コロナ禍における個人と企業の変容 働き方・生活・格差と支援策
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-7664-2780-6 C3033
奥付の初版発行年月:2021年11月 / 発売日:2021年11月中旬
◆ ポストコロナを見据えた個人・企業パネル調査による多様化分析 ◆
百年に一度の災禍が世界を襲った2020年。この激変は誰の働き方を変え、生活や意識・所得格差にどんな変化をもたらしたのか?
テレワークの影響や主観的ウェル・ビーイングの変化、収入が激減した企業・フリーランス・世帯への支援策など、多角的な観点からわが国の雇用・労働環境を俯瞰分析した経済学・社会学研究者による総合研究!
▼ コロナ禍は、日本人の生活や意識にどう影響しているのか?
▼ 第一線で活躍中の経済学・社会学研究者が、膨大な個人・企業パネルデータを分析し、今後の政策課題を検討する。
1年では収束しなかったコロナ・パンデミック。この疫病の世界的蔓延は、日本にも例外なく、甚大な影響を及ぼした。単に経済的ダメージのみならず、人びとの心理面や働くことに対するインセンティブの変化などへのインパクトは計り知れないものがある。本書では「雇用、労働、社会的変化、主観的幸福の意味」といった側面に焦点を当て、この歴史的な時期をアカデミックなスタンスから分析する。
労働政策研究・研修機構(JILPT) のオリジナル・パネルデータやNHK との共同調査データ等を用いて、他社類書にはない独自の分析を試みている点が本書最大の特長。それらのデータ群に、経済学者・社会学者たちが真摯に向き合い、巧みに比較検討し、未来への提言に繋げていく。
樋口 美雄(ヒグチ ヨシオ)
独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長
1952年生まれ。80年、慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了。博士(商学)。
1991年より慶應義塾大学商学部教授、2018年より現職。慶應義塾大学名誉教授。
慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長、内閣府・統計委員会委員長等を歴任。
2016年、紫綬褒章を受賞。
【主な業績】
『日本経済と就業行動』東洋経済新報社、1991年
『雇用と失業の経済学』日本経済新聞社、2001年
『大学への教育投資と世代間所得移転』(共編著)勁草書房、2017年
『格差社会と労働市場』(共編著)慶應義塾大学出版会、2018年
目次
序 章 本書の目的と「JILPT個人パネル調査・企業パネル調査」の概要(樋口美雄・中井雅之)
第Ⅰ部 企業行動と企業支援策の効果分析
第1章 コロナ禍の市場変動と企業対応――マクロ・ミクロの視点から
(井上裕介)
第2章 コロナ禍の企業業績の変化と需要喚起策・雇用維持策の効果
(小林徹)
第3章 コロナ禍の政府による企業支援策と雇用維持・雇用削減への各
効果(福田皓・山本勲)
第Ⅱ部 テレワークの実施企業の特徴と労働者への影響
第4章 職業特性によるテレワークの可能性とコロナ以降の企業行動
(荻島駿・権赫旭・児玉直美)
第5章 コロナ禍のテレワーク勤務の持続性と一過性(神林龍)
第6章 緊急事態宣言は誰の働き方を変えたか(大竹文雄・加藤大貴)
第7章 コロナ禍の在宅勤務による生活時間の変化――「新しい日常生
活」(高見具広・山本雄三)
第Ⅲ部 雇用形態別・性別労働者への影響と所得格差の拡大
第8章 コロナ禍の非正規雇用者――仕事と生活への影響を中心に(高
橋康二)
第9章 コロナ禍の女性雇用(周燕飛)
第10章 コロナ禍で女性の主観的ウェルビーイングが男性よりも低下
している理由(打越文弥・ジェイムズ・レイモ・由里詩奈)
第11章 コロナショック初期の失職や収入減少に関する個人属性間格
差の国際比較(石井加代子・山本勲・吉田大喜)
第12章 コロナショックの所得格差拡大への影響――社会階層の視点
から(黒川すみれ)
第Ⅳ部 フリーランスと所得支援策の効果分析
第13章 コロナ禍に踏みとどまったフリーランスとは――テレワー
ク・オンラインの効用(玄田有史)
第14章 コロナ禍のフリーランスの収入減少と家計悪化(長松奈美
江)
第15章 コロナ禍におけるフリーランスへの支援策とその効果(仲修
平)
付 第1回アンケート調査票
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編者略歴