コミュニケーション研究 第5版 社会の中のメディア
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-7664-2810-0 C3036
奥付の初版発行年月:2022年04月 / 発売日:2022年04月上旬
▼好評テキストの改訂第5版。
▼SNSなど近年の社会変化や新データに対応した最新版。
広範なコミュニケーションを考える入門書。コミュニケーションが社会の中で果たす役割、ソーシャルメディアや新たなメディアの社会的影響などを体系的に整理し、図表を掲げわかりやすく解説。
大石 裕(オオイシ ユタカ)
慶應義塾大学名誉教授、十文字学園女子大学特別招聘教授、東海大学文化社会学部特任教授。博士(法学)。
1956年東京に生まれる。1979年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1985年慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程(政治学専攻)修了。(財)電気通信政策総合研究所、関西大学、慶應義塾大学法学部政治学科教授を経て現職。
主要著作:『地域情報化――理論と政策』(世界思想社、1992年)、『政治コミュニケーション――理論と分析』(勁草書房、1998年)、『ジャーナリズムとメディア言説』(勁草書房、2005年)、『現代ニュース論』(共著:有斐閣、2000年)、『メディア・ナショナリズムのゆくえ――「日中摩擦」を検証する』(共編著:朝日新聞社、2006年)、『ジャーナリズムと権力』(編著:世界思想社、2006年)、『メディアの中の政治』(勁草書房、2014年)、『ジャーナリズムは甦るか』(共著:慶應義塾大学出版会、2015年)、『批判する/批判されるジャーナリズム』(慶應義塾大学出版会、2017年)、『国家・メディア・コミュニティ』(慶應義塾大学法学研究会、2022年)など。
訳書:M. マコームズほか『ニュースメディアと世論』(関西大学出版部、1994年)、G.E. ラング・K. ラング『政治とテレビ』(共訳:松籟社、1997年)、D. マクウェール『マス・コミュニケーション研究』(監訳:慶應義塾大学出版会、2010年)など。
目次
第Ⅰ部 コミュニケーションの構造と機能
第1章 コミュニケーションの基礎概念
1-1.コミュニケーションのとらえ方
(1) 社会過程としてのコミュニケーション
(2) コミュニケーションの定義
(3) 意味の共有という問題
1-2.コミュニケーション分析の基本単位
(1) 一方向的なコミュニケーション・モデル
(2) 効果分析の重要性
(3) フィードバック概念の導入
(4) マス・コミュニケーションのモデルへの展開
1-3.コミュニケーションの分類
(1) パーソナル・コミュニケーション
(2) 中間コミュニケーション
(3) マス・コミュニケーション
(4) 利用メディアと伝達される情報
1-4.情報行動と情報環境
(1) 情報環境の中での情報行動
(2) 共有される情報環境
(3) コピーの支配と擬似環境の環境化
(4) 擬似環境におけるジャーナリズムの働き
1-5.「現実」の社会的構築・構成
(1) 個人から情報環境、そして行為の現場への働きかけ
(2) 「現実」の社会的構築・構成モデル
(3) 予期される反応と「現実」の社会的構築・構成
(4) 現実の「意味」の社会的構築・構成
(5) 社会問題とメディア―社会構築主義―
第2章 コミュニケーションと社会構造
2-1.コミュニケーションの機能
(1) 「機能」について
(2) コミュニケーションの機能
(3) コミュニケーションの機能とシステムの維持・安定
2-2.コミュニケーション効果・影響の研究
(1) コミュニケーション効果・影響研究の分類基準
(2) ミクロ―非累積的研究:説得研究
(3) ミクロ―累積的研究:社会化研究
(4) マクロ―非累積的研究:世論研究・流言(デマ)研究
(5) マクロ―累積的研究:コミュニケーションと社会変動の研究
2-3.「情報 / コミュニケーション / 社会」の関連図式
(1) 社会過程 / 社会関係 / 社会構造
(2) 第Ⅰ層:情報の発信・伝達 / 交換・受容過程
(3) 第Ⅱ層:社会関係(物理的・文化的情報装置)
(4) 第Ⅲ層:社会構造・文化構造
第Ⅱ部 マス・コミュニケーションとジャーナリズム
第3章 近代社会とマス・コミュニケーション
3-1.近代化の進展と近代社会の成立
(1) 近代化の諸傾向
(2) 分化と統合
(3) 近代社会の特徴
(4) グローバリゼーション
3-2.情報環境の拡大と大衆社会の出現
(1) 「市民社会」実現の期待
(2) 大衆社会の脆弱性
(3) パワー・エリート論
3-3.マス・メディアの発達と普及(1)―欧米社会―
(1) 「出版資本主義」と国民国家
(2) 大衆紙の登場
(3) ラジオの黄金期
(4) 20世紀・最強のメディア=テレビ
3-4.マス・メディアの発達と普及(2)―日本社会―
(1) 新聞の普及
(2) ラジオの普及
(3) テレビの普及
3-5.マス・コミュニケーションの機能
(1) マス・コミュニケーションの機能と逆機能
(2) マス・メディアの機能分析―テレビを中心に―
3-6.日本社会におけるメディア接触と機能評価
(1) メディア接触
(2) 各メディアの機能評価
第4章 マス・コミュニケーションの効果・影響モデルの変遷
4-1.「市民社会」とマス・メディア
(1) 市民的「公共圏」
(2) 啓蒙機関としてのマス・メディア
