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日米比較を中心として競争法におけるカルテル規制の再構築

慶應義塾大学法学研究会叢書91
競争法におけるカルテル規制の再構築 日米比較を中心として

A5判 208ページ 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-7664-2748-6 C3032
奥付の初版発行年月:2021年06月 / 発売日:2021年06月中旬

内容紹介

米国反トラスト法の運用に伴って形成されてきた、法適用にあたっての分析枠組みを解説し、日本の独禁法政策に理論的示唆を提供する。

米国反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)の適用にあたっては、様々な訴訟の判例が累積される中で、「当然違法の原則」「簡略化された合理の原則」「合理の原則」という3つの分析枠組み(分析手法)が形成されてきた。
本書は、これらの分析手法を紹介し、特に企業間の共同行為に対するシャーマン法1条の適用をめぐる裁判所の分析手法の選択及び、そこに影響を与えようとする原告及び被告の主張・立証というダイナミックなプロセスを解説するとともに、現在の日本における独禁法政策の再考を促す理論的示唆を提供する。

著者プロフィール

田村 次朗(タムラ ジロウ)

慶應義塾大学法学部教授、ハーバード大学国際交渉学プログラム・インターナショナル・アカデミック・アドバイザー、ホワイトアンドケース法律事務所特別顧問(弁護士)、日本説得交渉学会会長、交渉学協会理事長、社会実学研究所所長。
1959年生まれ。1981年慶應義塾大学法学部卒業、1985年ハーバード・ロー・スクール修士課程修了(フルブライト奨学金、ハーバード大学奨学生)、1987年慶應義塾大学大学院法学研究科民事法学専攻博士課程。
ブルッキングス研究所研究員、アメリカ上院議員事務所客員研究員、ジョージタウン大学ロー・スクール兼任教授、慶應義塾大学総合政策学部教授を経て、1997年より現職。この間、慶應義塾大学国際センター副所長、同大学産業研究所副所長、同大学外国語学校長を務める。
専門は経済法、国際経済法、交渉学。
主要著作に、『交渉の戦略』(ダイヤモンド社、2004年)、『WTOガイドブック第2版』(弘文堂、2006年)、『企業のコンプライアンスと独占禁止法』(共著、商事法務、2006年)、『法と経済学』(共著、東京大学出版会、2007年)、『ビジュアル解説 交渉学入門』(共著、日本経済新聞出版社、2010年)、『独占禁止法 第4版』(共著、弘文堂、2013年)、『交渉学入門 ハーバード×慶應流』(中公新書ラクレ)(中央公論新社、2014年)、『戦略的交渉入門』(日経文庫)(共著、日本経済新聞出版社、2014年)、『16歳からの交渉力』(実務教育出版、2015年)、『リーダーシップを鍛える「対話学」のすゝめ』(共著、東京書籍、2021年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 説得的な論証を支える分析手法の探求

第1章 共同行為規制の基本的な考え方――アリーダ教授の見解
 第1節 当然違法と合理の原則
 第2節 アリーダ教授の見解
 第3節 アリーダ教授の見解に対する議論状況
 第4節 おわりに

第2章 共同行為規制に関する連邦最高裁判例の変遷
 第1節 合理の原則の判例
 第2節 当然違法の判例
 第3節 分析手法に関する議論の転換点となる判例
 第4節 簡略化された合理の原則
 第5節 おわりに

第3章 共同行為規制に関する簡略化された合理の原則の登場
 第1節 事件の背景
 第2節 最高裁の判決
 第3節 判決の意義
 第4節 「簡略化された合理の原則」の考慮要素
 第5節 おわりに

第4章 共同行為規制と単一事業体の法理
 第1節 NCAA事件
 第2節 プロフェッショナル・スポーツと反トラスト法
 第3節 考察
 第4節 おわりに

第5章 共同行為規制と共同事業体における内部制限
 第1節 スポーツリーグに対する反トラスト法の適用について
 第2節 大学スポーツとアマチュアリズム、そして反トラスト法の適用
 第3節 おわりに

第6章 共同行為規制における意識的並行行為――プラスファクター・立証
 第1節 反トラスト政策と意識的並行行為
 第2節 シャーマン法と意識的並行行為
 第3節 FTC法5条と意識的並行行為
 第4節 おわりに

第7章 日本への示唆――不当な取引制限の再構築
 第1節 従来の判審決・学説の動向
 第2節 独占禁止法の制定経緯
 第3節 初期の運用
 第4節 おわりに

あとがき
参考文献
判例索引


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