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変革と越境のための新たな教養科学をめざす君たちへ

科学をめざす君たちへ 変革と越境のための新たな教養

四六判 396ページ 並製
価格:1,650円 (消費税:150円)
ISBN978-4-7664-2403-4 C0040
奥付の初版発行年月:2017年03月 / 発売日:2017年03月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

▼科学と社会の未来を見通す珠玉の講演録!
▼文系・理系双方から日本を代表する研究者らが結集。トランス・サイエンス時代を迎え、科学技術開発の方向や、科学と社会との関係を問い直す。
▼自然科学系の大学生はもちろん、科学技術と社会のイノベーションに取り組むすべての人々に贈る金言集。

▼人類の命運を握るのは、峻厳な自然ではなく、人間自身の価値観です。今や、自らの倫理観や人生観、文明観を糺し、「あるべき人間社会」を設計するための「価値観のイノベーション」そして「自然と人間性への回帰」こそが決定的に大切だと思います。
100年後の後継世代まで確実に「生存の条件」を引き渡すべく、若い世代の新鮮な知性と感性が人類に大きな飛躍をもたらすことを期待して、本書をお届け致します。(「はじめに」より抜粋)
 野依 良治


<執筆者紹介>(所属・肩書はセミナー講演当時。現職異動者は〔 〕内に記載)

野依 良治(のより りょうじ)
科学技術振興機構研究開発戦略センター長

黒田 昌裕(くろだ まさひろ)
科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー、慶應義塾大学名誉教授
1941年生まれ。1964年慶應義塾大学経済学部卒業。1969年同大学大学院商学研究科博士課程修了、博士(商学)。1982年同大学商学部教授、1991年同大学産業研究所所長、2001年同大学常任理事。2005年内閣府経済社会研究所所長、2008~2012年東北公益文科大学学長。その間、国際産業連関学会会長、環太平洋産業連関学会会長。2008年より科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー、2014年より政策大学院大学客員教授。主な著書に『実証経済学入門』(日本評論社、1984年)、『一般均衡の数量分析』(岩波書店、1989年)、共著に『日本経済の一般均衡分析』(筑摩書房、1974年)、『テキストブック 入門経済学』(東洋経済新報社、2001年)など。1983年慶應義塾大学福澤賞、2002年日本統計学会賞、2016年瑞宝中綬章を綬章。

永井 良三(ながい りょうぞう)
自治医科大学学長、東京大学名誉教授
1949年生まれ。1974年東京大学医学部卒。1983年米国バーモント大学留学。東京大学医学部附属病院医員、講師、助教授などを経て、1995年群馬大学教授、1999年東京大学医学系研究科内科学教授。専門は循環器内科。2003年同病院長、2009年より東京大学トランスレーショナルリサーチ機構長、2012年より現職。1982年日本心臓財団佐藤賞、2002年日本動脈硬化学会 学会賞、2010年日本心血管内分泌代謝学会 高峰譲吉賞等受賞。2009年紫綬褒章受賞。2012年欧州心臓病学会ゴールドメダル、2013年よりCRDS上席フェローを兼任。

安西 祐一郎(あんざい ゆういちろう)
日本学術振興会理事長、慶應義塾大学名誉教授・元塾長
1974年慶應義塾大学大学院博士課程修了。カーネギーメロン大学客員助教授、北海道大学文学部助教授、慶應義塾大学理工学部教授を経て、1993年~2001年同理工学部長、2001~2009年慶應義塾長、2011年より現職。文部科学省高大接続改革チームリーダー、3省連携人工知能技術戦略会議議長などを務める。情報処理学会会長、日本認知科学会会長、中央教育審議会会長、などを歴任。著編書『岩波講座 コミュニケーションの認知科学』(全5巻・岩波書店、2014年)、『心と脳―― 認知科学入門』(岩波新書、2011年)、『「デジタル脳」が日本を救う―― 21世紀の開国論』(講談社、2010年)、『教育が日本をひらく―― グローバル世紀への提言』(慶應義塾大学出版会、2008年)、『認識と学習』(岩波書店、1989年)、『問題解決の心理学―― 人間の時代への発想』(中公新書、1985年)ほか多数。専攻は情報科学・認知科学。

