世界を読み解く一冊の本
ボルヘス『伝奇集』 迷宮の夢見る虎
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-7664-2562-8 C0300
奥付の初版発行年月:2019年12月 / 発売日:2019年12月中旬
▼シリーズ「世界を読み解く一冊の本」(全10巻)、第六弾。
▼ボルヘスのアルター・エゴである「虎」を追い、その謎に迫る。
▼「バベルの図書館」にまつわる絵画やボルヘスの生きた町、数々の原書や翻訳書の版(エディション)などを豊富な図版で紹介。
幻想小説の巨匠ボルヘス(1899-1986)による20世紀文学の傑作中の傑作『伝奇集』。この巧智あふれる短編集に向き合い、多彩な謎を鮮やかに取り出して再-物語化しながら、虎、無限、円環、迷宮、永遠、夢といったテーマをめぐる探究を読者に誘いかける。ボルヘスのパーソナルヒストリーや『伝奇集』の翻訳史とも照らし合わせつつ、ボルヘス流の仮構やたくらみを創造的に模倣しながら読み解く、画期的なボルヘス論!
今福 龍太(イマフク リュウタ)
文化人類学者・批評家。奄美自由大学主宰。Bで始まる作家(ボルヘス、ブラッドベリ、バルト、ベンヤミン…)を偏愛。こだわりの場所にメキシコ、ブラジル、キューバ、台湾、琉球弧、カボ・ヴェルジ、アイルランド、世界中の汀。食べ物はフェイジョン、パモーニャ、チポトレ、パクチー。夕暮れになればキルケニー、カシャーサ、シュタベントゥン、天草、レツィーナ。著書に『クレオール主義』『群島-世界論』『書物変身譚』『レヴィ=ストロース 夜と音楽』『ハーフ・ブリード』『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(讀売文学賞)『小さな夜をこえて』『宮沢賢治 デクノボーの叡知』など多数。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
プロローグ
Ⅰ 〈ボルヘス〉という秘め事
アルター・エゴとしての虎
虚構(フィクシオン)と『伝奇集(フィクシオネス)』
忘れられた語り手
「ボルヘス」とは誰か?
混淆の出自と言語の脱領域性(エクストラテリトリアリティ)
〈秘め事〉としての「読むこと」と「書くこと」
ボルヘスとともに迷宮の虎を追う
Ⅱ 『伝奇集』の来歴
「アル・ムターシムを求めて」
ボルヘス、ウルフ、カフカ、ミショー
『伝奇集』の成立史
「書物」という対話の場
Ⅲ 〈完全なる図書館〉の戦(おのの)き
バベルの図書館の無限性
もう一つの「図書館」
すべての書物、すべてのアイディア
Ⅳ バベルの塔を再建すること
「バベルの塔」の歴史
「バベルの図書館」の図像
Ⅴ 夢見られた私
ボルヘスの円環と迷宮
「円環の廃墟」の夢
夢見る「作家」
「全員一致」 unánime
Ⅵ 震える磁石(コンパス)の針の先に
探偵小説「死とコンパス」
「コンパス」 brújula
殺人事件の舞台
迷宮の都市ブエノスアイレス
Ⅶ 永遠に分岐しつづける小径
「八岐の庭」を彷徨(さまよ)う
「南部」の迷宮都市ブエノスアイレス
「新時間賛否論」という哲学的闘争
参考文献
エピローグ