移民とAIは日本を変えるか
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-7664-2611-3 C0036
奥付の初版発行年月:2019年07月 / 発売日:2019年07月中旬
救世主か、破壊者か?
21世紀に入り、人口減少に転じた日本。早くから日本経済の長期低迷の要因の一つとして人口構造の変化に着目すべき、と唱えていた著者が、現代日本の喫緊の課題として昨今俄然クローズアップされている人口減少下の日本社会の変容を、移民とAI(人工知能)に焦点を当てて丁寧に解いていく注目作!
▼人口減少とAI化、入管・難民法改正の流れの中で、正確な実態把握に努め、現時点での全体像を一挙に俯瞰できるタイムリーな一冊!
▼ニュートラルな立場で、巷間伝わるAIへの過度の期待と恐れや人口減少についての諦観ないし悲観に疑義を投げかける骨太の総合解説書。
高齢化社会の到来は数十年前より議論されてきたが、人口減少が問題視されるようになったのは比較的近年のことであり、日本社会の今後の展望や選択肢を統計や理論的成果に基づいて解説した本(特に、日本人の著者によるもの)はまだ少ない。
本書は、いまや金融のみならず、現代日本社会全体をウォッチする論客の第一人者のひとりとなった翁氏が、喫緊のテーマを人口減少下での日本社会の将来像について国民的選択の観点で捉え、AIと移民の影響 について広範な視点から考察。
翁 邦雄(オキナ クニオ)
1951年生まれ。74年、東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。83年、シカゴ大学でPh.D.取得。以後、筑波大学社会工学系助教授、日本銀行調査統計局企画調査課長、企画局参事、金融研究所長等を経て2006年、中央大学研究開発機構教授に就任。
09年、京都大学公共政策大学院教授。17年より法政大学大学院政策創造研究科客員教授、京都大学公共政策大学院名誉フェロー。
主著
『期待と投機の経済分析』東洋経済新報社、1985年、日経・経済図書文化賞受賞
『金融政策』東洋経済新報社、1993年
『ポスト・マネタリズムの金融政策』日本経済新聞出版社、2011年
『経済の大転換と日本銀行』岩波書店、2015年、石橋湛山賞受賞
『金利と経済』ダイヤモンド社、2017年など
目次
第1章 金融政策の限界――プロローグ
1 安倍政権下の金融政策/2 人手不足の主因はなにか/3 日本
の長期停滞?
第2章 人口ペシミズムと将来人口推計の確実性
1 社人研による人口の将来展望/2 人口ペシミズムへの異論①―
―人口減少はチャンス/3 人口ペシミズムへの異論②――日本の人
口減少は確定的将来ではない?/4 社人研の将来人口推計における
社会増減の想定
第3章 移民あるいは外国人労働者の経済的影響
1 外国人労働者・移民・難民のちがい/2 移民の経済学:教科書
的な分析/3 移民は生産性にさまざまな影響を与える可能性があ
る/4 移民によるホスト国の労働者の賃金への影響/5 移民流入
と財政負担/付論1:ボージャス・モデルのやや詳しい説明/付論
2:外国人労働者受け入れについての国内労働者の受け止め方
第4章 移民の社会的影響――欧州の経験
1 移民の社会的影響/2 ドイツの経験/3 ディアスポラ問題と
宗教対立による軋轢/4 多文化アプローチの失敗を認めたメルケル
の演説
第5章 移民の社会的影響――日本の現状
1 外国人労働者はどこから日本に来ているのか/2 治安と外国人
犯罪/3 国際結婚の状況/4 外国人労働者/移民の日本社会への
影響の現状:小括
第6章 事例研究:ベトナムとの関係
1 ベトナム戦争後のベトナムの歩みと現状/2 日本とベトナムと
の関係/3 外国人労働者の送出国としてのベトナム/4 日本にお
けるベトナム人の犯罪/5 ベトナム人と日本人の国際結婚/6 ベ
トナムにおける宗教/7 ベトナム人からみた日本人、日本人からみ
たベトナム人/付論:ネパールの現状
第7章 AIは労働者を無用にするか――人口ペシミズムへの第三の異論
1 『ホモ・デウス』の描くディストピア/2 フレイとオズボーン
の「AIによる失業発生の可能性」についての分析/3 AI化の進
展によって既存の職業はAIに代替されるか/5 既存の職業の相当
部分が消滅したら大失業が発生するのか
第8章 AIと移民の共通点・相違点
1 AIによる労働市場の二極化:理論的可能性/2 先進国におけ
る労働需要の二極化:現実の動向/3 AIの進化と移民受け入れの
共通点・相違点:小括
第9章 AI・移民問題についての今後の課題
1 これまでの議論のまとめ/2 AIを活かすための課題/3 移
民を受け入れていく体制
づくり