平成災害復興誌 : 新たなる再建スキームをめざして
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-7664-2910-7 C3052
奥付の初版発行年月:2023年08月 / 発売日:2023年08月中旬
数多くの自然災害に翻弄された平成の時代を振り返り、新たな復興像を描く現代復興小史雲仙普賢岳噴火災害から、阪神・淡路大震災、東日本大震災まで。平成は数多くの自然災害に翻弄される時代となった。これらの復興の軌跡を振り返り、頻発する気候災害や大規模地震への備えを考える。三十余年の経験から令和の復興像を描く現代復興小史。
牧紀男(マキノリオ)
京都大学防災研究所社会防災研究部門教授
1968年生まれ。1991年京都大学工学部建築学科卒業。1996年京都大学大学院工学研究科環境地球工学専攻博士課程指導認定退学。京都大学大学院工学研究科助手、理化学研究所/防災科学技術研究所地震防災フロンティア研究センター副チームリーダー、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員等を経て、2014年より現職。博士(工学)。2023年より日本建築学会副会長。専門は建築学、防災計画、災害復興計画、危機管理システム、すまいの災害誌。自治体の防災計画策定にたずさわるとともに、被災地における自治体支援活動を行っている。
被災地でのおもな活動に、阪神・淡路大震災復興フォローアップ委員会委員、2004年新潟県中越地震で被災した小千谷市の復興計画の策定・検証、2011 年東日本大震災・岩手県災害対策本部における災害対応時の情報処理支援など。国内外の災害後の復興プロセス、住宅再建についても調査を実施。主著に『復興の防災計画ーー巨大災害に向けて』(鹿島出版会、2013年)、『災害の住宅誌ーー人々の移動とすまい』(鹿島出版会、2011年)など。
目次
はじめに
第1章 災害復興をどう見るのか
1 自然災害の時代の幕開けとしての「平成」
2 平成の災害復興を見る視点
3 復興の移り変わり──基盤整備から安全、開発、生活再建、そして生業
4 3つの視点──復興の重心・ユニット・費用負担
第2章 安全なまちをつくる──基盤整備と災害復興
1 昭和の時代の復興──「黒地地区」
2 平成の都市防災対策の先駆け──「灰色地域」
3 令和の復興の先駆け──「白地地域」
4 土砂と津波に備える──雲仙普賢岳噴火災害、北海道南西沖地震、新潟県中越地震
5 防潮堤と津波浸水シミュレーション──東日本大震災
第3章 公的に住宅を「提供」する──仮住まいと公営住宅
1 災害後の居住に関わる支援制度の枠組み
2 災害後の仮住まい──プレファブ、賃貸、木造、移動ユニット
3 災害後の公営住宅
4 高齢化に対応する──シルバーハウジング、グループホーム
5 持ち家の再建支援──公費解体
第4章 生活再建を支援する──持ち家の再建
1 災害救助から生活再建支援へ──災害救助法の枠組み
2 義援金と基金による生活再建支援──雲仙普賢岳噴火災害、北海道南西沖地震
3 復興基金で生活再建支援に取り組む──阪神・淡路大震災
4 被災者生活再建支援法とその運用
5 総合的な住宅再建支援──東日本大震災以降
第5章 まちの再建──生業・商業・まちなみ
1 「にぎわい」という課題──阪神・淡路大震災
2 人口減少社会での復興──新潟県中越地震
3 まちなみ・商店街の復興──能登半島地震、新潟県中越沖地震
4 まちの再建支援──東日本大震災
第6章 「近代復興」から「生活再建」へ──令和の復興の先へ
1 「公」による復興支援の拡充
2 復興は「公」の責任?
3 「私/地域」の支援のゆくえ
4 平成の復興システムが残した課題
5 令和の復興──事前に復興に取り組む
補論 福島──原子力災害からの復興
あとがき
索引