世界を読み解く一冊の本
旧約聖書 〈戦い〉の書物
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-2563-5 C0300
奥付の初版発行年月:2020年09月 / 発売日:2020年09月中旬
▼シリーズ「世界を読み解く一冊の本」(全10巻)、第七弾。
▼人類普遍のベストセラー、旧約聖書はいかにして生まれたのか。
旧約聖書の書物としての成立をたどり、テクストが描く「歴史世界」と激動の古代イスラエル史を対比させ、著者たちが「文字」のもつ信頼性を武器に、自らのアイデンティティを懸けて繰り広げた思想史上の〈戦い〉を考古学・聖書学の知見に基づき鮮やかに読み解く、刺激的な一冊。
長谷川 修一(ハセガワ シュウイチ)
1971年生まれ。立教大学文学部教授。筑波大学大学院博士課程単位取得退学。テル・アヴィヴ大学(イスラエル)大学院ユダヤ史学科博士課程修了。専門はオリエント史、旧約学、西アジア考古学。 主著に『聖書考古学』『旧約聖書の謎』(中公新書)、『ヴィジュアルBOOK 旧約聖書の世界と時代』(日本キリスト教団出版局)、『歴史学者と読む高校世界史』(共編著、勁草書房)、『謎解き 聖書物語』(筑摩書房)など。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序
文字の力
聖書=平和の書?
〈戦い〉の書としての旧約聖書
「旧約聖書」という呼称
旧約聖書物語のあらまし
「古代イスラエル」略史
旧約聖書のたどった歴史
I 旧約聖書の成り立ち
アンソロジーとしての旧約聖書
正典としての旧約聖書
異なる正典
著者は誰か
正典形成の過程
II イスラエル誕生をめぐる〈戦い〉――原イスラエルとは
「イスラエル」の登場
動乱の時代
ヨシュア記対士師記
「イスラエル」の物質文化
「歴史的イスラエル」、「原イスラエル」、「聖書的イスラエル」
イスラエル誕生をめぐる〈戦い〉
「歴史的イスラエル」誕生の背景
III 神のアイデンティティをめぐる〈戦い〉――われわれの神は誰か
忘れ去られた神名
神の自己紹介
先祖の神
ヤハウェは父祖の神か
神か神々か
全能の神
神の出身地
人名に見られる神名
バアルとの〈戦い〉
IV 「真のイスラエル」をめぐる〈戦い〉――北イスラエル王国滅亡後
「イスラエル」の栄光
北イスラエル王国の滅亡と南ユダ王国の台頭
「真のイスラエル」の継承者
アケメネス朝時代における「真のイスラエル」論争
V 祭司の正統性をめぐる〈戦い〉――どちらの地位が上か
「祭司」と「神官」
「祭司」とは何か
「聖なる場所」と権力
「契約の箱」と幕屋
祭司の資格
祭司ヒエラルキー
レビ人とは何か
王国時代のエルサレムの祭司
アケメネス朝時代の祭司の系図
アロン対モーセ
王国時代以前における正統性をめぐる〈戦い〉
〈戦い〉の決着
食肉をめぐる〈戦い〉
VI 「神の言葉」をめぐる〈戦い〉――預言者対祭司・書記
旧約聖書の預言者
預言者の資格
古代西アジアにおける預言者
預言者の活動の場
王国滅亡後の預言者
預言者対書記
VII 結婚をめぐる〈戦い〉――「国際結婚」は合法か
産めよ、増えよ
王国時代以前の「国際結婚」の記述
王国時代の「国際結婚」
アケメネス朝時代の「国際結婚」
相続をめぐる〈戦い〉
離婚への反対
結
知の衝突・融合
文明の十字路
〈戦い〉の書としての旧約聖書
旧約聖書の読み方
注
参考文献
あとがき