現代経済解説シリーズ
教育の財政構造 経済学からみた費用と財源
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-7664-3006-6 C3033
奥付の初版発行年月:2025年01月 / 発売日:2025年01月下旬
将来の人口減少下で日本の成長には人材育成としての教育の政策効果を最大化することが欠かせない。限られた資金をどのような制度の下で配分すれば、教育・研究の費用対効果を高められるのか。財政的・経済学的視点から国・地方自治体の責任主体別費用と財源の構造を明らかにし、効率的で公平な教育財政・資金配分制度を提案する、画期的な解説書。
・ わが国の将来を担う「人財」の育成と、科学技術開発をさらに発展させるための研究には、国からの十分な教育予算が必要であることは間違いない。一方で、教育支出の拡大にはそれなりの財源が必要となる。国は財政状況を意識しながら予算配分を設定するのだが、現在のわが国の財政状況は世界でも突出した債務を抱えており、予断を許さない。
・ 教育・研究開発を進化・充実させる方法としては、教育のための資金投入を増やすほかに、教育の質を高める方法もある。それは、教育支出の費用対効果を高めることである。現在の教育支出が真に費用対効果が高いかたちで配分され、使われているのか、費用対効果を高めるためにはまず何ができるのかを検討する必要がある。
・ 本書は、日本の将来に向けて、どの程度の教育支出を国が設定し、その予算をどのように配分していけば効果的な人材育成と教育の質の向上が図れるのかを検討する解説書である。国および地方自治体の主体別支出と財源構造を明らかにした上で、どこに無駄があるのかを洗い出し、よりよい投資支出を考える上での土台を提供する。現在本書のような財政的(経済学的)視点を伴った教育投資分析を試みた書物は少ない。
赤井伸郎(アカイノブオ)
1968年生まれ。大阪大学大学院経済学研究科修了後、大阪大学助手、神戸商科大学(現・兵庫県立大学)助教授を経て、現在大阪大学大学院国際公共政策研究科教授。大阪大学博士(経済学)。『地方交付税の経済学』(共著、有斐閣、2003年)で日経・経済図書文化賞、NIRA大来政策研究賞、租税資料館賞受賞。『行政組織とガバナンスの経済学』(単著、有斐閣、2006年)でエコノミスト賞受賞。このほか『地方財政健全化法とガバナンスの経済学』(共著、有斐閣、2019年)などの著書がある。
宮錦三樹(ミヤキミキ)
1984年生まれ。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程修了後、大阪大学博士(国際公共政策)取得。立教大学経営学部助教を経て、現在中央大学経済学部准教授。主な業績に「学校統廃合が自治体教育財政に与える影響」『日本経済研究』81号(2023年)、「日本における公的部門・民間部門の教育支出と相互依存関係の検証」(共著、日本財政学会編『財政研究』18巻所収、有斐閣、2022年)、""""Public nursery school costs and the effects of the funding reforms in Japan,"""" International Journal of Public Administration, 39、2016 など。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序章 教育財政の視点
1章 日本の教育方針と教育支出
2章 教育財政の姿
3章 国立大学(高等教育)における財源構造
4章 公立小中学校(義務教育)における財源構造
5章 公立大学(高等教育)における財源構造
6章 公立小中学校(義務教育)における費用構造
7章 公立大学(高等教育)における費用構造