ジョーン・ロビンソンとケインズ 最強の女性経済学者はいかにして生まれたか
価格:5,940円 (消費税:540円)
ISBN978-4-7664-2840-7 C3033
奥付の初版発行年月:2022年11月 / 発売日:2022年10月下旬
・20世紀最大の女性経済学者であるジョーン・ロビンソン。
・彼女がいかにしてケインズをとりまく学者たちの頂点に登りつめたか。その秘密が初めて明らかになる。
20世紀を代表する女性経済学者、ジョーン・ロビンソンは、男性社会であるケンブリッジ大学の知識人のなかで、いかにして自らの地位を確立し、研究成果を認められたのか。ケインズをめぐる人間模様を、膨大な書簡から詳細に描き出す。ケインズ『一般理論』の形成、そして「ケインズ革命」を知る上で重要な一冊。
ナヒド・アスランベイグイ(ナヒド アスランベイグイ)
モンマス大学経済学教授。専門は経済学史。共編著に Rethinking Economic Principles: Critical Essays on Introductory Textbooks (1996), Borderlands of Economics: Essays in Honour of Daniel R. Fusfeld (1997), Women in the Age of Economic Transformation: Gender Impact of Reforms in Post-Socialist and Developing Countries (1994)がある。また、本書共著者のガイ・オークスとは共著Arthur Cecil Pigou (2015)もある。
ガイ・オークス(ガイ オークス)
モンマス大学名誉教授。専門は哲学。著書に Weber and Rickert: Concept Formation in the Cultural Sciences (1988), The Soul of the Salesman: The Moral Ethos of Personal Sales (1990), The Imaginary War: Civil Defense and American Cold War Culture (1994), Collaboration, Reputation, and Ethics in American Academic Life: Hans H. Gerth and C. Wright Mills (1999)[共著]などがある。
安達貴教(アダチ タカノリ)
京都大学経営管理大学院・大学院経済学研究科准教授。専門は応用ミクロ経済学。著書に、『データとモデルの実践ミクロ経済学――ジェンダー・プラットフォーム・自民党』(慶應義塾大学出版会、2022)がある。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
プロローグ 男性経済学者たちが織りなすコラージュから浮かんでくる女性
ロビンソン夫人に乾杯!/職業的アイデンティティとアカデミックキャ
リアの形成/ローカル・ヒストリーの試みとミクロ的視点/本書が目指
す方向性、そして注意点
第1章 理論家らしからぬキャリア
1938年 2月、ケンブリッジにおける念願達成/名声を得る/成功を収
める――ケンブリッジの経済学者になるための方法(1900-30年
頃)/男だけの世界/「分析的経済学者」――職業的アイデンティテ
ィの形成(1930-31年)/学界でのキャリア形成の戦略
補 説 ロビンソンとカーン
友情とキャリア形成/親しくなる二人/いつ帰国するの?/過ぎていく
だけの時間、1933-37年/精神疲労で倒れる/説明と再確認/アレク
サンダーの死
第2章 『不完全競争の経済学』の誕生
マーシャル・ギルド/対話としての研究/アメリカでのカーンとロビン
ソン/1930-33年のケンブリッジにおける業績主張/「ロビンソン時
代」について補足――その家事マネージメント術と金銭状況について
第3章 ケインジアンになる
パトロンのいない被保護者/ケインズ=ハイエク論争/トランピント
ン・ストリート学派宣言/党派主義者/マクミラン社長の評価/ケイ
ンズへの接近を模索する/ピグーの『失業の理論』への匿名書評/貨
幣理論を学習する/学内政治/『一般理論』の草稿を読む/革命的布
教者/講義リスト論争/あっけのない結末――講師への就任/
エピローグ 「ジョーン・ロビンソンとは何者なのでしょうか?」
歴史叙述における二つの方法/戦略的な賢さ/印象管理術/戦略として
の簡単化
2022年のエピローグ
訳者あとがき(安達 貴教)
原注
参考文献
索引