宗教の経済学 信仰は経済を発展させるのか
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-7664-2683-0 C3033
奥付の初版発行年月:2021年03月 / 発売日:2021年03月中旬
▼宗教、それは一つの市場である。
▼宗教が政治経済に与える影響を、因果推論や回帰分析を駆使し多角的に分析する。
▼マクロ経済学の大家バローによる本邦初の「宗教の経済学」入門書。
M・ウェーバー『プロテスタンティズムの精神と資本主義の精神』に代表される宗教と経済の関係の研究は、データ分析と現代経済学によってバージョンアップされた。
キリスト教・イスラム教・仏教・過激宗派など世界中の宗教現象が経済と社会に与える効果を分析する。宗教の問題に関係する多くの分野に示唆を与える1 冊。
ロバート・J・バロー(ロバート ジェイ バロー)
ハーバード大学経済学部 Paul M. Warburg経済学教授。カリフォルニア大学で物理学を学んだ後、1970年にハーバード大学でPh.D.(Economics)。専門はマクロ経済学、特に経済成長についての理論・実証分析で多くの業績を残す一方で「ウォールストリート・ジャーナル」や「ビジネスウィーク」誌でコラムを執筆。著書に『内生的経済成長理論Ⅰ・Ⅱ』(共著、大住圭介訳、九州大学出版会)、『バロー マクロ経済学』(谷内満監訳、センゲージラーニング)、『バロー教授の経済学でここまでできる!』(中村康治訳、東洋経済新報社)等がある。
レイチェル・M・マックリアリー(レイチェル エム マックリアリー)
ハーバード大学経済学部講師。フーバー研究所のシニアフェロー。1986年にシカゴ大学でPh.D.(political theory and moral philosophy)。専門は宗教の政治経済学。社会学、人類学、経済学の手法を用いる。近年の研究は、意識と道徳心理の関係に注目している。編著にOxford Handbook of the Economics Religion, Oxford University Press, 2011がある。
田中 健彦(タナカ タケヒコ)
著作家、翻訳家。1968年、慶應義塾大学工学部計測工学科卒業。富士通株式会社入社。米国富士通パーソナルシステムズ、ドイツ富士通シーメンス・コンピューターズ副社長、富士通パソコンシステムズ社長等を経て退社後、現職。訳書にウイーフリング『土壇場プロジェクト 成功の方程式』(日経BP)、ボーモル他『良い資本主義 悪い資本主義』(書肆工房早山)等がある。
大垣 昌夫(オオガキ マサオ)
慶應義塾大学経済学教授。1988年シカゴ大学でPh.D.(Economics)。オハイオ州立大学等を経て現職。専門は行動経済学、文化経済学、マクロ経済学、国際経済学、計量経済学。第5期行動経済学会会長を務める。著書に『行動経済学』(共著、有斐閣)等がある。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
第1章 市場としての宗教
宗教の経済学――信仰は何より大事
本書の概要
第2章 何が宗教性を決めるのか
宗教の需要と世俗化仮説
宗教の供給と宗教市場モデル
礼拝出席者数の長期データ
宗教性に関する最近の国際的データ
宗教性を決定する諸要因
ハーバード大学におけるナンズと宗教性
改宗について
宗教性を決定するものは何か
第3章 宗教は経済成長を促すのか――プロテスタンティズムと資本主義
救済と世界宗教
宗教改革の諸思想
現代のデータでみる宗教と経済成長
なぜ宗教が経済成長にとって重要なのか
プロテスタンティズムと人的資本
両方向の因果関係を一致させる
第4章 イスラムと経済成長――およびヒンズー教・仏教・ユダヤ教と経済成長
ムハンマドとイスラムの台頭
マドラスとワクフ
イスラム文化の凋落
イスラム法と規制
欧州内紛争へのイスラムの影響
メッカ巡礼とラマダン
その他の宗教
イスラムとその他の世界宗教
第5章 どのような国が国教をもつのか
国家を持つか持たないかの判定
国家を決めるのは何か
アダム・スミス対デイヴィッド・ヒューム
国家宗教についてわかったことは何か
第6章 クラブとしての宗教――教団と信者の政治経済学
宗教のクラブモデル
暴力的な宗教集団
チベットにおけるゲルク派の台頭
クラブモデルからの洞察
第7章 聖人作りの経済学――カトリック教会のグローバル戦略
カトリック教会のプロテスタントに対する競争
聖人作りと宗教競争
聖人の安売りか、カトリック高揚の手段か
第8章 宗教の富
信じることと所属すること
宗教の拡散
宗教と科学
【宗教の経済学】解説 大垣昌夫
注
参考文献
索引