(3) マス・メディア批判の視角
4-2.弾丸効果モデル
(1) 宣伝研究
(2) パニック研究
(3) キャンペーン研究
4-3.限定効果モデル
(1) 大衆社会と多元社会
(2) 個人的要因
(3) 集団的要因
(4) マス・コミュニケーション効果の一般化
(5) 利用満足研究
4-4.強力効果モデル
(1) アジェンダ(議題)設定モデル
(2) 沈黙の螺旋モデルと第三者効果仮説
(3) 培養理論
(4) メディア依存理論
4-5.強力影響・機能モデルと複合モデル
(1) スキーマ理論
(2) メディア・フレーム論
(3) 能動的オーディエンス論とテクスト論
4-6.ソーシャル・メディアの普及とマス・メディアの影響力
第5章 政治コミュニケーション論の展開
5-1.政治コミュニケーション論の視座
5-2.政治コミュニケーションの効果・影響研究
(1) 選挙キャンペーン
(2) 政治コミュニケーション効果・影響研究に対する批判
(3) 政治コミュニケーション効果・影響研究の修正と分類
5-3.批判的コミュニケーション論
(1) マルクス主義的政治コミュニケーション論
(2) 批判的コミュニケーション論の展開
(3) イデオロギー装置としてのマス・メディア
5-4.多次元的権力観と政治コミュニケーション
(1) 多次元的権力観
(2) 多次元的権力状況におけるマス・メディアの役割
5-5.政治コミュニケーションの排除モデル
(1) 排除モデルの視座
(2) カルチュラル・スタディーズ
(3) 「能動的オーディエンス論」再考
(4) 言説分析
5-6.ソーシャル・メディアとポピュリズム政治
第6章 ジャーナリズムの自由と責任
6-1.マス・メディアの自由
(1) 「自由」のとらえ方
(2) 法制度的な保障
6-2.マス・メディアの自由に関する四理論
(1) 権威主義理論
(2) ソビエト=全体(共産)主義理論
(3) 自由主義理論
(4) 社会的責任理論
6-3.マス・メディアの自由に関する他の理論構成
(1) 発展のためのメディア理論
(2) 民主的参加のためのメディア理論①―アクセス論への展開―
(3) 民主的参加のためのメディア理論②―批判的コミュニケーシ
ョン論からの展開―
(4) 民主的参加のためのメディア理論③―ソーシャル・メディア
論の展開―
6-4.マス・メディアの規制と倫理
(1) 放送に対する規制
(2) 放送に対する規制根拠
(3) メディアの自主規制
6-5.ジャーナリズム活動の問題点
(1) ニュースのとらえ方
(2) ゲートキーパーとニュース・バリュー
(3) ニュースの共通性
(4) ニュースの共通性の要因①―ニュース組織とジャーナリスト
―
(5) ニュースの共通性の要因②―記者クラブと発表ジャーナリズ
ム―
(6) ニュースの共通性の要因③―客観報道―
(7) ニュースの共通性の要因④―ニュースの物語―
(8) ニュースの共通性の要因⑤―テレビ・メディアの特質―
6-6.ジャーナリズムと「現実」の社会的構築・構成
(1) 濾過と省略の作用
(2) 現実の社会的構築・構成①―擬似イベント
(3) 現実の社会的構築・構成②―メディア・イベント
(4) マス・メディア組織内での「現実」の社会的構築・構成
6-7.新たなジャーナリズムの模索と課題
(1) ニュー・ジャーナリズム
(2) インターネット・ジャーナリズム
第Ⅲ部 情報化の進展とコミュニケーションの変容
第7章 情報化の進展と情報社会論
7-1.情報化のとらえ方
7-2.情報化の進展とメディアの変容
(1) 情報流通センサス
(2) コンピュータ・スマートフォンなどの端末機器の開発・普及
(3) 通信伝送路の整備・高度化
(4) メディア間の融合
7-3.情報社会論と情報化政策
(1) 脱産業社会論としての情報社会論
(2) 各国の情報化政策
7-4.日本における情報社会論と情報化政策の展開
(1) 未来社会論
(2) ニューメディア論
(3) マルチメディア論
(4) 国家戦略としての情報化
第8章 情報化の進展とコミュニケーション過程
8-1.情報社会モデルと文化=コミュニケーション・モデル
(1) 情報社会モデル
(2) 文化=コミュニケーション・モデル
8-2.個人・家庭生活の情報化
(1) 個人・家庭生活の情報化の指標
(2) インターネットの利用時間と利用目的
(3) 情報化の進展と価値(観)の多様化
(4) 個人間のデジタル・ディバイド
8-3.情報化と地域社会
(1) ケーブルテレビへの期待
(2) 地域情報化構想
(3) 情報化の地域間格差
(4) 地域コミュニティとヴァーチャル・コミュニティ
(5) 地方の危機と地域コミュニティ論
8-4.情報化とマス・コミュニケーション
(1) 新聞への影響
(2) 放送への影響
8-5.情報化とグローバル・コミュニケーション
(1) 情報の「南北問題」
(2) 戦争報道
(3) ディアスポラ・コミュニティ
(4) インターネットと国家間のデジタル・ディバイド
第9章 日本社会の情報化と近代化
9-1.「狭義の情報化」と「広義の情報化」
9-2.近代化の開始と交通・通信の創業
9-3.国家統合の進展と交通・通信網の整備
(1) 地域間交流の活発化
(2) 中央の成立と地方の従属化
9-4.産業化・都市化の進展と情報の大衆化
(1) 産業化と都市化
(2) マス・メディア時代の到来と言論統制
9-5.高度産業社会における情報の一極集中
9-6.戦後日本社会における集合的記憶とメディア
9-7.日本社会の中の情報化
引用/参照文献
索引