大学出版部協会

 

井筒俊彦 世界と対話する哲学

井筒俊彦 世界と対話する哲学

B7 256ページ
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-7664-2915-2 C3010
奥付の初版発行年月:2023年09月 / 発売日:2023年09月中旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
この大学出版部の本一覧
近刊

内容紹介

言語の不可能性を乗り越え、自由の思想を追究した井筒俊彦。
自己と他者、自文化と異文化の「世界観」を架橋するために、「対話の哲学」を築いた軌跡を辿る。

井筒俊彦は英文による最初の著作『言語と呪術』(1956年)で言語思想を彫琢し、それをその後の著述活動では、一貫して「自由」を求める思想として発展していった。井筒は、詩的直観を哲学の言葉で再現し、言語の限界を切り開き、囚われなき自在な心を求める。それを理解する手掛かりとなるのが、『言語と呪術』である(本書第一章)。
『言語と呪術』の執筆以降、井筒は、「世界の経験」をあるがままに言語で表現しようとする思想を、古代の詩歌やクルアーン、東洋の古典思想に見出し、それらが提示する「世界観」を類型化し、対話させることを目指した。この「東洋思想の共時的構造化」の軌跡を、『言語と呪術』『スーフィズムと老荘思想』『意識と本質』等の代表作を読み解くことで辿り、その一貫した追究において、井筒が、「言語とアイデンティティ」「文化の均一化」という同時代の問題に対して、相対主義と本質主義を超克する〈自由なる思考〉を紡いだことを明らかにする。

著者プロフィール

小野 純一(オノ ジュンイチ)

自治医科大学医学部総合教育部門哲学研究室准教授。専門は哲学・思想史。 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)(東京大学)。代表的な著作に「根源現象から意味場へ」(澤井義次・鎌田繁編著『井筒俊彦の東洋哲学』慶應義塾大学出版会、2018年)など、訳書にジェニファー・M・ソール『言葉はいかに人を欺くか』(慶應義塾大学出版会、2021年)、井筒俊彦『言語と呪術』(安藤礼二監訳、慶應義塾大学出版会、2018年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに
第1章 記憶の彼方の言葉――『言語と呪術』とクルアーンの詩学
第2章 存在の夜の黎明――意味分析論の行方
第3章 生々流転する世界――「存在が花する」のメタ哲学へ向けて
第4章 存在零度の「眺め」――存在と本質の拮抗を超える『意識と本質』
第5章 世界と対話する哲学――自由なる思考を求めて

参考文献
あとがき


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。