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詐害行為の基礎理論 第2巻財産の集合的把握と詐害行為取消権

財産の集合的把握と詐害行為取消権 詐害行為の基礎理論 第2巻

A5判 480ページ
価格:7,920円 (消費税:720円)
ISBN978-4-7664-2955-8 C3032
奥付の初版発行年月:2024年03月 / 発売日:2024年04月上旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

法秩序の重層構造と動態的法形成。
この分析視角と問題意識を深化させ、「財産の集合的把握」という新たな現代的課題に挑む第2巻。
本書は、第1部「財産の集合的把握の新たな展開」と第2部「包括財産法制と詐害行為の基礎理論」からなる。

著者プロフィール

片山直也(カタヤマナオヤ)

慶應義塾大学大学院法務研究科教授。博士(法学)。
1961 年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科民事法学専攻前期博士課程修了、同専攻後期博士課程単位取得退学。慶應義塾大学法学部専任講師、同助教授、同教授を経て現職。慶應義塾大学大学院法務研究科委員長(2011年~2017年)。トゥールーズ第1大学(フランス)私法研究所招聘研究員(1999年~2001 年)、パリ第2大学(フランス)民法研究所招聘研究員、マギル大学(カナダ)ポール=アンドレ・クレポー私法比較法研究所招聘研究員、ブリュッセル自由大学(ベルギー)私法研究所招聘研究員(2019年~2020年)。学外委員として、司法試験考査委員(民法、2013年~2017 年)、法科大学院協会理事長(2020年~2023年)、法制審議会(担保法制部会)臨時委員(2021年~)、日本学術会議連携会員(2014年~)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 論 新たな自由社会における詐害的な行為に対する私法上の法規制――フランスの「詐害(fraude)」法理からの示唆
Ⅰ はじめに――フランスの「詐害(fraude)」法理を起点として/Ⅱ 濫用的会社分割への対応/Ⅲ 集合動産譲渡担保における設定者の処分権限の規律/Ⅳ 本書の構成

第1部 財産の集合的把握の新たな展開
第1章 財 産――bien およびpatrimoine
Ⅰ はじめに/Ⅱ 財(biens)/Ⅲ 資産(patrimoine)/Ⅳ 小括――新たな財と「財の法」の課題

第2章 財産の集合的把握
第1節 財産の集合的把握の諸相
Ⅰ はじめに/Ⅱ 財産の集合的把握のニーズ/Ⅲ 財産の集合的把握の諸相/Ⅳ 財産の集合的把握の基本構造/Ⅴ 小括――財産の集合的把握と財の法(物権法)

第2節 営業および営業財産
Ⅰ はじめに/Ⅱ 営業/Ⅲ 営業財産/Ⅳ 小括――営業譲渡と営業上の債務の帰属

第3章 財産の集合的把握と利活用・管理
第1節 財産の「利活用(exploitation)」と「権能」
Ⅰ フランス法における「利活用(exploitation)」概念/Ⅱ 「利活用(exploitation)」概念とその法的保障/Ⅲ 小括――「権能の束」としての所有権と他物権

第2節 財産の管理と物権法
Ⅰ はじめに/Ⅱ 財産管理の概念/Ⅲ 財産管理の法制度/Ⅳ 財産管理における「権限」と「権能」/Ⅴ 財産管理と物権法の再構築/Ⅵ 物権法の改正提案/Ⅶ 小括――もう一つの「管理」

第4章 財産の集合的把握と担保
第1節 動産・債権担保をめぐる新たな2つの動向
Ⅰ 序/Ⅱ ケベック担保法の展開/Ⅲ ベルギー担保法の展開/Ⅳ フランス担保法再考/Ⅴ 小括――「利活用(exploitation)」、「運用(valorisation)」と担保

第2節 担保価値維持義務の3つの淵源
Ⅰ はじめに/Ⅱ 担保価値維持義務をめぐる近時の議論の動向/Ⅲ 担保価値維持義務をめぐる3つの淵源/Ⅳ 小括――担保価値維持義務論の展開

第3節 約定の担保価値維持義務と担保価値維持協力義務――借地上建物への抵当権設定における「念書」を素材として
Ⅰ はじめに――問題点の整理/Ⅱ 従前の裁判例および学説/Ⅲ 最高裁平成22年9月9日判決/Ⅳ 小括――担保価値維持義務の視点から

第4節 事業の収益性に着目した担保をめぐる2つの理論的課題――財産の集合的把握論と担保価値維持義務論から
Ⅰ はじめに/Ⅱ 「事業の収益性」に着目した担保の3つのモデル/Ⅲ 事業担保の目的(客体)とは何か?――財産の集合的把握の視角から/Ⅳ 事業担保権の期中における管理/Ⅴ 小括――事業の収益性に着目した諸種の担保の役割分担


第2部 包括財産法制と詐害行為の基礎理論
第1章 詐害行為の類型と法規範の構造
第1節 「類型論」から「重層的規範構造論」へ
Ⅰ はじめに/Ⅱ 詐害行為における類型論の諸相/Ⅲ 規範構造論としての類型論の限界――「類型論」から「重層的規範構造論」へ/Ⅳ 小括――動態的法形成

第2節 否認権・詐害行為取消権における「有害性」と「不当性」
Ⅰ 序――本節の目的/Ⅱ 否認規定・詐害行為取消規定の規範構造/Ⅲ 「有害性」「不当性」の要件枠組み/Ⅳ 小括――「有害性」「不当性」に関する否認権と詐害行為取消権との本質的な相違点

第2章 事業資産の分離と詐害行為取消権
第1節 濫用的会社分割・事業譲渡と詐害行為取消権
Ⅰ はじめに/Ⅱ 平成24年判決の今日的意義および課題/Ⅲ 濫用的会社分割の本質と詐害行為の類型/Ⅳ 平成29年改正民法における詐害行為取消規定と濫用的会社分割

第2節 事業信託と詐害行為取消権
Ⅰ はじめに/Ⅱ 濫用的組織再編行為と詐害行為/Ⅲ 充当資産(patrimoine d’affectation)論と信託財産責任負担債務/Ⅳ 小括――いわゆる「事業の信託」とその濫用

第3章 詐害行為取消しにおける価額償還請求権の新たな機能――詐害行為取消しと被保全債権の「対抗」
Ⅰ はじめに/Ⅱ 改正前民法における価格賠償請求/Ⅲ 濫用的会社分割の取消しをめぐる議論の展開/Ⅳ 平成29年改正民法における価額償還請求/Ⅴ 小括――被保全債権の「対抗」という視角の有用性

終 章 法秩序の重層構造と動態的法形成――詐害行為(fraude)の一般法理を起点として
Ⅰ はじめに――「フロード(fraude)法理の動態的把握」を起点として/Ⅱ 「法原則」(プリンシプル)と「法規範」(ルール)/Ⅲ 「指導的法原則」と「矯正的法原則」/Ⅳ 法認識と「法原則」/Ⅴ 「法規範」(ルール)における「例外」の許容/Ⅵ 法規範の拡張としての「法的擬制」/Ⅶ 法規範の縮小としての「特段の事情」/Ⅷ 結びに代えて――法秩序の重層構造と動態的法形成


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