『写真週報』とその時代(上) 戦時日本の国民生活
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-7664-2435-5 C3021
奥付の初版発行年月:2017年07月 / 発売日:2017年07月下旬
▼戦時のグラフ雑誌『写真週報』から当時の世相を読み解く!
▼画像をふんだんに紹介しながらテーマ別にアプローチ。
▼上巻は、国民生活を中心に構成。
戦時中、政府のプロパガンダを国民にわかりやすくアピールする目的で、昭和13年2月から20年7月まで発行されていた国策グラフ雑誌 『写真週報』。当時掲載された350点を超える画像を紹介しつつ、「食糧」「健康増進」「戦局報道」等テーマ別のアプローチにより、そこから読みとれる当時の政策、国民の生活や意識を立体的に描き出す。
上巻では、『写真週報』の創刊事情をまず詳述し、食糧や物資の徴用、労務動員など、モノから人へと広がった動員に『写真週報』が果たした役割と、国民生活の変容の実態を明らかにする。
玉井 清(タマイ キヨシ)
慶應義塾大学法学部教授。法学博士。
1959年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。
主要業績に、『第一回普選と選挙ポスター』(慶應義塾大学法学研究会、2013年)、『原敬と立憲政友会』(慶應義塾大学出版会、1999年)、『帝大新人会研究』(共著、慶應義塾大学法学研究会、1997年)、『満州事変の衝撃』(共著、勁草書房、1996年)、『大麻唯男』(共著、財団法人櫻田会、1996年)など。
玉井 清(たまい きよし)〔編著者、はじめに、あとがき〕
慶應義塾大学法学部教授。法学博士。
清水 唯一朗(しみず ゆいちろう)〔第一章〕
慶應義塾大学総合政策学部教授。博士(法学)。
1974年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得。
主要業績に、『近代日本の官僚――維新官僚から学歴エリートへ』(中公新書)(中央公論新社、2013年)、『政党と官僚の近代――日本における立憲統治構造の相克』(藤原書店、2007年)、『憲法判例からみる日本――法×政治×歴史×文化』(共編著、日本評論社、2016年)など。
小田 義幸(おだ よしゆき)〔第二章、第三章、第四章〕
慶應義塾大学法学部講師、武蔵野大学講師。博士(法学)。
1976年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。
主要業績に、「第23回総選挙における日本社会党躍進の組織的要因」寺崎修・玉井清編『戦前日本の政治と市民意識』(慶應義塾大学出版会、2005年)、『戦後食糧行政の起源――戦中・戦後の食糧行政をめぐる政治と行政』(慶應義塾大学出版会、2012年)など。
奥 健太郎(おく けんたろう)〔第五章、第六章、第七章、第八章〕
東海大学政治経済学部教授。博士(法学)。
1972年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了。
主要業績に、『昭和戦前期立憲政友会の研究――党内派閥の分析を中心に』(慶應義塾大学出版会、2004年)、『自民党政治の源流――事前審査制の史的検証』(共編著、吉田書店、2015年)、「自民党結党直後の政務調査会――健康保険法改正問題の事例分析」『年報政治学』2016年度第2号(2016年)など。
靏岡 聡史(つるおか さとし)〔第七章〕
慶應義塾大学SFC研究所上席所員。
1977年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。
主要業績に、「井上期条約改正交渉と知的財産権――問題提起と合意形成」(上)・(下)『法学研究』第89号第5号、第6号(2016年)、「満州事変と満州鉄道利権問題――東北交通委員会の設立を巡る関東軍と満鉄」『法学政治学論究』第80号(2009年)、「満州事変と鉄道復興問題――瀋海線を巡る関東軍・満鉄・満州青年連盟」『法学政治学論究』第70号(2006年)など。
目次
はじめに(玉井 清)
第一章 国民を動員せよ――国策グラフ誌『写真週報』の誕生(清水唯一朗)
一 『写真週報』はどのように作られたのか
二 『写真週報』の誌面構成とその変遷
三 『写真週報』はどのように読まれたのか
第二章 食糧増産、供出せよ――食糧事情の逼迫と食糧管理の強化(小田義幸)
一 供給不安の払拭と節米意識の浸透
二 全国民への食糧増産奨励と戦時食生活の浸透
三 国民皆農と自力更生の徹底
第三章 ぜいたくは敵だ――貯蓄節約の奨励(小田義幸)
一 民需抑制意識の涵養
二 戦時意識の扶植と戦時経済への協力要請
三 犠牲的耐乏生活の実践
第四章 運べよ物資、耐えよ混雑――輸送力増強とその限界(小田義幸)
一 アジアへ翼を広げる航空日本への理解醸成
二 持続的な海上輸送確保に対する協力の要請
三 陸運統制による利便性後退とその甘受
四 旅客輸送制限の徹底と正当性強調
第五章 産めよ増やせよ 鍛えよ体――健民運動の変容(奥健太郎)
一 体力向上
二 病気予防
三 人口増産
第六章 工場へ、工場へ――労務動員政策の展開(奥健太郎)
一 労務問題の浮上――昭和一三年~一五年
二 労働力不足の深刻化――昭和一六年~一八年前半
三 労務動員の全面化――昭和一八年後半~一九年七月
四 崩壊する戦時体制――昭和一九年七月~終刊
第七章 学校を動員せよ――児童学徒の報国精神(奥健太郎・靏岡聡史)
一 学徒勤労動員
二 兵力動員
三 科学・航空教育
第八章 女性も戦おう――銃後の女子の勤労奉仕(奥健太郎)
一 銃後を守る農村女性の顕彰――昭和一三年~一五年
二 「国民皆労」と「人口増産」の中で――昭和一六年~一八年前半
三 女性動員のための大量宣伝――昭和一八年後半~一九年三月
四 精神主義への傾斜――昭和一九年四月~終刊
注
あとがき(玉井 清)
図版一覧
索引