日本の難民保護 出入国管理政策の戦後史
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-7664-2938-1 C3036
奥付の初版発行年月:2024年01月 / 発売日:2024年01月下旬
日本は、「難民鎖国」なのか。
日本は、難民政策をとりながら、いかにして出入国管理における国家主権を維持してきたのか。
「庇護希望者」に、いかに救いの手を差し伸べるか。
戦後日本の出入国管理政策の政策形成プロセスの検証から明らかにする。
本書は、庇護希望者の出入国管理という意味で「難民保護」を捉え、その変遷に焦点をあてる。
本書の問いは、「なぜ日本は難民政策をとるのか」である。
政策の転換期に着目し、時代ごとに再構築される日本の難民保護の特徴を明らかにしながら、その答えを導き出す。
そのために、本書では、特に、日本という国家が、どのようにして難民保護を検討してきたのか、また、どのような言説が政策に反映されたのか、を政策形成過程から明らかにする。
最終的には、日本の文脈から、庇護をめぐる難民研究、国境を越える人の移動をめぐる移民研究に対して学術的示唆を提供するとともに、今後の日本の難民政策の見直しに向けた政策提言を行う。
土田千愛(ツチダチアキ)
東京大学地域未来社会連携研究機構特任助教
東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻「人間の安全保障」プログラム博士課程修了。博士(国際貢献)。
専門分野は、移民・難民研究、国際関係論。主な著作に、「難民条約加入前の難民保護に対する日本政府のアイディアの変容――難民保護に関する政治過程の分析より」『移民政策研究』(12)、112-128頁、2020年、『多文化社会の社会教育――公民館・図書館・博物館がつくる「安心の居場所」』(共著、明石書店、2019年)など。第2回若手難民研究者奨励賞受賞。また、本書の基となる博士論文にて、第4回東京大学而立賞受賞。
目次
序 章 日本の難民保護を問う
第1節 本書の問題意識
第2節 用語の説明
第3節 調査方法
第4節 分析の範囲
第5節 本書の構成
第1章 難民研究・移民研究と国境を越える人の移動
第1節 庇護と国家主権
第2節 国境を越える人の移動と国家主権
第3節 日本の難民研究
第4節 先行研究における課題と本書の位置づけ
第2章 難民保護の前史
第1節 単一民族国家形成の試み
第2節 外国人登録令の制定と出入国管理令の制定
第3節 出入国管理令における政治亡命者への対応
第4節 政治犯罪人と政治亡命者
第5節 出入国管理令改正の試み
第6節 政治亡命者の保護に向けて
考 察
第3章 インドシナ難民の保護から難民認定制度の成立へ
第1節 インドシナ難民の保護
第2節 「難民の地位に関する条約」への加入
第3節 難民認定制度の成立
考 察
第4章 難民認定制度の再検討
第1節 瀋陽総領事館事件と難民認定制度の見直し
第2節 新たな難民認定制度の成立
考 察
第5章 「送還を促進すべき者」と「保護すべき者」
第1節 送還に関する問題の変容
第2節 「送還停止効」の例外規定の創設
第3節 補完的保護に関して
考 察
終 章 日本の難民保護
第1節 日本の難民保護
第2節 難民研究・移民研究に対する学術的示唆
第3節 日本の難民研究に対する学術的示唆
第4節 政策提言
註
あとがき
参考文献
索引