長尾 真(ながお まこと)
京都大学名誉教授・元総長、元国立国会図書館長
1936年生まれ。1959年京都大学工学部卒業。1961年同大学院修士課程修了、同大学工学部助手に就任。1966年工学博士(京都大学)。京都大学において講師、助教授を経て1973年より教授。1997年京都大学総長に就任。2004年情報通信研究機構理事長、2007~2012年国立国会図書館館長。1991年に機械翻訳国際連盟、1994年に言語処理学会を設立。1997年紫綬褒章、2005年に日本国際賞受賞、フランス共和国よりレジオンドヌール勲章シュヴァリエ章を受章、その他受賞多数。2008年文化功労者。主な著書に『機械翻訳はどこまで可能か』(1986年、岩波書店)、『人口知能と人間』(1992年、岩波新書)、『「わかる」とは何か』(2001年、岩波新書)、『学術無窮―― 大学の変革期を過ごして 1997-2003』(2004年、京都大学学術出版会)、『情報を読む力、学問する心』(2010年、ミネルヴァ書房(シリーズ「自伝」)。専門は自然言語処理、画像処理、パターン認識。

野家 啓一(のえ けいいち)
東北大学高度教養教育・学生支援機構教養教育院総長特命教授
1949年生まれ。1971年東北大学理学部物理学科卒。1976年東京大学大学院理学系研究科(科学史・科学基礎論)博士課程中退。南山大学専任講師、プリンストン大学客員研究員、東北大学教授、文学研究科長・文学部長、副学長・理事などを経て現職。日本学術会議連携会員。近代科学の成立と展開のプロセスを、科学方法論の変遷や理論転換の構造などに焦点を合わせて研究している。また、フッサールの現象学とウィトゲンシュタインの後期哲学との方法的対話を試みている。主な著作に、『科学の解釈学』(講談社学術文庫、2013年)、『パラダイムとは何か―― クーンの科学史革命』(講談社学術文庫、2008年)、『科学哲学への招待』(ちくま学芸文庫、2015年)、『歴史を哲学する』(岩波現代文庫、2016年)。

山脇 直司(やまわき なおし)
東京大学名誉教授、星槎大学副学長
1949年生まれ。1972年一橋大学経済学部卒業、1975年上智大学大学院哲学研究科修士課程修了、ミュンヘン大学哲学博士。上智大学文学部哲学科助教授を経て、1988年東京大学教養学部社会科学科助教授、1993年同教授、1996年4月より2013年3月まで東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻教授。専門は哲学、公共哲学、社会思想史。単著に『グローカル公共哲学』(東京大学出版会、2008年)、『公共哲学とは何か』(ちくま新書、2004年)、『社会とどうかかわるか―― 公共哲学からのヒント』(岩波ジュニア新書、2008年)、『ヨーロッパ社会思想史』(東京大学出版会、1992年)、『社会思想史を学ぶ』(ちくま新書、2009年)、『公共哲学からの応答―― 3・11の衝撃の後で』(筑摩選書、2011年)、『Glocal Public PhilosophyToward Peaceful and Just Societies in the Age of Globalization』(Lit Verlag, 2016)などが、編著に『科学・技術と社会倫理―― その統合的思考を探る』(東京大学出版会、2015年)などがある。

小長谷 有紀(こながや ゆき)
人間文化研究機構理事
1957年生まれ。1981年京都大学文学部史学科卒業。同大学院博士課程満期退学。京都大学文学部助手、国立民族学博物館助手、同助教授を経て、2003年同民族社会学部教授、2009年より同民族研究社会学部部長を併任。2005年より総合研究大学院大学地域文化学専攻長を併任(2007年まで)。2014年4月より現職。専門は文化人類学、文化地理学、モンゴル・中央アジアの遊牧文化。主な著作に、『モンゴルの二十世紀―― 社会主義を生きた人びとの証言』(中央公論新社、2004年)、『世界の食文化(3)モンゴル』(農山漁村文化協会発行、2005年)。2007年モンゴル国ナイラムダルメダル(友好勲章)、2013年紫綬褒章受賞。

