中国経済の生産性分析1992-2010
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-7664-2878-0 C3033
奥付の初版発行年月:2023年08月 / 発売日:2023年08月中旬
改革開放以降,社会主義市場経済へと舵を切った中国は,WTO加盟を果たし,「世界の工場」さらに「世界の市場」へと昇り詰めていく。しかし,その深層における成長要因は何だったのか? 本書は,この問いに答えるべく,精緻な実証分析により労働・資本・生産性それぞれの経済成長への貢献を明らかにする。
不透明さを増す中国経済の今後を見通すべく,その基底と構造を解明する一冊。
孟若燕()
元慶應義塾大学商学部教授。1956年中国北京市生まれ。1983年北京大学(第一分校)図書館情報学部図書館自動化専攻卒,同年中国科学院図書館実習研究館員を経て,中国科学院計算センター(現中国科学院コンピューター・ネットワークセンター)実習研究員。1987年来日。1991年慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了,1994年同研究科博士課程修了,1995年同課程退学,博士(2007年)。1995年慶應義塾大学商学部専任講師,担当科目は中国語,中国経済論。2001年助教授,2014年教授,2022年退職。2001~2003年JCIF(国際金融情報センター)特別研究員,2004~2006年ハーバード大学経済学部,China Project訪問研究員を兼任。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
第1章なぜ全要素生産性なのか
1 全要素生産性とは何か
2 「中所得の罠」とイノベーション
3 中国の経済成長とTFP
4 本書の研究方法とデータソース
第2章 労働投入の推計
1 労働投入量の推計
2 出稼ぎ農民工の労働投入
3 労働サービスの推計
4 労働投入の質的変化の分解
第3章 資本投入の推計
1 資本ストックについて
2 データの作成
3 資本ストックの推計結果
4 資本サービス推計の方法論
5 資本投入の推計結果
第4章 全要素生産性の推計
1 中国の全要素生産性に関する初期の研究
2 産業別TFP成長率の推計方法と付加価値データ
3 TFP成長率の推計結果
4 労働生産性上昇の構造的要因
第5章 不完全競争と全要素生産性――産業別マークアップ率の推計
1 コストシェアとレベニューシェア
2 マークアップ率測定のアプローチ
3 中国産業別マークアップ率の測定
第6章 環境保全と全要素生産性――鉄鋼業GTFPの推計
1 中国鉄鋼業発展の歴史的回顧
2 グリーンTFP試算の方法論
3 汚染物質の排出削減を考慮したTFP測定
終 章 質的に充実した経済発展へ
1 経済成長のエンジンはどこにあったのか
2 投資依存体質からの脱却
3 非国有部門の賃金引き上げが課題に
4 経済改革が技術革新を生む