円の実力 為替変動と日本企業の通貨戦略
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-7664-2924-4 C3033
奥付の初版発行年月:2023年12月 / 発売日:2023年12月中旬
円安によって円の実力は低下したのか?
日本企業の戦略的な通貨選択と為替リスクとは?
ドルからアジア現地通貨へ、日本企業の新たな建値通貨選択は?
2022年の急速な円安進行によって「円の実力が低下した」とたびたび指摘される。円の実質実効為替レートが50年前(1970年代前半)とほぼ同水準にまで減価したことが理由だが、果たして円の実力は本当に低下したのか? そもそも円の実力はどのようにして測るべきなのか?
円安が進んでも日本の貿易収支は改善せず、近年ではむしろ貿易赤字が続いている。なぜ円安によって日本の貿易収支は改善しないのか?
過去50年以上にわたる大幅な為替レートの変動に対して、日本企業は積極的な海外進出と、アジアを中心とする生産・販売ネットワークの構築で対応してきた。この生産・販売ネットワーク下で日本企業はどのような通貨戦略によって為替変動リスクに対処してきたのか?
円建て貿易が伸びず、ドル建て貿易が中心と言われてきた日本の貿易建値通貨選択が、アジアで大きく変わりつつある。アジア現地通貨建て取引の拡大という新たな変化をデータによって明らかにする。
過去17年にわたって日本企業へのインタビュー調査とアンケート調査のプロジェクトに関わってきた著者が、これまで構築した独自データベースに基づく研究成果を踏まえて、上記の課題を分析・解説する。
佐藤 清隆(サトウ キヨタカ)
1968年生まれ。91年、横浜国立大学経済学部卒業。98年、東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。2001年、博士(経済学)取得(東京大学)。(財)国際東アジア研究センター研究員、横浜国立大学経済学部助教授・准教授・教授を経て、2013年より横浜国立大学国際社会科学研究院教授(現在に至る)。Managing Currency Risk: How Japanese Firms Choose Invoicing Currency, Cheltenham, UK: Edward Elgar刊(共著、2018)にて、日経・経済図書文化賞受賞(2019年)。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序章 為替変動と日本経済
第1章 「悪い円安」と貿易赤字
第2章 なぜ日本の貿易収支は改善しないのか
第3章 円建て貿易はなぜ進まないのか
第4章 日本企業は為替の壁を乗り越えたのか
第5章 国際生産ネットワークと貿易建値通貨選択
――日系現地法人はどの通貨で取引しているのか
終章 円の実力と日本企業の為替戦略の今後