マルクス主義、フェミニズム、セックスワーク論 搾取と暴力に抗うために
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-7664-2734-9 C3036
奥付の初版発行年月:2021年03月 / 発売日:2021年03月中旬
いまよみがえる、マルクス主義×フェミニズム
「日常化した女性差別へ抗う理論を必要とする人たちへ。
日本における売買春廃止論(アボリショニズム)の決定版の書!」(藤田孝典)
▼広がった格差の中で女性への差別と暴力を構造的にとらえながら、ネオリベラリズムがもたらした女性搾取のための詭弁「セックスワーク論」を正面から批判し、資本主義と男性支配という現代の二つの支配的な社会システムの悪辣さを白日のもとにさらす。
「本書はきわめて論争的な内容となっている。マルクス主義もフェミニズムも無数の論争を通じて自己を鍛えていった。両者をテーマとする本書が論争的でないわけがない。本書の立場に対立する人々、とりわけセックスワーク論を信奉する人々にとっては、本書は唾棄すべきものでしかないだろう。(中略)多くの敵対的諸関係に引き裂かれたこの社会において、誰かの憎悪と攻撃を受けることなくして、論争的テーマで何か意味のあることを語ることはできない」(「序文」より)
森田 成也(モリタ セイヤ)
1965年生まれ。大学非常勤講師。ポルノ・買春問題研究会メンバー。著作に『資本主義と性差別』(青木書店)、『資本と剰余価値の理論』(作品社)、『家事労働とマルクス剰余価値論』(桜井書店)、『マルクス剰余価値論形成史』(社会評論社)、『「資本論」とロシア革命』『トロツキーと永続革命の政治学』(以上、柘植書房新社)他。訳書に、マルクス『賃労働と資本/賃金・価格・利潤』『資本論第一部草稿──直接的生産過程の諸結果』、マルクス・エンゲルス『共産党宣言』(以上、光文社古典新訳文庫)、キャサリン・マッキノン『女の生、男の法』上下(岩波書店、共訳)、デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義』『〈資本論〉入門』『反乱する都市』『〈資本論〉第2巻・第3巻入門』(以上、作品社、共訳)他多数。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序文
第Ⅰ部 再生産、平等、性暴力
第一章 マルクス主義フェミニズムと社会的再生産理論
1 フェミニズムの歴史的流れの概観
2 家事労働論争から社会的再生産理論へ
3 社会的再生産理論(SRT)――その意義と限界
おわりに
補遺
第二章 日本国憲法と平等権――フェミニズムから読み解く戦後平等権論争
1 戦後憲法学と平等権
2 憲法一四条一項の意味Ⅰ――「平等」とは何か
3 憲法一四条一項の意味Ⅱ――具体的な条文解釈
4 一四条一項の解釈をめぐる種々の論点Ⅰ――「立法者拘束説」と
「非拘束説」
5 一四条一項の解釈をめぐる種々の論点Ⅱ――金城清子氏の提起をめ
ぐって
6 一四条一項の解釈をめぐる種々の論点Ⅲ――平等権は「empty」
な権利か?
7 一四条一項の解釈をめぐる種々の論点Ⅳ――憲法の私人間効力
おわりに――平等論の可能性
第三章 戦時の性暴力、平時の性暴力――「女性に対する暴力」の二〇世紀
はじめに
1 戦時における性暴力と日本軍「慰安婦」問題
2 平時における「女性に対する暴力」Ⅰ――ドメスティック・バイオ
レンス
3 平時における「女性に対する暴力」Ⅱ――レイプ、売買春、ポルノ
4 正当化イデオロギーの構造的相似性
おわりに
第Ⅱ部 売買春、ポルノ、セックスワーク論
第四章 売買春とセックスワーク論――新しいアボリショニズムをめざして
1 売買春をめぐる世界の状況
2 セックスワーク論とは何か、なぜそれはリベラル派を乗っ取ったか
3 セックスワーク論に対する批判Ⅰ――人権論からの原理的批判
4 セックスワーク論に対する批判Ⅱ――その正当化論に対する論理的
批判
5 北欧モデルにもとづく新しいアボリショニズムに向けて
第五章 ポルノ被害と新しい法的戦略の可能性
1 「わいせつ/表現」から「差別/実践」へ
2 マッキノン=ドウォーキン条例の五類型から新しい五大分類へ
3 最初のポルノ被害――制作被害
4 ポルノの流通被害
5 ポルノの消費被害
6 ポルノの社会的被害
7 最後のポルノ被害――存在被害
8 新しい法的戦略の可能性
補遺
第六章 マルクス主義と売買春――セックスワーク論はなぜ間違いか
Ⅰ マルクス主義と売買春
1 マルクスとエンゲルス
2 第二インターナショナルの理論家
3 第三インターナショナルの理論家
4 戦後におけるマルクス主義の転換
Ⅱ セックスワーク論はなぜ間違いか
1 セックスワーク論と全面的非犯罪化論の主張
2 北欧モデルに対するセックスワーク派の批判
3 なぜセックスワーク論と包括的非犯罪化論が世界中に広まったのか
あとがき
事項・人名索引