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裁判例を用いた「法と経済学」の実証研究談合・価格協定事件の経済分析

談合・価格協定事件の経済分析 裁判例を用いた「法と経済学」の実証研究

四六判 388ページ 上製
価格:6,050円 (消費税:550円)
ISBN978-4-7664-2823-0 C3033
奥付の初版発行年月:2022年04月 / 発売日:2022年04月中旬

内容紹介

▼「経済事件」の背景を実際の数値データを用いて分析。
▼判例・勧告等の資料から法律家の判断と経済学的知見を比較。
▼「法と経済学」分野に実証分析の専門家がアプローチ。

価格協定事件や入札談合事件に関する法務資料をもとに、計量経済学的な実証分析を行う。近年注目されている「法と経済学」の分野でも、実際の判例を用いた研究は少ない。それらの経済事件は、消費者に多大な損害を与えることが知られている。「法と経済学」分野の新しい可能性を模索する。

著者プロフィール

牧 厚志(マキ アツシ)

1948生。慶應義塾大学商学部助手(1973~1979)、同助教授(1979~1987)、同教授(1987~2009)、東京国際大学経済学部教授(2009~2018)。この間に客員研究員(Harvard U. 1982~84、2001、2014、ANU(オーストラリア)1990、Massey U.(NZ)1991、UWA(オーストラリア)1993、Victoria U. of Wellington(NZ)1997、Bureau of Labor Statistics 2001、U. of Sydney 2002)、客員教授(大阪大学 1989、ESSEC(フランス)1994,2005、Willamette U. 2011)等。

学位:博士(経済学)、慶應義塾大学、1993。
主要論文:“Liquidity constraints: A cross-section analysis of housing purchase behavior of Japanese households,” Review of Economics and Statistics, 1993, “An analysis of under-reporting for micro-date sets: The misreporting of double-hurdle model, ” Economics Letters, 1996(共著)、“Changes in New Zealand consumer living standards during the period of deregulation 1984-1996, ” Economic Record, 2002.
主要著書:『日本人の消費行動』(筑摩新書、1998)、『消費者行動の実証分析』(日本評論社、2007)、Introduction to Estimating Economic Models (Routledge、2011)。
主要編著:Poverty Inequality and Growth in Developing Countries (Routledge、2015)。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第1章 問題の所在
──自由と正義
 1 目的と背景
 2 経済事件と法
 3 経済紛争が起こる基本的諸要因
 4 厚生経済学の基本定理とコースの定理
 5 実証分析の方法
 6 本書の構成

第2章 法と経済学の実証分析とその哲学的基礎
 1 はじめに
 2 経済の実証分析
 3 経済の実証分析に関する2つの分析例
 4 経済の実証分析による結果と規範分析による望ましい政策の間の
 ギャップ
 5 法と経済学の実証分析:判例をベースにした実証分析
 6 おわりに

 コラム1:個人と社会

第3章 石油製品価格協定刑事事件と損害賠償請求事件
──計量経済分析の応用
 1 はじめに
 2 審決と判決
 3 一連の判決に関する論争
 4 統計的方法による検討
 5 おわりに

 コラム2:取引と市場
 コラム3:モデルと条文

第4章 水道メーター談合事件と損害賠償請求事件
──契約形態の変化と落札価格の変動
 1 はじめに
 2 水道メーター談合事件
 3 損害賠償請求事件
 4 談合事件と損害賠償請求事件の考察
 5 シミュレーション分析
 6 おわりに

第5章 官製談合事件
──防衛庁調達実施本部と北海道開発庁のケース
 1 はじめに
 2 防衛庁調達実施本部談合事件
 3 北海道開発庁談合事件
 4 おわりに

 コラム4:意思と結果

第6章 ストーカ炉談合事件と損害賠償事件
──地方自治体間の予定価格の散らばりと高い落札率
 1 はじめに
 2 ストーカ炉入札談合事件
 3 データ分析
 4 アウトサイダー、落札率、予定価格に係る考察
 5 経済分析
 6 本件に係る損害賠償請求事件
 7 おわりに

第7章 多摩地区入札談合事件(1)
──落札価格が2極化した事件
 1 はじめに
 2 多摩地区入札談合事件
 3 総合的な考察
 4 本章のまとめ

第8章 多摩地区入札談合事件(2)
──住民と地方公共団体による損害賠償事件
 1 はじめに
 2 多摩地区入札談合事件──損害賠償請求事件
 3 おわりに

第9章 東京都下水道ポンプ設備談合事件
──予定価格入札前公表による応札行動の変化
 1 はじめに
 2 東京都下水道ポンプ設備工事談合事件
 3 計量経済分析──談合と高い落札率の関係
 4 検討する3つの事件とその基礎データ
 5 3つの事件に関する計量経済分析
 ──ロジットモデルとプロビットモデル 
 6 おわりに

第10章 法と経済学の実証分析に基礎をおいた政策論
 1 はじめに
 2 実証分析の結果と規範分析による政策のギャップ
 3 ウェーバーの社会科学と社会政策に係る主張とミュルダールの価値
 前提
 4 法と経済学の実証分析結果の利用の仕方
 5 6つの談合事件に係る政策論
 6 マクロ経済政策の法的基礎
 7 経済格差、強者の論理について


参考文献
あとがき
索引


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