吉川 洋(よしかわ ひろし)
東京大学大学院経済学研究科教授〔現・立正大学経済学部教授、東京大学名誉教授〕
1951年生まれ。1974年東京大学経済学部経済学科卒業、1978年イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D. イェール大学)、1988年東京大学経済学部助教授、1992年同教授。2009年-2011年東京大学大学院経済学研究科長・東京大学経済学部長、2016年4月より現職。経済財政諮問会議民間議員(2001~2006年および2008~2009年)、社会保障国民会議座長(2008年)、2010年より財政制度等審議会会長。
主な著書に、『転換期の日本経済』(岩波書店、1999年、読売・吉野作造賞)、『マクロ経済学』(岩波書店、第4版、2017年)、『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ―― 有効需要とイノベーションの経済学』(ダイヤモンド社、2009年)、『デフレーション―― 〝日本の慢性病〟の全貌を解明する』(日本経済新聞出版社、2013年)、『人口と日本経済―― 長寿・イノベーション・経済成長』(中公新書、2016年)。

宇野 重規(うの しげき)
東京大学社会科学研究所教授
1967年生まれ。1991年東京大学法学部卒業。1996年同大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。千葉大学法経学部助教授、東京大学社会科学研究所助教授・同准教授を経て2011年4月より現職。2000年8月~2002年7月在外研究(フランス、社会科学高等研究院客員研究員、新渡戸フェローシップ)、2010年5月~2011年3月在外研究(コーネル大学法科大学院)。主な著書に、『政治哲学へ―― 現代フランスとの対話』(東京大学出版会、2004年)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社選書メチェ、2007年、第21回サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書、2010年)、『民主主義のつくり方』(筑摩選書、2013年)。

竹内 佐和子(たけうち さわこ)
国際交流基金パリ日本文化会館館長〔現・文部科学省顧問〕
1952年生まれ。1975年早稲田大学法学部卒。工学博士(東京大学)、経済学博士。フランス応用数理経済研究所客員研究員、フランス国立ポンゼショセ工科大学国際経営大学院副所長、日本に帰国後、東京大学大学院工学系研究科助教授、東洋大学経済学部教授、世界銀行アジア太平洋地域都市部門アドバイザー、外務省参与・大使(対外戦略立案担当)、京都大学工学研究科客員教授を歴任。主著に、『都市政策』(日本経済評論社、2006年)、『都市デザイン』(NTT出版、2003年)、『公共経営の制度設計』(NTT出版、2002年)、『21世紀型社会資本の選択―― ヨーロッパの挑戦』(山海堂、1999年)、『ヨーロッパ的発想とは何か―― 統合ECを支える多元性と普遍主義』(PHP研究所、1992年)、フランス政府より、文化芸術勲章、国家功労賞を授与されている。

上山 隆大(うえやま たかひろ)
慶應義塾大学総合政策学部教授〔現・総合科学技術・イノベーション会議常勤議員〕
1958年生まれ。大阪大学経済学部卒業、大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了、同博士後期課程修了。スタンフォード大学大学院歴史学部博士課程修了(Ph.D.)。2013年3月まで上智大学経済学部教授、2013年4月より現職。政策研究大学院大学客員教授。
主な著書に、Health in the Marketplace: Professionalism, Therapeutic Desires and Medical Commodification in Late-Victorian London, SPOSS(2010)、『アカデミック・キャピタリズムを超えて―― アメリカの大学と科学研究の現在』(NTT出版、2010年)。

