人間関係の理解と心理臨床 家庭・園・学校・施設・職場の問題解決のために
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-7664-2466-9 C3011
奥付の初版発行年月:2017年09月 / 発売日:2017年09月下旬
カウンセリング(心理臨床・教育)の基本を学ぶ
人間関係の理解にもとづき、各発達段階に象徴的な問題を取り上げ、心理劇(ロールプレイ)を用いた豊富な事例から、問題解決の方法を習得する。大人の発達障害の復職支援も紹介。
▼ロールプレイの事例から、カウンセリングの基礎を学ぶ。
▼いま注目されている「大人の発達障害支援」の事例も紹介。
今日、家庭・学校・職場はもとより、幼稚園・保育園・施設などで、様々な人間関係の問題が山積し複雑化している。
このようななか、私たちが人として、生きがいをもち、より幸せに、健康に生活していくためには、人間関係が特に重要な役割を果たすと考える。
本書は、最初にこのことを明らかにしたうえで、心理臨床の専門職を目指す学生はもとより、心理・教育の現場で活動している心理職者、さらには施設・園・学校などの指導者や保育者・教師などの方々にとって、現場支援となるものである。
吉川 晴美(ヨシカワ ハルミ)
東京福祉大学教授、東京家政学院大学名誉教授。臨床心理士。
お茶の水女子大学大学院修士課程修了。心身障害児総合医療療育センター心理士、お茶の水女子大学非常勤講師、群馬大学非常勤講師、東京家政学院大学・大学院教授を経て2016年より現職。
著書に『家庭支援の保育学』(共編著、建帛社、2010年)、『人間関係』(共著、不昧堂出版、2010年)、『共に育つ〈補訂版〉』(編著、宣協社、2015年)など。
松井 知子(マツイ トモコ)
杏林大学保健学部健康福祉学科教授。日本公衆衛生学会認定心理職専門家。
青山学院大学文学部教育学科心理学専攻卒業。杏林大学医学部衛生学公衆衛生学教室にて教育・研究に従事、杏林大学にて博士号(保健学)取得。東京都公立中学校スクールカウンセラーなどを経て2014年杏林大学保健学部准教授、2017年より現職。
著書に『環境心理の諸相』(共著、八千代出版、2000年)、『人間関係に活かすカウンセリング』(共著、福村出版、2001年)、『人間関係がよくわかる心理学』(共著、福村出版、2008年)など。
(※〔 〕は、担当章)
【編著者】
吉川晴美(よしかわ はるみ)〔1章1節、2章1節-1・5・6、2章2節1~4、3章3節、5章1節-1〕
東京福祉大学教授、東京家政学院大学名誉教授。臨床心理士。
松井知子(まつい ともこ)〔1章2節、2章1節-4、2章2節-5~7、3章7節・8節、5章3節〕
杏林大学保健学部健康福祉学科教授。日本公衆衛生学会認定心理職専門家。
【著者】(50音順)
田尻さやか(たじり さやか)〔3章4節、5章1節-3〕
東京家政学院大学現代生活学部児童学科助教。
中村洋子(なかむら ようこ)〔3章5節、5章1節-2〕
元 東京家政学院大学現代生活学部非常勤講師。
羽田里加子(はねだ りかこ)〔3章6節、5章2節-1〕
カウンセラー、電話相談員。
柳瀬洋美(やなせ ひろみ)〔2章1節-2~3、3章9節、5章2節-2〕
東京家政学院大学現代生活学部児童学科准教授。臨床心理士。
横山太範(よこやま もとのり)〔4章〕
医療法人心劇会 さっぽろ駅前クリニック院長。精神科医、臨床心理士。
義永睦子(よしなが むつこ)〔3章1~2節〕
武蔵野大学教育学部児童教育学科教授。臨床心理士。
目次
はじめに
第1章 なぜ人間関係なのか
第1節 人間関係の意味と重要性
(1) 人間関係とは何か
(2) 人間関係の意味
(3) 人間関係に関する先行研究
(4) 関係的存在としての私たち:人間関係の捉え方
(5) 人間関係と心理臨床
第2節 現代社会における人間関係から起こる諸問題
――健康づくりの視点から、発達段階における人間関係を考える
(1) 発達段階(ライフステージ)と人間関係
(2) 健康づくりの視点からの発達段階と人間関係
(3) 生涯発達と発達課題について
(4) マズローの欲求階層論
第2章 人間関係の発達と心理臨床
第1節 心理臨床の理論と方法
(1) 心理臨床とは
(2) 心理臨床における問題の捉え方とかかわり方
(3) 各心理臨床の理論と方法の特色
1 フロイトの精神分析
(1) 心的装置
(2) リビドーの発達論
(3) マーラーの分離・個体化理論
(4) 精神分析的心理療法
2 ユングの分析心理学と心の構造
(1) コンプレックスと元型
(2) ユングのパーソナリティ理論
3 ロジャースの人間性心理学
(1) 中核三条件
(2) 来談者中心療法(CCT)から人間中心療法(PCA)へ
4 行動療法および認知療法・認知行動療法
(1) 行動療法
(2) 認知療法・認知行動療法
5 関係状況療法
(1) 関係学の視点と関係状況療法
(2) 関係状況におけるかかわり構造
(3) 三者関係的把握と展開について
