「うたのことば」に耳をすます
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-7664-2698-4 C0095
奥付の初版発行年月:2020年09月 / 発売日:2020年09月中旬
▼万葉から現代まで、歌に通底するものとはなにか。
▼中世和歌研究の第一人者の「歌の心と詞(ことば)への思索」。
古典和歌から現代短歌まで、歌に通底しているものとはなにか。
歌の研究の具体的な事例を、高校生にも十分理解できるように語り、歌の初心者(および歌についてのエッセイを読むのが好き)から歌を生業にする人々まで、「歌の未来」を読み手に託すエッセイ集。
久保田 淳(クボタ ジュン)
1933(昭和8)年、東京生れ。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科博士課程満期退学。文学博士(東京大学)。東京大学教授、白百合女子大学教授を経て、東京大学名誉教授。日本学士院会員。専門は、中世文学、和歌文学、日本文学史。主な著書、『新古今歌人の研究』(東京大学出版会、1973)、『新古今和歌集全注釈 全六巻』(角川学芸出版、2011~2012)、『久保田淳著作選集 全三巻』(岩波書店、2004)、『花のもの言う』(新潮選書、1984。岩波現代文庫、2012)、『隅田川の文学』(岩波新書、1996)、『富士山の文学』(文春新書、2004。角川ソフィア文庫、2013)、『ことば、ことば、ことば』(翰林書房、2006)、『藤原俊成 中世和歌の先導者』(吉川弘文館、2020)など。
1997年より、『和歌文学大系 全八十巻』(明治書院)の監修者として、現在まで五十四巻を刊行。残る二十六巻も進行中。
目次
■和歌と短歌
和歌と短歌
和歌、そして短歌を読む 和歌と短歌の結節点、正岡子規を軸として
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漢詩と和歌のあいだ
■西行と定家
西行像を求めて
新古今歌人の生活と文学
「ねがはくは花のしたにて」 /西行和歌私注 春の歌二首 /待賢門
院堀河と西行、そして神祇伯顕仲の齢 /古代語を詠む西行
西行と塚本邦雄
*
中世和歌と万葉集 藤原定家の三首を中心に
秋こそ月のひかりなりけれ /白菊の散らぬは残る色がほに /定家の
梅の歌 /定家邸の草樹――梅 /「花の面影」を追い求める定家 /
「雲のをちかた」という句、定家の雲の歌
■定家が選んだ歌人たち
定家が百歌仙・百名歌を選ぶまで
百人一首の歌人たち
ほととぎすと海に入る日と 藤原実定 /「恋すてふ」の歌、「須磨の
浦波」の歌 壬生忠見 /夏越の禊 藤原家隆 /月と恋と 西行 /
紅葉の錦 道真と素性 /「述懐」と恋女房の存在 藤原俊成 /峰よ
り落つるみなの川 陽成院 /高砂の松 興風 /明けぬれば暮るるも
のとは 藤原道信 /あらしの庭の雪ならで 公経 /手枕にかひなく
立たむ 周防内侍と大納言忠家 /懐旧と述懐と 順徳院 /定家の作
者認定の矛盾 中納言兼輔 /憂かりける人を初瀬の 俊頼、俊成・定
家・後鳥羽院 /多才な女歌よみの恋 相模 /「わが身ひとつ」とい
う句 千里 /紅葉を踏み分ける主体は? 猿丸太夫 /させもが露を
命にて 基俊 /淡路島通ふ千鳥 兼昌 /君がため春の野に出でて
光孝天皇
■歌のことば
古典詩歌の勧め
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きさらぎやよひ /時雨 /門松・百枝の松 /まろがまろね /閨の
月影 /千引の石 /朝雲暮雨の故事 /ひとりさめても 兼好法師集
から /すがる 蜂と鹿 /「山めぐり」という言葉 /「紅葉狩」と
いう言葉 そのささやかな語誌 /菖蒲の枕 /「雪もよに」 /「流
れ洲」という歌言葉 /「洲」さまざま 「沖つ洲」 /鳥の子・雁の
子 /尋ぬべき人は軒端の古里に /「よなよなに」「よなよなの」/
おどろの道 /雑筆ひかえから /「はたらく」ということば /「み
づからぞ憂き」という句 /「はやま」(端山)か「はまや」(浜屋)
か /「春のともし火」 /「秋のともし火」 /一葉の秋 /「雲の
澪」「雲の峰」 /富士山 /白槙の尾山・宇治の河長、家隆と定家
■歌をよむ
古今・新古今鳥十五首 /古今・新古今花十五首 /歌を写す /歌を
読む
*
「すきま」の美意識について
■子規以降の歌
正岡子規の「歌話」から /子規の薔薇の歌 /子規の山脈 /鉄幹の
『相聞』を読む /長塚節の「雑詠十六首」 『「赤光』覚え書 /
『断腸亭日乗』を読む /「昼顔の歌」余録
*
漱石の短歌十首
あとがき
索 引