はじめての大学教養地学
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-7664-2662-5 C0044
奥付の初版発行年月:2020年06月 / 発売日:2020年05月下旬
▼現代人に必須の教養書
身の周りの景観や気象、防災、環境問題、そして日進月歩で解明されつつある宇宙の姿まで、地学は実に幅広く魅力的な学問です。
本書は固体地球、大気海洋、天文の3部構成で、それぞれの専門家が基礎から最新の知識まで、わかりやすく解説します。
地球と人間の関係から生じる多様な問題に対し、科学的な事実を踏まえて取り組む能力を身につけましょう。
文系・理系問わず、すべての大学生に向けた新しい地学テキスト!
杉本 憲彦(スギモト ノリヒコ)
慶應義塾大学法学部日吉物理学教室教授、自然科学研究教育センター副所長
京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科博士課程(地球惑星科学専攻)修了。理学博士、気象予報士。
2005年名古屋大学大学院工学研究科COE研究員、2008年慶應義塾大学専任講師、准教授を経て、2020年より現職。その間、2014~2016年フランス・エコールポリテクニーク客員研究員。
専門は気象学、地球流体力学、惑星大気科学など。
主な著書に『風はなぜ吹くのか、どこからやってくるのか』(ベレ出版、2015年)、『法学・経済学・自然科学から考える環境問題』(共著、慶應義塾大学出版会、2017年)など。
杵島 正洋(キシマ マサヒロ)
慶應義塾高等学校理科教諭
東京大学理学部地学科卒業、東京大学大学院理学系研究科修士課程(地質学専攻)修了。
1998年より現職。その間、2002~2015年慶應義塾女子高等学校講師、2014年より慶應義塾大学講師。
専門は地質学、堆積地史学、地学教育など。
主な著書に『新しい高校地学の教科書』(共著、講談社ブルーバックス、2006年)など。
松本 直記(マツモト ナオキ)
慶應義塾高等学校理科教諭
横浜国立大学教育学部(地学専攻)卒業、横浜国立大学教育学部修士課程(地球科学専攻)修了。気象予報士。
1990年より現職。その間、1999~2002年横浜国立大学教育人間科学部講師、2005~07年、2011年慶應義塾湘南藤沢中・高等部講師、2012年より慶應義塾大学講師。
専門は地学教育、観測天文学など。
主な著書に『新しい高校地学の教科書』(共著、講談社ブルーバックス、2006年)など。
目次
はじめに
第1部 活動する地球の姿
1.地球の概観と内部構造
1-1. 地球の認識
1-2. 地球の大きさの計測
1-3. 地球の精密な形
1-4. ジオイドとGPS測量
1-5. 地球の内部構造を探る
1-6. 地殻とマントル
1-7. 地殻の厚さの分布
1-8. アセノスフェアとリソスフェア
1-9. 地磁気
コラム 残留磁気と松山基範
2.プレートテクトニクス
2-1. プレート理論の誕生
2-2. プレート境界
2-3. プレート運動の原動力とプルームテクトニクス
3.地震と地震災害
3-1. 地震という現象
3-2. 地震発生のしくみ
3-3. 地震学の勃興と発展(昭和南海地震まで)
3-4. 空白域とアスペリティ(2011年まで)
3-5. 東日本大震災と南海トラフ巨大地震(2011年以降)
3-6. 地震災害と防災
コラム 稲むらの火と津波てんでんこ
4.岩石と鉱物
4-1. 岩石をつくる鉱物の特徴と分類
4-2. ケイ酸塩鉱物
4-3. 固溶体
4-4. 火成岩の分類
4-5. 堆積岩と変成岩
5.マグマと火山
5-1. 火山の噴火と火山の姿
5-2. 火山の分布とマグマの成因
5-3. 沈み込み帯におけるマグマの成因
5-4. マグマの多様化
5-5. 花こう岩の謎
6.地形と地層の成り立ち
6-1. 地球内部エネルギーがもたらす地表の景観
6-2. 太陽エネルギーがもたらす地表の景観
6-3. 二つのエネルギーの相互作用による地形
6-4. 海面の上下変動と氷期・間氷期
6-5. 堆積物と地層
6-6. 地質時代区分
6-7. 放射年代測定法