猪木 武徳(いのき たけのり)
青山学院大学特任教授、大阪大学名誉教授
1945年生まれ。1968年京都大学経済学部卒。1974年マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了。大阪大学経済学部教授、同学部長、国際日本文化研究センター教授、同所長を歴任。2007~2008年日本経済学会会長、『経済思想』(岩波書店、1987年)で日経経済図書文化賞、サントリー学芸賞。『自由と秩序―― 競争社会の二つの顔』(中公叢書、2001年)で読売・吉野作造賞、『文芸にあらわれた日本の近代―― 社会科学と文学のあいだ』(有斐閣、2004年)で桑原武夫学芸賞を受賞。『日本の近代(11) 大学の反省』(NTT出版、2009年)、『戦後世界経済史―― 自由と平等の視点から』(中公新書、2009年)、『公智と実学』(慶應義塾大学出版会、2012年)ほか著書多数。

矢野 誠(やの まこと)
京都大学経済研究所教授〔現・独立行政法人経済産業研究所所長〕
1952年生まれ。東京大学経済学部卒業、ロチェスター大学大学院経済学研究科修士課程修了、同博士課程修了、ロチェスター大学経済学部博士(Ph.D.)。コーネル大学助教授、ラトガーズ大学助教授、横浜国立大学助教授・教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て、2007年より現職。2010年より2012年まで京都大学経済研究所所長。2016年より独立行政法人経済産業研究所所長(兼務)。主な著書に、『ミクロ経済学の基礎』(岩波書店、2001年)、『ミクロ経済学の応用』(岩波書店、2001年)、『「質の時代」のシステム改革―― 良い市場とは何か?』(岩波書店、2005年)、『法と経済学―― 市場の質と日本経済』(東京大学出版会、2007年)など。

青木 昌彦(あおき まさひこ)
スタンフォード大学名誉教授
1962年東京大学経済学部卒業。1964年東京大学経済学修士。1967年ミネソタ大学にて経済学博士号(Ph.D.)を取得。スタンフォード大学とハーバード大学で助教授を務めた後、京都大学において助教授、教授を経て、1984~2004年スタンフォード大学教授、現在は同大学名誉教授。2008年~2011年国際経済学連合(International Economic Association)会長。1990年日本学士院受賞、1998年第6回国際シュムペーター学会シュムペーター賞受賞。主な著書に『比較制度分析に向けて』(NTT出版、2001年)、『私の履歴書 人生越境ゲーム』(日本経済新聞出版社、2008年)、『コーポレーションの進化多様性―― 集団認知・ガバナンス・制度』(NTT出版、2011年)、専門は理論経済学(比較制度分析)。

広井 良典(ひろい よしのり)
千葉大学法政経学部教授〔現・京都大学こころの未来研究センター教授〕
1961年生まれ。1984年東京大学教養学部卒業(科学史・科学哲学専攻)。1986年同大学院総合文化研究科修士課程修了。1986~1996年厚生省勤務。1996年千葉大学法経学部(現・法政経学部)助教授、2003年同教授、2016年より京都大学こころの未来研究センター教授。2001~2002年マサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員(Visiting Scholar, Department of Political Science)。2004~2009年21世紀COE「持続可能な福祉社会に向けての公共研究」拠点リーダー。専門は公共政策、科学哲学。主な著作に、『アメリカの医療政策と日本―― 科学・文化・経済のインターフェイス』(勁草書房、1992年、吉村賞受賞)、『日本の社会保障』(岩波新書、1999年、第40回エコノミスト賞受賞)、『定常型社会―― 新しい「豊かさ」の構想』(岩波新書、2001年)、『コミュニティを問いなおす―― つながり・都市・日本社会の未来』(ちくま新書、2009年、第9回大佛次郎論壇賞受賞)、『人口減少社会という希望―― コミュニティ経済の生成と地球倫理』(朝日選書、2013年)、『ポスト資本主義―― 科学・人間・社会の未来』(岩波新書、2015年)。

藤山 知彦(ふじやま ともひこ)
科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー
1953年生まれ。1975年東京大学経済学部経済学科卒業。同年三菱商事調査部入社、1989年企画調査部産業調査チームリーダー、1993年泰国三菱商事業務部長、2000年戦略研究所長、2002年中国副総代表、2005年国際戦略研究所長、2008年執行役員国際戦略研究所長、2010年執行役員コーポレート担当役員補佐、2013年常勤顧問。2016年4月より科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー。日本産学フォーラムリベラルアーツ研究会共同座長、三菱商事アートゲートプログラム選考委員、東京大学政策ビジョン客員研究員を兼務。過去の公務として、2011年国際金融情報センター(JCIF)理事、2014年経済財政諮問会議 成長・発展ワーキンググループ委員などがある。

