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中央・地方関係の変容と未完の再集権中国 統治のジレンマ

慶應義塾大学法学研究会叢書90
中国 統治のジレンマ 中央・地方関係の変容と未完の再集権

A5判 304ページ 上製
価格:5,720円 (消費税:520円)
ISBN978-4-7664-2648-9 C3031
奥付の初版発行年月:2019年12月 / 発売日:2019年12月中旬

内容紹介

なぜ習近平政権は「再分権」を推進するのか?

80年代の改革・開放政策によって分権が進み、地方の台頭に関心が高まる一方で、90年代半ば以降、中国では中央政府により再び集権が進んだ。現代中国における中央・地方の関係はどのように変化し、またどのように論じられてきたのか。

さらに、分権を進める習近平政権を考える上で示唆となる、地方での政策執行を促進するためのインセンティブ・メカニズムを考察する。

著者プロフィール

磯部 靖(イソベ ヤスシ)

慶應義塾大学法学部准教授
1998年3月、慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程単位取得退学。
法学博士。日本国際問題研究所アジア太平洋研究センター研究員および長崎外国語大学外国語学部准教授を経て、2009年4月から現職。専攻は現代中国政治。
主要著作に、『現代中国の中央・地方関係―広東省における地方分権と省指導者』 (慶應義塾大学出版会、2008年:第25回大平正芳記念賞受賞)、『中国 改革開放への転換―「一九七八年」を越えて』(共著、慶應義塾大学出版会、2011年)、『現代中国政治外交の原点』(共著、慶應義塾大学出版会、2013年)、『現代中国政治研究ハンドブック』(共著、慶應義塾大学出版会、2015年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 中央・地方関係をめぐる議論とその課題
 第一節 改革・開放期以降の中央・地方関係をめぐる議論/
 第二節 本書の問題意識と構成

 第一部 再集権に関する議論についての検証
第一章 組織・人事面における再集権の実態
 はじめに/第一節 組織面における再集権の試み/第二節 省指導部へ
 の人事権行使による統制強化の試み/第三節 組織・人事面における再
 集権の限界/おわりに

第二章 財政面における再集権の実態
 はじめに/第一節 分税制の導入過程/第二節 分税制施行後の諸問
 題/おわりに

第三章 未完の再集権
 はじめに/第一節 再集権にもかかわらず顕在化した諸問題/
 第二節 分税制導入と「予算外資金」問題/第三節 財政再配分と農民
 負担軽減の試み/おわりに

 第二部 再集権の諸問題と「再分権」の推進
第四章 再集権の矛盾
 はじめに/第一節 農民負担問題と農村税費改革/第二節 不動産バブ
 ル問題/第三節 地方債務問題/おわりに

第五章 再集権の限界
 はじめに/第一節 中央から地方への財政移転強化の試み/第二節 財
 政移転の試みとその限界/第三節 地方内における財政移転の試みとそ
 の限界/おわりに

第六章 「再分権」の推進とその意義
 はじめに/第一節 「再分権」の推進/第二節 広東省内における行政
 権限下放/第三節 「再分権」推進の意義/おわりに

終章 中央・地方関係研究における「ゼロサム論」の終焉
 第一節 中央・地方関係をめぐる従来の議論と「ゼロサム論」の終焉/
 第二節 新たな包括的分析モデルの提起/第三節 中央・地方関係につ
 いての今後の研究課題と展望

主要参考文献一覧


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