(4) 関係状況療法にかかわるセラピストとしての基本的要件
6 心理劇の特色と方法
第2節 人間関係の生涯発達
(1) 人間関係の発達とは
(2) 人間関係の生涯発達の諸段階
1 胎児期の人間関係の発達
2 新生児期~乳児期の人間関係の発達
(1) 発達の基盤
(2) 新生児期の人間関係の発達
(3) 乳児期の人間関係の発達
3 幼児期の人間関係の発達
(1) 幼児期前期(1~3歳)の人間関係の発達
(2) 幼児期前期から後期への転換期(2~3歳)の人間関係の発
達
(3) 幼児期後期(4~6歳)の人間関係の発達
4 学童期の人間関係の発達
(1) 学童期の発達課題
(2) 学童期の子どもの心理臨床的な問題と対応
(3) 小学校における心理劇の展開:新学習指導要領から
5 青年期における人間関係の発達
(1) 内部・外部生活環境とのかかわりとメンタル状況
(2) 外部環境としての社会経済的状況
(3) キャリア構築と人間関係
6 成人期における人間関係
(1) 労働・職場環境とのかかわりと人間関係
(2) 家庭における親子関係の役割変化
7 老年期(高齢期)における人間関係
(1) 老年期とは
(2) 超高齢社会
(3) 高齢者の生活満足感と人とのつながり
(4) 喪失とQOL
第3章 現場支援の事例に学ぶ
事例紹介にあたって
第1節 言葉の遅れに悩む母親――1歳6カ月児健診での事例
(1) 概要
(2) アセスメント:見立てと方針
(3) 臨床活動の経過と内容:特色と効果
第2節 こだわりが強く発達障害かと悩む母親――3歳児健診での事例
(1) 概要
(2) アセスメント:見立てと方針
(3) 臨床活動の経過と内容:特色と効果
(4) 考察(第1節・第2節)
第3節 不登校から自発的登校へ――小学生の事例
(1) 概要
(2) アセスメント:見立てと方針
(3) 臨床活動の経過と内容:特色と効果
(4) 考察
第4節 児童養護施設で暮らす子の人間関係の再構築――中学生の事例
(1) 概要
(2) アセスメント:見立てと方針
(3) 臨床活動の経過と内容:特色と効果
(4) 考察
第5節 「空気が読めない」生徒がいるクラス集団への対応――高校生
の事例
(1) 概要
(2) アセスメント:見立てと方針
(3) 臨床活動の経過と内容:特色と効果
(4) 考察
第6節 娘の不登校問題を通して自らの生き方を問い直す母親――電話
相談の事例
(1) 概要
(2) アセスメント:見立てと方針
(3) 臨床活動(電話相談)の経過と内容:特色と効果
(4) 考察
第7節 アイデンティティ未確立の学生が自己回復へ――大学生の事例
(1) 概要
(2) アセスメント:見立てと方針
(3) 臨床活動の経過と内容:特色と効果
(4) 考察
第8節 コミュニケーションスキル不足の若者の人間関係構築――新入
社員の事例
(1) 概要
(2) アセスメント:見立てと方針
(3) 臨床活動の経過と内容:特色と効果
(4) 考察
第9節 わが子とのかかわりに悩み、子育てを通して新たな役割モデル
の獲得へ
――被虐待体験をもつ母親の事例
(1) 概要
(2) アセスメント:見立てと方針
(3) 臨床活動の経過と内容:特色と効果
(4) 考察
第4章 成人発達障害と人間関係形成
第1節 発達障害と医療リワーク(復職支援)
(1) 発達障害者への医療リワークでの支援
(2) 当院での支援
第2節 ASD者への医療リワークプログラム:MCP
(1) Mutual Communication Program(MCP)について
(2) MCPの事例
(3) MCPの効果と考察
(4) 今後の課題
第3節 サイコドラマを用いたASD者の治療
(1) 概要
(2) A氏が主役となったサイコドラマとその後の経過
(3) 考察
第5章 人間関係力アップのための訓練・トレーニング方法
第1節 心理劇(行為法)を通して
1 心理劇の技法:基本
(1) ローリングテクニック(物媒介人間関係発展の技法)
(2) 集団状況における自己定位安定・役割取得行為促進の技法
(3) 3人一組の心理劇
(4) 補助自我による自己確立を促すエゴビルディングの技法
2 家族の問題・課題を解決する力を育む心理劇
(1) ウォーミングアップの心理劇「1、2、3の創作体操」
(2) 問題・課題を設定する
(3) 考察
3 「観技(状況関係認知)」の体験により、多様な観方・かかわり
方に気づく
(1) 観技とは
(2) 考察
第2節 傾聴スキル、自己カウンセリング
1 「傾聴スキル」のトレーニング
(1) 「傾聴」とは何か
(2) 「傾聴」の目的
(3) 「傾聴」のスキルのトレーニング:ロールプレイ
2 「自己カウンセリング」を応用したトレーニング
(1) Work 1 「かけがえのない私」
(2) Work 2 「自分会議」
第3節 臨床動作法、漸進性弛緩法
(1) ストレスとは
(2) 臨床動作法
(3) 漸進性弛緩法
おわりに
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