岩野 和生(いわの かずお)
科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー
1952年生まれ。1975年東京大学理学部数学科卒業、同年日本アイ・ビー・エム入社、1987年アメリカ・プリンストン大学Computer Science学科よりPh.D.取得。東京基礎研究所所長、アメリカ・ワトソン研究所Autonomic Computing担当、大和ソフトウエア開発研究所所長、先進事業担当、未来価値創造事業担当などを歴任、2012年より三菱商事ビジネスサービス部門顧問、科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー。東京工業大学客員教授。

有本 建男(ありもと たてお)
科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー、政策研究大学院大学教授
1974年京都大学大学院理学研究科修士課程修了、科学技術庁入庁。内閣府大臣官房審議官(科学技術政策担当)、文部科学省科学技術・学術政策局長、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官、科学技術振興機構社会技術研究開発センターセンター長、研究開発戦略センター副センター長などを経て、現在、政策研究大学院大学教授・科学技術イノベーション・プログラム・ディレクター、科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー。OECDの科学的助言に関する研究プロジェクトの共同議長。著書に『科学技術と知の精神文化Ⅴ―― 社会と科学』(共著、社会技術研究開発センター編、丸善プラネット、2013年)、『科学的助言―― 21世紀の科学技術と政策形成』(共著、東京大学出版会、2016年)。専門分野は科学技術政策、研究開発ファンディング・システム。

吉川 弘之(よしかわ ひろゆき)
科学技術振興機構特別顧問、東京大学名誉教授、元総長
1933年生まれ。東京大学教授、同総長、放送大学学長、産業技術総合研究所理事長、科学技術振興機構研究開発戦略センター長を経て、現在、科学技術振興機構特別顧問。その間、日本学術会議会長、日本学術振興会会長、国際科学会議(ICSU)会長、国際生産加工アカデミー(CIRP)会長などを務める。工学博士。一般設計学、構成の一般理論を研究。主な著書に『本格研究』(東京大学出版会、2009年)、『科学者の新しい役割』(岩波書店、2002年)、『テクノグローブ―― 「技術化した地球」と「製造業の未来」』(工業調査会、1993年)、『テクノロジーと教育のゆくえ』(岩波書店、2001年)、『ロボットと人間』(日本放送出版協会、1985年)などがある。

目次

はじめに―― 科学をめざす君たちへ   野依 良治
イントロダクション 科学技術と社会の新たな対話を求めて
黒田 昌裕

  第Ⅰ部 越境せよ

第1章 臨床医学の起源と精神
―― 科学の背後にある歴史・文化・思想   永井 良三
 はじめに
 1 日本の近代医学事始め
 2 西洋医学の起源と近代科学
 3 統計学を医学に導入する
 4 近代日本の夜明け、再び
 5 日本の自然観と自然科学
 おわりに

第2章 越境し、融合する科学
―― ある認知科学者の若き日の体験   安西 祐一郎
 はじめに
 1 越境と融合
 2 認知科学への挑戦
 3 熟達と問題理解の研究へ
 おわりに

第3章 言葉の壁に挑むコンピュータ
―― 機械翻訳から人間と対話するロボットへ   長尾 真
 はじめに
 1 翻訳とは何か?
 2 翻訳の難関ポイント
 3 機械翻訳の方法と課題
 4 言語は分割統治できない
 おわりに―― 言語産業の未来

  第Ⅱ部 思索せよ

第4章 科学の成り立ちと知の変貌
―― トランス・サイエンス時代のリテラシー   野家 啓一
 はじめに
 1 「科学」は「サイエンス」ではない?!
 2 知のヘゲモニー争い
 3 科学の変貌と知の市場化
 4 スローサイエンスとしての人文学
 おわりに

