イスラーム改革派と社会統合 タイ深南部におけるマレー・ナショナリズムの変容
価格:5,500円 (消費税:500円)
ISBN978-4-7664-2858-2 C3031
奥付の初版発行年月:2022年11月 / 発売日:2022年11月中旬
分離独立運動はジハードなのか?
仏教徒が多数を占めるタイにおいてマレー系イスラーム教徒が多く住む深南部。
複雑な政治的・宗教的状況のなか、「サラフィー主義」とその教育が「マレー・ナショナリズム」の影響力を相対化しているといわれる状況を、フィールドワークをふまえて分析する。
西 直美(ニシ ナオミ)
同志社大学一神教学際研究センター共同研究員。1987年生まれ。
同志社大学大学院法学研究科政治学専攻、同大学院グローバル・スタディーズ研究科修了。博士(グローバル社会研究)。
著書に『イスラーム世界の挫折と再生――「アラブの春」後を読み解く』(共著、明石書店、2014年)、『越境する社会運動 』(共著、明石書店、2020年) などがある。
目次
はじめに――イスラームへの回帰は何を変えたのか
第1章 タイ・ムスリムの創造
1 ケーク(客)としてのムスリム
2 南部国境県の統治
3 パタニ・マレーの抵抗運動
第2章 イスラーム伝統派と改革派
1 ナショナリズムとイスラーム
2 イスラームにおける伝統と改革
3 サラフィー主義は過激主義なのか
第3章 イスラームの管理統制とその限界
1 タイ王国のイスラーム指導者チュラーラーチャモントリー
2 イスラーム法の適用とダト・ユティタム
3 イスラーム知識人による「見解」
第4章 ポーノから「学校」へ――イスラーム改革派と教育の近代化
1 イスラーム教育の管理統制
2 タイ語でイスラームを学ぶ
3 対立の最前線
第5章 イスラームが生み出す社会の亀裂
1 タイにおけるイスラーム復興の顕在化
2 何がビドアとされるのか
3 伝統儀礼への批判が引き起こす不安感
第6章 イスラーム復興と政治
1 イスラーム復興の政治的側面
2 分離独立運動はジハードなのか
3 政治的主張を回避する方法としてのジハード
おわりに――イスラーム改革派と伝統派の接近?
関連年表
略語・用語解説
あとがき
参考文献リスト
索引