データとモデルの実践ミクロ経済学 ジェンダー・プラットフォーム・自民党
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-7664-2797-4 C3033
奥付の初版発行年月:2022年06月 / 発売日:2022年06月中旬
▲データによる実証分析とモデルによる理論分析の協演!
▲ビジネス・テック・政治といった他分野を越境するミクロ経済学
▲入門書や教科書の「先」を知りたい人のための新しいスタイルの研究書
昨年のノーベル経済学賞授賞対象となった「因果推論」。そうした学問的進展を踏まえながらも、経済学の伝統である理論分析をどういかすか。「ジェンダー」「プラットフォーム」「自民党」といった現代日本における喫緊のテーマを対象にして著者自身が携わった研究成果をまとめる。ミクロ経済学の「実践」の新たなる可能性を示す。
安達 貴教(アダチ タカノリ)
京都大学経営管理大学院・大学院経済学研究科准教授。米ペンシルヴェニア大学博士(経済学)。東京工業大学、名古屋大学勤務などを経て、2021年4月より現職。専攻は、産業組織論、競争政策論、応用ミクロ経済学、実証ミクロ経済学。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
Ⅰ 基本編
第1章 経済学における実証と理論――実践ミクロのための二本柱
1.1 経済学の方法
1.2 演繹と帰納
1.3 データサイエンスとしての経済学
1.4 実証とは何か:因果推論入門
1.5 「実証」だけではわからない二つの論点
ショートブレイク:経済学と日本語
第2章 理論分析のレッスン――価格差別をモデル化する
2.1 経済モデルとは何か
2.2 学生料金をモデルで考える
2.3 因果関係としての解釈
2.4 モデルの拡張:グループ間の外部性の導入
2.5 ジェンダーに基づく価格差別?
章末付録 2.A 需要曲線の推定のアイディア
第3章 実証分析のレッスン――起業におけるジェンダー・ギャップの背景を探る
3.1 起業におけるジェンダー・ギャップ
3.2 ジェンダー・ギャップに関するデータ
3.3 起業のモデルを考える
3.4 分析結果:パートタイム労働がカギ
3.5 パートタイム労働をどう位置付けるのか?
3.6 社会における交渉的側面
章末付録 3.A モデルの詳細
章末付録 3.B キタガワ=オアハカ=ブラインダー分解
コーヒーブレイク:経済学界・舞台ウラ事情
Ⅱ 中級編
第4章 交渉理論入門
4.1 交渉理論とゲーム理論
4.2 交渉のモデル化(1):ナッシュ交渉解
4.3 交渉のモデル化(2):ルービンシュタインの定式化
4.4 効率性と公平性のトレードオフ
章末付録 4.A 部分識別について
第5章 プラットフォームの経済学――企業間取引の交渉モデル
5.1 プラットフォーム・ビジネスと両面市場
5.2 事業者間(B2B)取引の交渉モデル
5.3 分析結果:B2B取引様式の選択
5.4 「優越的地位の濫用」規制をどう考えるか:「法と経済学」的な視
点から
5.5 プラットフォームの存在をどう位置付けるべきか?
5.6 企業間交渉から政治的交渉へ
章末付録 5.A モデルの詳細
章末付録 5.B プラットフォーム間の競争
幕間:文芸誌は儲からないのに、なぜ廃刊にならないのか?
Ⅲ 上級編
第6章 交渉としての組閣――自民党政権の派閥交渉をモデル化する
6.1 組閣を交渉として捉える
6.2 自民党単独政権時における組閣の特徴
6.3 内閣形成の交渉モデルの構築
6.4 交渉モデル構築の実際
6.5 均衡の特徴付け
6.6 交渉モデルの推定に向けて
章末付録 6.A モデルの詳細
第7章 組閣交渉モデルの推定
7.1 データ
7.2 分析結果:自民党で重要視されていた大臣ポストは何か?
7.3 政治家にとっての「魅力」の源泉は何か?
7.4 省庁再編以後について
7.5 マルクス・アウレリウス・アントニヌスの教え
章末付録 7.A モデルの詳細
章末付録 7.B モデルのパラメータと、その推定値(55年体制期)
章末付録 7.C パラメータの推定値(省庁再編以後)
終わりに 経済学の多様性
読書案内
あとがき
参考文献
索引