家計簿と統計 数字から見える日本の消費生活
価格:1,760円 (消費税:160円)
ISBN978-4-7664-2689-2 C0033
奥付の初版発行年月:2020年07月 / 発売日:2020年07月中旬
数字でトレンドの変化を捉え、明日を見据える!
千差万別の家計簿も、集めてみると時代の傾向が浮き彫りになる。日本の生活スタイルの変化から統計数字を読むコツ、ネット上での様々な数値の探し方まで、楽しく読みながら、自分の生活に数字をどう活かすかも学べるおもしろ読み物。
▼ あふれるエピソードと蘊蓄から日本の「いま」を理解する!
▼ 統計の裏に隠されたツボや「家計簿から何がわかるのか」のポイントを伝授!
▼ 各章末には重要ポイントをまとめた親切設計。
▼ ネット上での様々な数字を見つける手順を「付録」で丁寧に説明。
◎ 個々の世帯の家計支出をビッグデータ化することで、今日の日本全体の消費傾向が見えてくる。過去と比べて消費はどう変化しているのかを知るとともに、スマホなどを利用して自分の消費を「家計簿化」し、生活のトレンドを知ることで今後の消費行動にどう活かしていくかも考えることができる。
◎ 高齢層でなぜか高い牛肉とマグロの消費、沖縄県で「コメ」の需要が大きい理由など、興味深いエピソードを読みながら、家計データをさらに深く読み解くコツを身につけることができる、実用と教養とを兼ね備えた一冊。
佐藤 朋彦(サトウ トモヒコ)
1959年生まれ。新潟大学理学部卒業、総理府(現・内閣府)任官。経済企画庁経済研究所専門調査員、総務庁統計局統計調査部消費統計課係長、福岡県調査統計課企画主幹、総務庁統計研修所教官、東京大学社会科学研究所助教授、総務省統計局物価統計室長、総務省統計研究研修所次長等を経て
現在 独立行政法人統計センター・情報技術センター研究官(神戸大学経済経営研究所客員教授を兼務)
主要著書
『新経済学ライブラリー24 経済統計』(共著、新世社、2006年)
『西の牛肉、東の豚肉』(金子優子編著、日本評論社、2007年)
『数字を追うな 統計を読め』(日本経済新聞出版社、2013年)
『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』
(玄田有史編、第9章共同執筆、慶應義塾大学出版会、2017年)など
目次
序 章 家計簿の数字から時代を読み解き、将来を見据える
バブル崩壊以降の家計消費――統計から見えてくるもの
個々の家計からは見えてこない、日本における消費の大局的トレンド
統計数字の変遷から「今」を読み、将来を見据える
自分で家計簿を「つける」効果
第1章 日本の家計簿調査の始まり
貧困世帯の把握が目的
政府による家計調査は大正15年にスタート
戦時下の家計調査の知られざる姿
戦後の家計調査の目的は闇市の実体価格調べ
エンゲル係数70%の超貧困時代
家計調査の国際基準とは
第1章のポイント――なぜミクロデータである「家計簿」の存在が大切
なのかを知る
第2章 家計統計を見る際のポイント
家計の動態統計と構造統計
縮小する世帯規模と高齢化する世帯主
消費支出の国際分類(COICOP)
日本の収支項目分類とその体系
用途分類と品目分類のちがいは「交際費」にあり
財・サービス分類による結果とその見方
第2章のポイント――結果精度は標本規模と購入頻度から考えよう
第3章 消費生活の風景が変わった
消費支出に占める割合が上昇した交通・通信費
いまや「3C」ではない――消費者物価指数の採用品目から見た暮ら
しの変化
昔の高嶺の花はいま――グローバル化がもたらした効果
テレビの購入はデジタル化で大幅増加
デジタル化の陰で新聞は若年層で大幅減少
親類縁者の減少で低下する交際費の割合
年々早まるランドセルの購入時期――シックス・ポケットを持つ孫
バブル経済の崩壊以降、低下を続けるこづかいの割合
食料に占める外食の割合は景気の動きに連動する?
共働き世帯の増加で調理食品の割合が上昇
第3章のポイント――社会経済の変化に伴って起きるトレンド変化を読
む
第4章 どっこい賢く生きている
2014年の消費税率引上げ前後の消費行動
――1997年と比べて、なぜ駆け込み需要が高かったのか
2019(令和元)年の消費税率引上げ前の消費行動――軽減税率の効
果は?
地震の被災地から届いた家計簿
「ふるさと納税」で年末に寄付金が急増
価格高騰時、レタスは半玉で購入
定年前後の消費の変化
「再雇用期間」の消費支出は「定年前」の約9割
生鮮食品の〝旬〟は変化する
消えた? 父の日のネクタイ
節分の「恵方巻」の全国制覇
癒しを求めてペット関連支出は右肩上がり
スポーツクラブ使用料が最も高い伸びを見せるのは70代以上
高齢層で高い「マグロ」と「牛肉」の平均購入価格
若年層はポイント制度に敏感
消費支出に占める被服および履物の割合はなぜ低下したのか
第4章のポイント――個別家計の工夫の集積が生むニュートレンド
第5章 消費の地域特性、意外な事実
京都はパンとコーヒーの消費王国
産地ではない地域で消費が多い鰹節と昆布
贈答用の「コメ」はなぜ那覇で多いのか
神戸で春を告げる魚介の佃煮
近畿では「たこ」は夏の食材
タクシー移動支出が多い長崎
福井では師走にこたつで「水ようかん」
ガソリン代と公共交通機関への支出には負の相関
価格差が大きい上下水道料は支出額にも大きく影響
震災後に急増した福島のミネラルウォーター購入
第5章のポイント――昔から変わらぬものと近年大きな変化があったも
のとの比較
第6章 家計統計をさらに読み解くために
拡大する「無職」世帯の割合とその影響をみる
高齢無職世帯の収入の比較は偶数月分の平均をみる
勤労者世帯の実収入にも社会保障給付の影響が加味される
使用月と支払月のラグ
携帯電話代の動きは月末の曜日に注意が必要
「3月の冷蔵庫の平均価格が低い」のはなぜか
販売側統計と比較する際は対象範囲の確認が肝心
「実質増減率」とは何を表しているのか
新たな家計簿様式への変更と変動調整
第6章のポイント――家計簿から数字を読み解いていくことの意義とは
何か
付 録 家計調査結果の見つけ方
1 集計結果表の体系
2 ネット上で結果表を見つける手順
3 時系列や地域間の比較に便利な「e-Stat」のDB機能
4 報告書等に掲載されていない結果表の見つけ方
あとがき
参考文献