自然を前にした人間の哲学 古代から近代にかけての12の問いかけ
価格:3,850円 (消費税:350円)
ISBN978-4-7664-2670-0 C3010
奥付の初版発行年月:2020年02月 / 発売日:2020年03月上旬
私たち人間は「自然」を前にしたとき、どのような思想的営為を展開してきたのか。
古代から近代にいたるまで、その意義を検討する。
ギリシャ・ローマとイスラーム世界を中心に、文明の根幹にある自然観の多様な現れ方を再検討する、慶應義塾大学言語文化研究所、最新の研究成果。
神崎 忠昭(カンザキ タダアキ)
慶應義塾大学文学部教授。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。専門はヨーロッパ中世史。
主要業績:『ヨーロッパの中世』(慶應義塾大学出版会、2015年)、『断絶と新生――中近世ヨーロッパとイスラームの信仰・思想・統治』(編著、慶應義塾大学出版会、2016年)。
野元 晋(ノモト シン)
慶應義塾大学言語文化研究所教授。マッギル大学大学院博士課程修了。Ph.D.専門はイスラーム思想史(ことにシーア派諸派の思想)。
主要業績:ジョナサン・バーキー『イスラームの形成――宗教的アイデンティティーと権威の変遷』(共訳、慶應義塾大学出版会、2013年)、論文「イスラーム――死と復活の思想」(吉原浩人編『東洋における死の思想』春秋社、2006年)。
目次
はじめに 神崎忠昭
I 自然/本質の追究
タレス、あるいは自然哲学の誕生 納富信留
トマス・アクィナスにおける「自然」の理解
――キリスト両性論を手がかりにして 上枝美典
西洋中世の存在論における「自然」概念の位置づけについて 山内志
朗
II 存在の連環のなかで
プロティノスにおける自然美 樋笠勝士
宇宙創造の再現としての神働術
――新プラトン主義的自然神学の哲学的背景 土橋茂樹
「照明学の師」スフラワルディーの自然論から
――『照明の叡智学(哲学)』から第2部第3論考訳注 野元 晋
キトミール考――イスラーム文化圏における犬と人 鎌田 繁
III 星を見つめて
適正な時の把握を目指して
――カロリング朝の文教政策と暦算法(computus)論争 岩波敦子
中世ヨーロッパにおける占星術と世界観
――ニコル・オレームの事例から 神崎忠昭
IV 近代の「ためらい」
進化論と世界の美的統一について
――ゲーテ自然学の観点から 粂川麻里生
柳宗悦の自然観と絨毯
――日本における遊牧民絨毯の受容とその背景 鎌田由美子
ロシアにおける自然と人間
――ソロヴィヨフとフョードロフの観点を中心に 谷 寿美
おわりに 神崎忠昭