六匹のマウスから3 実中研流 世界標準システムのつくり方
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-7664-2824-7 C0030
奥付の初版発行年月:2022年04月 / 発売日:2022年05月上旬
従来の「発がん性試験」を根底から変えるマウスとそれを安定供給する世界標準システムを構築
▼公益財団法人実験動物中央研究所(実中研)は、実験動物をいかに人のために活かすかを底流に実験動物の開発、均一化、量産化を実現してきた。その中でヒトのがん遺伝子を人為的に組み込んだのがrasH2マウスであり、従来2年かかっていた発がん性試験を6カ月に短縮し、世界中に安定供給するシステムを開発・実用化した。欧米をはじめ海外で本格的な学術/営業活動を展開する中で、「単体」のマウスを提供するのではなく、トータルな動物実験システムとしての提供を確立した。
2022年、実中研は創立70周年を迎えた。創立以来、常に利用者を意識してきたその風土が「世界標準システム」に結実したのだ。バイオ関連に限らず、大切な人生を前向きに生きたいすべての人々に、ぜひ読んでいただきたい1冊である。
野村 龍太(ノムラ リュウタ)
1953年、東京生まれ。慶應義塾にて16年間学び、1976年、慶應義塾大学商学部を卒業。
三井物産株式会社入社、医薬、医療、バイオ関連商品を担当。東京、大阪、米国ニューヨーク、ドイツデュッセルドルフ、シンガポール等で営業業務と役員業務秘書等を経験、バイオ事業の責任者を最後に2003年退社。財団法人実験動物中央研究所に入所。専務理事を経て、2013年より理事長。
現在、川崎殿町キングスカイフロントネットワーク協議会会長、藤田医科大学客員教授、オーディオテクニカ奨学会評議員他、国内4社・海外2社の社外役員を兼任。
目次
ご挨拶
公益財団法人 実験動物中央研究所 理事長 野村龍太
『実中研流 世界標準システムのつくり方』出版に寄せて
中外製薬株式会社 名誉会長 永山 治
プロローグ
第1章 「rasH2マウス」存続の危機
第1節 rasH2マウスの存続にかかわる“事件”
商社から実中研へ/米国デュポン社との特許係争/
三井物産副社長・渡邊五郎氏の登場/齋藤宗雄氏の述懐
第2節 発がん性試験が変わる!!
rasH2マウスの開発/ILSI/HESI国際検証プログラムの実施
第3節 「マウス発がん性試験」廃止からの大逆転
FDAが唯一マウス試験存続を唱える/デジョージ博士の証言1/
デジョージ博士が尊敬する野村所長の理念/久田茂氏の証言
第4節 海外からの声と証言
システア博士の証言1
第2章 世界に認知してもらうために
第1節 国際的マウス生産・供給体制の構築
タコニック社とあわや決裂/ライセンス契約締結後の経緯/
同時原種更新と発がん性モニタリング/
タコニック社フェラン元社長とグレジアン博士の思い
第2節 日本クレアと生産・販売契約
rasH2マウスに大いに期待をしたけれど
第3節 世界標準品質管理システムの構築と国際的学術活動
米国と欧州での足跡/
座談会――米国と欧州の学術/営業活動を振り返って
第4節 海外から見たrasH2マウスと実中研
rasH2マウスをどう捉えていたか~フェラン元社長とグレジアン博
士/デジョージ博士の証言2
第3章 世界トップレベルの品質管理
第1節 創立のDNAを継承して
実中研の理念とは/海に浮かぶ氷山のように
第2節 生きた物差しとしての実験動物
目的に沿ったマウスを作る/実験動物化する/玉置憲一博士の回想
第3節 rasH2マウスの生産現場から
たった一人で試行錯誤の日々/木本社長の思い/そして今…/
失敗は許されない
第4節 高品質な動物と動物福祉
第4章 人の役に立ってこそ
第1節 実中研だからこそできたシステム
実中研の目指す公益財団法人/一つのことをやり続けられる土壌
第2節 動物を売るのではなく、システムを提案すること
「博士」の資格を持つ営業担当者
第3節 大いに役立った商社での経験
第4節 開発から普及までの2つの側面
rasH2マウスの品質があってこそ/システア博士の証言2
第5節 実中研のスピリット
鳥のように俯瞰してものを見る/人のやらないことをやる
第6節 タコニック社の新会長と新CEOの構想
エピローグ
資料編
年表/rasH2マウスの歴史/アーカイブ/海外組織・団体名一覧/役員
一覧
あとがき