1989 下 ベルリンの壁崩壊後のヨーロッパをめぐる闘争
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-7664-2622-9 C0030
奥付の初版発行年月:2020年03月 / 発売日:2020年03月上旬
1989年は「歴史の終わり」だったのか
世界秩序のスクラップ・アンド・ビルド――
EC拡大を企むミッテラン、NATO拡張を目論むブッシュ、
ソ連崩壊の屈辱を味わうプーチン。
権謀術数渦巻く闘いの真の勝者は誰だったのか。
1989年は、「歴史の終わり」だったのか――。
もし東ドイツが中国共産党政権と同様に、
市民の抗議デモへの武力鎮圧を強行していたならば、
もし西ドイツが東ドイツの編入を拒否していたならば、
もし西側諸国がゴルバチョフの「ヨーロッパの共通の家」構想を
受け容れていたならば、ヨーロッパにはいかなる未来が待ち受けていたのか。
KGB諜報員として東ドイツで壁の崩壊に立ち会い、
やがてソ連崩壊の屈辱を味わったプーチンは、その時、何を心に誓ったのか。
冷戦後の世界秩序をめぐる大国間の覇権争いを鮮やかに描き出し、
数々の学術賞に輝いた歴史ノンフィクション、遂に刊行。
メアリー・エリス・サロッティ(メアリー エリス サロッティ)
メアリー・エリス・サロッティ(Mary Elise Sarotte)
ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)Marie-Josée and Henry R. Kravis講座特別招聘教授(DP)。ハーヴァード大学ヨーロッパ研究センター研究員。外交問題評議会(the Council of Foreign Relations)メンバー。ハーヴァード大学歴史・科学部卒業後、イェール大学にてPh.D.取得。本書のほかに、The Collapse: The Accidental Opening of the Berlin Wall や5冊の編著書がある。本書とThe Collapse はFinancial Times のBooks of the Yearに輝いている。
奥田 博子(オクダ ヒロコ)
関東学院大学教授。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得退学。ノースウエスタン大学にてPh.D.取得。著書に『原爆の記憶』『沖縄の記憶』『被爆者はなぜ待てないか』、論文に“China’s ‘peaceful rise/peaceful development’: A case study of media frames of the rise of China”などがある。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
第4章 プレハブ型の勝利
安全保障問題の解決策――二と四を合わせるとNATOとなる/ 政治的
解決策――ドイツ連邦共和国基本法第二三条/ 経済的解決策――通
貨統合/ 選挙キャンペーンと政界ボスの地方運動員のやり方/ 三
月一八日の結果/ ヨーロッパ近隣諸国の不安を取り除く/ おわり
に
第5章 建設許可を手に入れる
最初のアメ――資金提供/ ワシントン首脳会談/ 次のアメ――NA
TO改革/ ロシアで飛躍的な進展/ どんな代価も払え/ おわりに
結 論 一九八九年から一九九〇年の遺産(レガシー)
別の可能性/ さまざまな結果
新版のためのあとがき―― 一九八九年から一九九〇年への再訪とNATO拡大の起源
色褪せる記憶/ ありがたくない便りを届ける/ 一九九〇年、東欧へ
のNATO拡大についてのゲンシャーの考え/ ブッシュとベイカーの隔
たり/ コールとゴルバチョフ/ キャンプ・デイヴィッドの結果/
好ましい記憶の温存
「壁」をいかに乗り越えるか――訳者あとがきに代えて
参考文献
原註(第4章~新版のためのあとがき)
索引