分断と対話の社会学 グローバル社会を生きるための想像力
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-7664-2423-2 C0036
奥付の初版発行年月:2017年04月 / 発売日:2017年04月下旬
▼効率化し分断され、常に自己革新を迫られる高度資本主義社会。
一人一人の人間が生きていくために必要な「批判的想像力」を養うための入門書。
▼ヘイトスピーチや障がい者への犯罪はなぜなくならないのか?
マイノリティや社会的弱者への排除に対して、差異を持った人々が共に生きる社会という
オルタナティブへの展望――それを可能にする社会への想像力をつくりだす試み。
▼グローバル社会をリアルに考えるために、これまで見えなかった複雑に入り組んだ背景を可視化して「再フレーム化」(=再想像)することの実践へと導く一冊。
▼さらに深く考えたい読者に、各章末に「キーワード解説」「ブックガイド」も掲載。
塩原 良和(シオバラ ヨシカズ)
慶應義塾大学法学部教授。1973年生まれ。
慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(社会学)。
主要著作:『変革する多文化主義へ―オーストラリアからの展望』(法政大学出版局、2010年)、『共に生きる―多民族・多文化社会における対話』(弘文堂、2012年)、『社会学入門』(共編、弘文堂、2010年)、『ナショナリズムとグローバリズム―越境と愛国のパラドックス』(共著、新曜社、2014年)、『社会的分断を越境する―他者と出会いなおす想像力』(共編、青弓社、2017年)、ほか。
目次
はじめに オルタナティブの模索
第1章 グローバル社会と想像力
1. 共感と想像力 / 2. 社会学的想像力と歴史的想像力 /
3. 批判的想像力 / 4. 対話と想像力 / 5. ナショナルな想
像力の限界を越える / 6. 社会階層と想像力への制約 /
7. リアリティの分断とスティグマ化
第2章 グローバリゼーションのメタファー
1. 「流れ」「渦」「沈殿物」 / 2. 「抗う」「乗りこなす」
「流される」 / 3. 「庭」「荒海」「吹き溜まり」
第3章 移動すること(モビリティ)について
1. 物理的移動――移住者・定住者・越境者 / 2. 象徴的な
移動――階層移動とライフコース/ステージ / 3. 社会・文
化的条件としてのモビリティ――コスモポリタニズムと分断 /
4. システムの標準化とモビリティの加速
第4章 トランスナショナルな想像力へのレッスン
1. 「はやぶさ」の終焉の地から / 2. 「放浪者」と例外とし
ての抑留施設 / 3. もうひとつの例外――歓待される「旅行者」
たち / 4. 「留まり続けること」の主体性 / 5. 方法論から規
範へ――他者からの呼びかけに応える
第5章 「スピード感」と加速する資本主義
1. グローバリズムと時間短縮=効率化への欲望 / 2. 「ゆと
り」と福祉国家 / 3. 「居場所」とコミュニティ / 4. 「つな
がり」の二面性 / 5. 「スピード感」ある「改革」とデモクラシ
ーの危機
第6章 惨事と政治
1. 世界リスク社会と個人化 / 2. 「ピンチはチャンス」? /
3. 災害ユートピア? / 4. 「焦り」の活用 / 5. 「間」とサバ
ルタン性 / 6. 「喪」とケア
第7章 ネイションとナショナリズム
1. 思想・帰属意識・身体感覚 / 2. ネイションの起源――近代主
義とエスノ・シンボリズム / 3. シビック・ナショナリズムとエス
ニック・ナショナリズム / 4. 「熱い」ナショナリズムと「冷たい」
ナショナリズム
第8章 グローバル時代のナショナリズム
1. パラノイア・ナショナリズム / 2. 福祉ショーヴィニズム―
―「国を愛すること」と「国に愛されること」 / 3. リベラル・ナ
ショナリズムとその限界 / 4. 「国益」をめぐるポリティクス /
5. テロリズムとナショナリズム
第9章 ヘイトスピーチと差別
1. ヘイトスピーチを黙認する「空気」 / 2. 構造化され身体
化されるレイシズム / 3. 「甘え」を言い訳にした共感拒否 /
4. 勘違いの共感と反動としての反感 / 5. 逆差別について /
6. ヘイトスピ ーチへの法規制と「出会い直し」
第10章 共生と対話
1. ある場所で出会うこととしての共生/共棲 / 2. 統合と管
理の論理 / 3. 選別と分断の論理 / 4. 「聴くこと」から始ま
る対話 / 5. 世界に注意深くあること
おわりに 対話主義者たちへの覚書
1. 「中立」という暴力 / 2. 対話主義者が敗北するとき /
3. 思いやりと、ずるがしこさ / 4. 対案と対話 /
5. 「きっかけ」と「なりゆき」