第5章 諸学問と倫理・哲学
―― 「ポスト専門化」時代の知の統合   山脇 直司
 はじめに
 1 19世紀以降の学問観の変遷
 2 「ポスト専門化」の時代
 3 「知の統合学」の方法
 4 社会科学の分断状況
 5 ポスト専門化時代の倫理・哲学
 おわりに―― 民主主義社会の中の科学者

第6章 「役に立つ」とはどういうことか?
―― モンゴルで見つけた「スローサイエンス」の力   小長谷 有紀
 はじめに
 1 有用性とは何か?
 2 人文学は有用か?―― 自分を検証してみると
 3 牧畜業から文化が見える
 4 トランス・サイエンスにおける人文学
 おわりに―― 未来への宿題

  第Ⅲ部 創造せよ

第7章 大切なのは価値のイノベーション
―― 経済成長の仕組みとブランド力   吉川 洋
 はじめに
 1 経済的「価値」とは何か?
 2 イノベーションと経済成長
 3 日本は新たな価値を生み出せるか?!
 おわりに

第8章 IT革命はなぜアメリカで起こったか?
―― イノベーションを生み出す知的土壌   宇野 重規
 はじめに
 1 人間は合理的ではない
 2 アメリカの知的土壌に着目せよ
 3 アメリカン・デモクラシー
 4 己を信じ、実験せよ
 5 プラグマティズムの伝道師たち
 おわりに

第9章 日本型イノベーション・システムの再発見
―― フランス人は日本文化に何を見つけたか?   竹内 佐和子
 はじめに
 1 東西文明の中で日本を眺める
 2 日本文化のアヴァンギャルドたち
 3 文化的基盤から科学技術への展開
 おわりに―― ヒューマニティという価値

第10章 イノベーションは誰のものか?
―― 科学の資金調達と日本の知識戦略   上山 隆大
 はじめに
 1 科学の成果は公共財か、私有財か?
 2 「科学の共和国」アメリカの誕生
 3 アカデミアの研究開発戦略
 4 科学知識の大転換
 おわりに―― 日本の知識戦略を考える

  第Ⅳ部 設計せよ

第11章 科学を生かすも殺すも人である
―― イノベーションと労働・組織・社会制度   猪木 武徳
 はじめに
 1 科学知識はイノベーションをもたらすのか?
 2 科学技術は経済を成長させるのか?
 3 特許は科学技術開発を促進するか?
 4 イノベーションを起こすのは大組織か、小組織か?
 おわりに

第12章 科学は市場で社会と対話する
―― 技術を活かす「高質な市場」のつくり方   矢野 誠
 はじめに
 1 「市場の質」とは何か?
 2 日本経済の長期停滞と市場の質
 3 市場の質と科学技術開発
 4 エビデンス・ベース・ポリシーの時代へ
 おわりに―― 技術の「使い手の責任」を考える

第13章 人口減少を乗り越える社会づくり
―― 成長理論から考えるイノベーションと人材活用   青木 昌彦
 はじめに
 1 経済成長をどのように測るか?
 2 経済成長率の日中韓比較
 3 人口要因の中期的なインパクト
 4 21世紀日本の課題
 おわりに―― 科学技術と女性、若者、外国人との新結合

第14章 定常型社会を迎え、日本は何をめざすのか?
―― 成熟と幸福のための科学技術考   広井 良典
 はじめに
 1 現在という時代をどう捉えるか?
 2 「持続可能な福祉社会」をめざす
 3 ポスト成長時代の世代間配分
 4 ポスト成長時代の科学・技術像
 おわりに

座談会 転換期の社会と科学のゆくえ
 黒田昌裕・吉川弘之・有本建男・岩野和生・藤山知彦
 はじめに
 1 時代―― 「グローバル時代」の揺らぎ
 2 科学―― 「分析」から「設計」へ
 3 政策―― 科学と社会の対話を促す
 4 社会―― ITが変える、ITが変わる
 5 教養―― 専門を超えて世界/社会を考えるために
 おわりに

政策セミナー「21世紀の科学的知識と科学技術イノベーション政策」開催一覧


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