コラム 氷床コアが保存する過去の気温変動
7.地球の生命の歴史
7-1. 地球の誕生(46億~40億年前:冥王代)
7-2. 生命の誕生(40億~35億年前:太古代前期)
7-3. 光合成生物の登場と地球環境の激変(35億~25億年前:太古
代)
7-4. 動物・植物の登場と繁栄(25億~7.3億年前:原生代)
7-5. 全球凍結事変(7.3億~6.3億年前:原生代)
7-6. 生物の爆発的な繁栄(6.3億~4.4億年前:原生代末~古生代前
期)
7-7. 生物の陸上進出と大量絶滅事変(4.4億~2.5億年前:古生代中
期~後期)
7-8. 恐竜など爬虫類の繁栄(2.5億~6600万年前:中生代)
7-9. 白亜紀末の大量絶滅事変(6600万年前:中生代末)
7-10. 寒冷化する地球と人類(6600万年前~現在:新生代)
8.人間社会と地球の関わり
8-1. 地下資源の分類
8-2. 鉱床の形成
8-3. レアメタルの特性
8-4. リサイクルと都市鉱山
8-5. エネルギー資源の形成
8-6. 地球上で人間が暮らすということ
第2部 地球をめぐる大気と海洋
1.大気の構造
1-1. 気体の性質
1-2. 大気の組成
1-3. 気圧と層構造
コラム オーロラの発生のしくみ
2.雲と降水
2-1. 安定、不安定、中立の概念
2-2. 潜熱と湿潤断熱減率
2-3. 雲の形成
2-4. 降水のしくみ
3.地球の熱収支
3-1. 熱放射
3-2. 短波放射
3-3. 赤外放射
3-4. 温室効果
コラム 惑星などの放射平衡温度
4.大気の運動
4-1. ニュートン力学
4-2. 風の要因
4-3. コリオリ力
4-4. 風の力のバランス
4-5. ハドレー循環と偏西風
4-6. 傾圧不安定とフェレル循環
5.海洋の構造
5-1. 海水の組成
5-2. 海洋の層構造
5-3. 海水の振動
6.海洋の大循環
6-1. 風成循環
6-2. エクマン輸送
6-3. 西岸強化
6-4. 深層循環
コラム ホッケ柱
7.大気と海洋の相互作用
7-1. 世界の気候と日本
7-2. 日本の四季
7-3. エルニーニョと北極振動
7-4. 物質循環
8.大気・海洋と人間
8-1. 天気予報
8-2. 気象災害
8-3. 気候変動と地球温暖化
8-4. 環境問題
8-5. 持続可能性
第3部 地球を取り巻く天体と宇宙
1.天体の運動と暦
1-1. 地球の運動と1日
1-2. 均時差
1-3. 天体の位置の表し方(赤道座標)
1-4. 年周運動と暦
1-5. 月とひと月
1-6. 天体の運動と時間単位
1-7. 地球自転の証明
1-8. 地球公転の証明
コラム 年周視差をめぐるタイムレース
2.惑星の運動と宇宙観の変遷
2-1. 惑星の運動
2-2. 惑星現象
2-3. 宇宙観の変遷とケプラーの法則
2-4. ケプラーの法則
2-5. 調和の法則から惑星の軌道半径を知る
2-6. 1天文単位の決定
2-7. 地球を1円玉の大きさに縮小すると
2-8. 調和の法則の証明
3.太陽系の姿と惑星探査
3-1. 太陽系の形成
3-2. 太陽系の天体
3-3. 太陽系生命圏
3-4. 系外惑星
コラム 太陽系外からの来訪者
4.恒星としての太陽
4-1. 核融合反応
4-2. 太陽の構造
4-3. 太陽活動と地球
コラム 地上の星 核融合炉
5.恒 星
5-1. 恒星までの距離
5-2. 恒星までの明るさ
5-3. 恒星のスペクトル
5-4. フラウンホーファー線と恒星のスペクトル型
5-5. HR図
5-6. 恒星の進化
コラム ベルのパルサー発見
6.宇宙の距離はしご
6-1. ケプラーの第3法則の利用
6-2. 年周視差の利用
6-3. HR図の利用
6-4. セファイド
6-5. ハッブル・ルメートルの法則
6-6. Ⅰa型超新星
コラム 聴覚障がい者が活躍したセファイド研究
7.最新探査が描く宇宙の姿
7-1. 銀河の姿
7-2. 銀河系の周辺
7-3. 宇宙の大規模構造
7-4. 見ることのできる宇宙の果て
7-5. WMAP衛星の活躍
7-6. 私たちは星の子
コラム 重力波とブラックホール、そしてマルチメッセンジャー天文
学
索引