ウィトゲンシュタインの教育学 後期哲学と「言語の限界」
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-7664-2443-0 C3010
奥付の初版発行年月:2017年07月 / 発売日:2017年07月下旬
「語りえぬもの」、その先へ
『論考』で沈黙した哲学者は、「教育」を手がかりに再び語り出す。
新進気鋭の若手が描く、「第三のウィトゲンシュタイン」
▼語りえぬものは、伝ええぬものであるとは限らない――
『論考』によって「語りえぬもの」を設定し、「語る」ことに制約を課したウィトゲンシュタイン。
経ることおよそ10年、止むことなき哲学的思考はついに「言語の限界」の地平をにらみ、自ら建設した巨大な「沈黙」の体系に挑み始める。
ウィトゲンシュタイン後期思想を繙く鍵である「教育学」。
コミュニケーションに内在する宿命的なパラドクスを解きほぐし、「教えること」の意味を根底から問い直す。
私と世界の限界を超えて、他者に触れうる可能性を提示する意欲作。
渡邊 福太郎(ワタナベ フクタロウ)
1981年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。現在、慶應義塾大学文学部助教。専門は教育哲学・教育思想。共著書に『西洋教育思想史』(慶應義塾大学出版会、2016年)、論文に「言語ゲームへのイニシエーションとしての教育」(『教育哲学研究』第104号、2011年)、共訳書にシュネーデルバッハ『ドイツ哲学史 1831-1933』(法政大学出版局、2009年)、ヴィンセント『マス・リテラシーの時代』(新曜社、2011年)など。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
プロローグ
第1章 ウィトゲンシュタインと教育学
1 問題の設定
2 ウィトゲンシュタインと分析的教育哲学
3 教育学におけるウィトゲンシュタイン研究
第2章 教育の言語ゲーム
1 言語ゲームの両義性
2 原初的言語ゲームへの懐疑
3 教育の言語ゲームの特質
第3章 イニシエーションと訓練
1 イニシエーションと学習のパラドクス
2 訓練をめぐる対立
3 訓練の原初性
第4章 言語・事物・規範性
1 直示的定義のパラドクス
2 懐疑論をめぐる対立
3 直示的定義における言語と事物
第5章 子どもの他者性
1 ウィトゲンシュタインのパラドクス
2 規則のパラドクス
3 教育可能性と他者性
第6章 語りえぬものの伝達
1 ウィトゲンシュタインの自我論
2 自我の確実性と不確実性
3 語りえぬものの伝達可能性
第7章 教育と言語の限界
1 蝶番のパラドクス
2 蝶番をめぐる対立
3 教育学的観点の深化
エピローグ
註
あとがき
文献
索引