスディベロップメント活動
一〇 エクイティファイナンスの特徴
一一 ベンチャー企業の成長と支援
おわりに
おわりに 齋藤 潤
編著者紹介