長与専斎と内務省の衛生行政
価格:5,940円 (消費税:540円)
ISBN978-4-7664-2750-9 C3021
奥付の初版発行年月:2021年06月 / 発売日:2021年05月下旬
▼近代日本の衛生行政の基礎はいかに築かれたのか?
▼西洋の「衛生」の概念をモデルにした長与専斎の構想が、衛生行政に与えた影響を検証。
▼感染症に関する衛生行政に注目が集まる今、見直されるべき業績。
明治期日本の衛生行政黎明期における、初代内務省衛生局長・長与専斎の構想と行動を検証。
医学を法律・政策をもって政府が積極的に運用する「政務的運用」と、その効果を上げるための「官民協調」の二つの方針を第一次資料から明らかにする意欲作。
小島 和貴(コジマ カズタカ)
桃山学院大学法学部教授。
慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)(慶應義塾大学)。専門は日本行政史。
目次
はじめに
第一部 医学等学術の「政務的運用」論の展開
第一章 長与専斎と衛生行政 ――医学等学術の「政務的運用」の視座
一 西洋における「健康保護」への注目
二 長与専斎の西欧諸国における調査
三 岩倉遣外使節団より帰国後の長与専斎
四 衛生事務の内務省への移管と長与専斎
五 医学等学術の「政務的運用」論と「衛生事務拡張」論
六 医学等学術の「政務的運用」論と後藤新平
(一)「生理的円満」と「衛生法」
(二)「衛生制度」
七 医学等学術の「政務的運用」論と内務省の方針
八 医学等学術の「政務的運用」論とその支持者たち
第二章 医学等学術の「政務的運用」論の具体化と内務省衛生行政の再
編に向けた取り組み
一 長与専斎とコレラの流行
二 中央衛生会及び地方衛生会の設置と伝染病予防規則の制定
三 府県衛生課及び町村衛生委員の設置
四 医学等学術の「政務的運用」と伝染病予防及消毒心得書(明治二
三年の「心得書」)
五 後藤新平と伝染病予防法の制定
六 内務省衛生事務の所管と調整
(一)内務省衛生局と「健康保護」事業
(二)衛生局と警保局
(三)衛生事務をめぐる関係者たち
七 内務省衛生局の衛生行政改革とその効果
第三章 医学等学術の「政務的運用」論の具体化と地方衛生行政の再編
に向けた取り組み
一 長与専斎と地方衛生行政
二 内務省諮問会開催の経緯
三 内務省諮問会と地方衛生行政
四 内務省諮問会と府県連合衛生会の開催
(一)開催の経緯
(二)第一回府県連合衛生会の開催とその意義
五 明治二六年地方官官制の公布と医学等学術の「政務的運用」論
六 医学等学術の「政務的運用」の推進と地方行政との連携
(一)住民及び吏員の意識
(二)地方衛生費
七 地方衛生行政改革とその効果
第二部 「官」と「民」の協調論の推進
第四章 「官」と「民」の協調論の提唱
一 長与専斎と伝染病予防のための「心得書」
二 虎列剌病予防法心得(明治一〇年の「心得書」)
三 伝染病予防法心得書(明治一三年の「心得書」)
四 大日本私立衛生会の創設と住民との連携
五 虎列剌病予防消毒心得書(明治一九年の「心得書」)
六 伝染病予防及消毒心得書(明治二三年の「心得書」)
七 「官府の為すべき事項」と「人民の為すべき事項」
第五章 「官」と「民」の協調論の具体化――「衛生工事」を事例とし
て
一 「衛生工事」への関心
二 医学等学術の「政務的運用」と「衛生工事」
三 大日本私立衛生会における長与専斎の活動と「衛生工事」
(一)「衛生工事」と住民の意識
(二)「衛生工事」と「自治」
四 水道条例の制定と「官」と「民」の協調論
五 「富ノ発達」の保護と「文明ノ市街」の建設
六 「衛生工事」の進展と「官」と「民」の協調
おわりに
注
主要参考資料及び文献
あとがき
初出一覧
長与専斎略年譜
索引