慶應義塾大学教養研究センター選書21
コミュニティと芸術 パンデミック時代に考える創造力
価格:770円 (消費税:70円)
ISBN978-4-7664-2739-4 C0336
奥付の初版発行年月:2021年03月 / 発売日:2021年04月中旬
▼あらたなコミュティの在り方を考える。
コロナ禍で人々の日常とコミュニティの在り方は大きく変容した。本書では、ストリート・アートや、オリンピック・文化オリンピアード構想の現状をふまえ、アフターコロナのコミュニティづくりにとって重要な鍵となる「芸術」と「創造力」について考察する。
この社会に生きる当事者としての私たちは、個人の持つ創造力をどう理解し、そして発揮していくべきか。クリエイティブの意味を再考しつつ、人間存在の意義を問う。
横山 千晶(ヨコヤマ チアキ)
慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は19世紀のイギリス文化。ヴィクトリア朝に始まった芸術と生活の融合と、コミュニティ構築に果たす芸術の役割をテーマとして、研究と実践を重ねている。
訳書に、ウィリアム・モリス著「ジョン・ボールの夢」(晶文社、2000年)、ジョージ P ・ランドウ著「ラスキン――眼差しの哲学者」(日本経済評論社、2010 年)。著作に「愛と戦いのイギリスの文化史――1900-1950年(共著、慶應義塾大学出版会、2007年)、「愛と戦いのイギリス文化史――1951-2010年」(共著、殿應義塾大学出版会、2011年)、「芸術と福祉――アーティストとしての人間 」(共著、大阪大学出版会、2009年)、『ジョン・ラスキンの労働者教育――「見る力」の美学』(慶應義塾大学教養研究センター、2018年)などがある。
毎週火曜日に、横浜市中区石川町で、「共に表現すること」と「共に食べること」を中心とした小さな居場所、「カドベヤで過ごす火曜日」を運営する一人として、暮らしの中の芸術の意義を仲間と共に模索している。
目次
はじめに
第1章 パンデミック時代のコミュニティ
1-1 「4つの階級」
1-2 「人種差別こそがパンデミックである」
1-3 変化する「コミュニティ」の意味
第2章 パンデミックと新たな公共芸術
2-1 公共の資産としての芸術
――コロナウイルスと各国の文化政策
2-2 ≪ゲーム・チェンジャー≫
――ストリート・アートの新たな役割
2-3 イリーガルからリーガルへ
――ストリート・アートと町の再生
第3章 アーティストはなぜ生命維持に必要なのか
3-1 再びコロナ禍の文化政策を考える
3-2 Tokyo2020とLondon2012
――オリンピックと文化オリンピアード
3-3 London2012
――「ゲーム・メイカー」とボランティア精神
3-4 イギリスの文化政策と創造産業の誕生
3-5 創造産業と教育、そしてコミュニティの再建
第4章 創造産業という文化政策に翻弄される芸術
4-1 ストリートのアートとオリンピック
――だれのためのアートか
4-2 London2012とイースト・ロンドンの戦い
4-3 イギリス創造産業の行方
――経済システムの中の創造力
第5章 クリエイティブ再考
5-1 変わりゆく「創造性」
5-2 カズオ・イシグロの「クリエイティブ」批判
――『わたしを離さないで』
5-3 それでも人は描き、歌い、踊る
あとがき――アートは日常の中にある
引用参考文献