イスラーム神学における信の構造 イーマーンとイスラームの意味論的分析
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-7664-2458-4 C3310
奥付の初版発行年月:2018年02月 / 発売日:2018年02月中旬
▼1000年にわたるイスラーム神学論争! 『井筒俊彦英文著作翻訳コレクション』第四弾。
イスラーム思想史・神学史を考える上で最も興味深い7世紀末から18世紀にいたるまで、個人的・実存的な「信じること」や「信仰」のあり方が、いかに理性のフィルターを通し、概念化されていったのかを辿る。ときに学派間に烈しい議論をまきおこしながら、精緻な理論へ練り上げられていった、1000年にわたる壮大な神学論争を、意味論的手法を用いて鮮やかに分析、生き生きと描出する。
井筒 俊彦(イヅツ トシヒコ)
1914年、東京都生まれ。1949年、慶應義塾大学文学部で講義「言語学概論」を開始、他にもギリシャ語、ギリシャ哲学、ロシア文学などの授業を担当した。『アラビア思想史』『神秘哲学』や『コーラン』の翻訳、英文処女著作Language and Magic などを発表。
1959年から海外に拠点を移し英文で研究書の執筆に専念し、God and Man in the Koran, The Concept of Belief in Islamic Theology, Sufism and Taoism などを刊行。
1979年、日本に帰国してからは『イスラーム文化』『意識と本質』などの代表作を発表。93年、死去。『井筒俊彦全集』(全12巻、別巻1、2013年-2016年)。
鎌田 繁(カマダ シゲル)
東京大学名誉教授、日本オリエント学会前会長。イスラーム神秘思想・シーア派研究。
仁子 寿晴(ニゴ トシハル)
同志社大学非常勤講師。イスラーム哲学・中国イスラーム思想。
橋爪 烈(ハシズメ レツ)
千葉科学大学薬学部薬学科講師、カリフ制度史・イスラーム政治思想史研究。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序
第一章 不信心者(kāfir)
一 ハワーリジュ派とカーフィルの問題の起源
二 ハワーリジュ派のクフル概念
三 ハワーリジュ派思想の基本構造
第二章 タクフィール(takfīr)の概念
一 恣意的なタクフィール行使の危険性
二 ガザーリーによるタクフィール理論
第三章 重罪人(fāsiq)
一 重罪(kabīrah)の概念
二 重罪人(murtakib al-kabīrah)
第四章 イーマーン(īmān)とイスラーム(islām)
一 イーマーンとイスラームの連関
二 イーマーンはイスラームと同一か
第五章 信という概念の本質的構造
一 ムルジア派とイーマーンの問題
二 イーマーンの本質的構造
第六章 信と知
一 イーマーンの定義における「知」の優越性
二 理性と啓示
三 他人の権威による信(īmān bi-al-taqlīd)
四 イーマーンのあり処
第七章 是認としての信
一 知と是認
二 アシュアリーのイーマーン論
第八章 信ずることと言葉で告白すること
一 タスディークとイクラールのどちらが重要か
二 カッラーム派によるイーマーン論
第九章 信と行
一 ムウタズィラ派とムルジア派
二 イブン・タイミーヤのイーマーン論
三 イーマーンの増減
第十章 私は信ずる者だ。もし神が望み給うならば。
第十一章 イーマーンの創造
一 起源
二 アシュアリー派の立場
三 マートゥリーディー派の立場
四 クフルの創造
結 論
❊
附録 アブー・アブドゥッラー・ブハーリー「信の書」(『正伝ハディース集』より)
❊
解 説
監訳者あとがき
参考文献
索 引……事項索引/アラビア語用語索引
人名・著作名索引/クルアーン引用索引