エッセンシャル金融ジェロントロジー 高齢者の暮らし・健康・資産を考える
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-7664-2625-0 C3033
奥付の初版発行年月:2019年09月 / 発売日:2019年09月中旬
高齢者の金融資産管理をいかに支援するか
加齢とともに病気や認知症などの疾患、孤独感など多くの問題が発生する。これらをどう予防し、将来へのお金の展望を示し、社会との円滑な関係づくりを支えていくか――。高齢者にとってのよりよい暮らしを維持すべく、医学、心理学、経済学、法学などの知見から解決策を多面的に模索し、高齢者の側に立ったサービスのあり方を検討する包括的な必読書!
◎ 日本金融ジェロントロジー協会 参考図書 ◎
▼高齢者を顧客とする金融サービスの適切な提供手法を教える包括的テキスト。
▼経済学、老年学、医学、心理学、法学の研究者や金融機関の実務家、弁護士などの多彩な執筆陣。
超高齢社会の日本にあって、年齢とともに体力、思考力が衰える高齢者の資産をいかに保護・管理していくのか。金融専門家による適切なサービス提供の方法を幅広い見地から模索する。
駒村 康平(コマムラ コウヘイ)
慶應義塾大学経済学部教授、同大学経済研究所ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター長
1995年 慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。国立社会保障・人口問題研究所研究員、駿河台大学経済学部助教授、東洋大学経済学部教授を経て、2005年より慶應義塾大学経済学部教授。厚生労働省顧問、社会保障審議会委員、社会保障制度改革国民会議委員、金融庁金融審議会市場ワーキング・グループ委員、介護経営学会理事、全国社会福祉協議会理事などを歴任。
主な業績
『日本の年金』岩波書店、2014年
『社会政策―福祉と労働の経済学』共著、有斐閣、2015年
『新・福祉の総合政策』編著、創成社、2018年
目次
第1章 金融ジェロントロジー概論 (駒村康平)
1 高齢化・長寿化と人口構造の変化
2 長寿社会における資産保有の課題
3 認知症の方が保有する金融資産
4 金融ジェロントロジーとその役割
5 金融ジェロントロジーの可能性
6 高齢者の生活を支える業務に携わる者の倫理観
7 本章のまとめ及び本書全体の概観と講義の狙い
コラム1-1 より深く学びたい方に
――「行動経済学」と認知機能の変化
第 I 部 高齢者の生活と資産の管理
第2章 高齢者を取り巻く社会保障制度
――年金・医療・介護 (駒村康平)
1 社会保障制度が抱える制度的課題
2 公的年金制度の今後
3 医療保険制度
4 介護保険と施設選択
5 社会保障改革・今後の展開
コラム 2-1 2040 年死亡者約 170 万人時代
コラム 2-2 より深く学びたい方に①
――介護費用(介護報酬)の構造
コラム 2-3 より深く学びたい方に②
――地方への移住・住み替えという選択肢(日本版 CCRC)
第3章 高齢者の生活状況 (駒村康平)
1 高齢者の消費行動とライフサイクル消費―貯蓄モデル
2 高齢者世帯の収入、支出、貯蓄
3 高齢者世帯の家計収支
4 高齢者が直面するさまざまなリスク
5 高齢者の健康状態と医療・介護リスク
6 さらに進む高齢化のもとでの健康・資産管理
コラム 3-1 高齢の就労世帯の家計の状況
コラム 3-2 物価スライドと高齢者の消費行動
コラム 3-3 より深く学びたい方に
第4章 高齢者の資産管理(1)
――資産寿命という観点から (大庭昭彦)
1 日本の個人資産の年齢別分布
2 資産運用のライフサイクル理論
3 高齢者の資産運用の実際
4 高齢者と取り崩し
5 取り崩し期とマーケット
第5章 高齢者の資産管理(2)
――意思決定支援の仕組み(後見、信託) (吉野智・石崎浩二・大内誠)
1 成年後見制度
1節補足資料 法定後見、任意後見の実務について
2 信託
第Ⅱ部 加齢に伴う心身の変化とその対応
第6章 高齢者の心理(1)
――加齢に伴う心的機能の変化とその対応 (高山緑)
1 加齢変化に見られる多様性
2 知性に関わる機能の加齢変化
3 情動の加齢変化
4 パーソナリティ(性格)の加齢変化
5 高齢期 well being
6 個人差へのまなざし
第7章 高齢者の心理(2)
――高齢者とのより良いコミュニケーションのために (高山緑)
1 高齢期の特徴を理解した上でのコミュニケーションの工夫
2 より良いコミュニケーションをとるために
――コミュニケーションの基本的姿勢と技術
3 意思決定に関わるコミュニケーション
4 高齢者本人の立場に立つ
第8章 高齢化と身体・感覚器官の変化――加齢と病気 (新井康通)
1 長寿命化に伴う健康問題
2 重要臓器の老化
3 感覚器の老化
4 加齢に伴う臓器機能の低下の集積としてのフレイル
5 健康寿命と寿命格差
6 百寿者の特徴
7 老年医学の新たな方向へ
第9章 認知症について(1)――総 論 (三村将)
1 認知症とは
2 認知症の疫学
3 認知症の臨床所見
4 中核症状の評価
5 周辺症状の評価
6 認知症の重症度
7 検査所見
8 治 療
9 今後増加が予想される認知症高齢者への対応に向けて
第10章 認知症について(2)――代表的疾患と治療 (田渕肇)
1 わが国の認知症の現状
2 正常加齢と認知症のちがい
3 認知症の診断
4 認知症の治療
――認知症に対するアプローチ、薬物療法
5 認知症へのさらなる対応の必要性
第11章 高齢者・認知症の意思決定能力について
――評価と支援 (江口洋子)
1 医療同意の現状
2 医療同意能力(医療行為に対する意思決定能力)の評価
3 フィナンシャル・キャパシティ (Financial Capacity)
4 FC の評価と支援のあり方
5 FC の評価に必要なこと
第12章 高齢者対応ケーススタデイ (岸本泰士郎・中村陽一・江口洋子)
1 ケース 1 : 金融分野に関して高い能力を示す
2 ケース 2 : 認知症の可能性がある場合
3 ケース 3 : 認知機能に問題はないが、なかなか提案を検討してもら
えない
コラム 12-1 認知症の種類と鑑別疾患(症状が類似する疾患)
コラム 12-2 返答に困ったときに
コラム 12-3 ラポール
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