マイナーな感情 アジア系アメリカ人のアイデンティティ
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-7664-2991-6 C0036
奥付の初版発行年月:2024年10月 / 発売日:2024年10月中旬
なぜそんなに不満なんだ!
あんたがたは次の白人になる存在なんだ!
白人の視線を内面化し、「模範的なマイノリティ」と言われながら
マイノリティとしての存在感すらない
アジア系アメリカ人の複雑な感情を克明に描き、
彼らの人間としての尊厳を取り戻す珠玉のノンフィクション。
『マイナーな感情』は2020年に刊行され、センセーションを巻き起こした。全米批評家協会賞を受賞し、ピューリッツァー賞ファイナリストにもなった。くわえて著者ホンはTIME誌の「世界で最も影響力ある100人」に選ばれている。アフリカ系アメリカ人やヒスパニックについての書物は数多いが、「不可視」の存在であるアジア系アメリカ人についてはもともと数が少ない。本書では、彼らのアイデンティティについてや、レイシズムの対象になることにどのような「マイナーな」感情を抱くかについての繊細な叙述が見られる。と同時に、アメリカという白人優位の資本主義社会から「モデルマイノリティ」たるアジア系アメリカ人に向けられる蔑視や、もっと悪いことに無視を具体例をもって描いている。著者の半生の経験を踏まえつつ、豊富な学術的知識に裏打ちされた本書は、他に類書を見ないと絶賛された傑作である。
キャシー・パーク・ホン(キャシーパークホン)
キャシー・パーク・ホン(Cathy Park Hong)
1976年ロサンゼルス市のコリアタウンで生まれる。詩人。
オーバリン大学でBA。アイオワ・ライターズ・ワークショップでMFA。サラ・ローレンス大学で教鞭をとった後、ラトガース大学教授を経て、現在UCバークレー教授。Translating Mo'um(2002年)、Dance Dance Revolution(2007年)、Engine Empire: Poems(2012年)の3冊の詩集で、ブッシュハート賞、ウィンダム・キャンベル賞などさまざまな賞を受賞。また、フルブライト・スカラシップ、グッゲンハイム・フェローシップなどいくつものフェローシップを得ている。『ザ・ニュー・リパブリック』誌のポエトリー・エディターも務めた。初めての散文作品である本書『マイナーな感情』で全米批評家協会賞を受賞、ピューリッツァー賞ファイナリスト。ホンはTIME誌が選ぶ2021年の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれている。
池田年穂(イケダトシホ)
池田年穂(いけだ としほ)
1950年横浜市に生まれる。慶應義塾大学名誉教授。専門は移民論、移民文学。日系アメリカ人についての訳書も多い。
ティモシー・スナイダー、タナハシ・コーツ、ピーター・ポマランツェフらのわが国への紹介者として知られる。コーツの『世界と僕のあいだに』(2017年)、カーラ・コルネホ・ヴィラヴィセンシオの『わたしは、不法移民――ヒスパニックのアメリカ』(2023年)と本書で、アメリカのレイシズムを扱ったトリロジーとなる。マーシ・ショア『ウクライナの夜――革命と侵攻の現代史』(2022年)、スナイダー『自由なき世界』、コーツ『僕の大統領は黒人だった――バラク・オバマとアメリカの8年』(共に2020年)など幅広い翻訳を続けている。
目次
1 団結して
2 スタンダップ
3 白人のイノセンスの終焉
4 悪い英語
5 ある教育
6 あるアーティストの肖像
7 負い目のある者
謝辞
訳者あとがき
訳注