文化の枢軸 戦前日本の文化外交とナチ・ドイツ
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-7985-0240-3 C3022
奥付の初版発行年月:2018年09月 / 発売日:2018年08月下旬
1936年の日独防共協定締結から1945年の敗戦に至るまで、日本とナチ・ドイツのあいだでは軍事協力や経済協力とともに、「文化協力」を深めていくことが目指されていた。この両国間の「文化協力」を象徴するものが、1938年11月25日、日独防共協定締結二周年にあわせて結ばれた日独文化協定(「文化的協力ニ関スル日本国独逸国間協定」)である。
従来、この協定はあらゆる文化領域における両国の協力関係の構築を目指したものとして位置づけられてきた。しかし実は、この文化協定は、ナチズムの中核的なイデオロギーである人種主義をめぐる日独間の文化摩擦を引き起こすものでもあった。
本書では、日独文化協定の成立過程および執行過程に着目して、日独交渉のなかで争点となった諸問題について考察を展開する。そして、文化面における友好・協力関係のみならず対立・摩擦の関係を描くとともに、そうした両面的な関係性をもたらした諸要因について分析し、ここから戦時日独関係における「文化協力」の内実を明らかにする。
清水 雅大(シミズ マサヒロ)
2014年 横浜市立大学大学院国際総合科学研究科博士後期課程修了、博士(学術、横浜市立大学)
現在、日本学術振興会特別研究員(PD)、九州大学大学院法学研究院専門研究員
専門:国際関係史、日独関係史
目次
凡 例
序 章 問題の所在と先行研究
第1章 日本外務省の文化協定政策 一九三〇年代後半における
第1節 戦間期の文化協定 学事協定から「包括的文化協定」へ
第2節 文化事業部箕輪三郎の文化協定政策論
(1) 玉虫色の条約 「国際文化協定概説」における基本認識
(2)「無害ナル」文化協定の多角的な利用構想
第3節 日洪文化協定の締結交渉から見た初期の政策展開
第4節 宇垣外相期の文化協定政策
(1) 宇垣一成と東郷茂徳
(2) 諸外国との文化協定交渉
第2章 日独文化協定の成立 一九三八年までの状況
第1節 ドイツ東アジア政策の転換と三国同盟構成原理 政治的背景①
第2節 第一次三国同盟問題における日本外交 政治的背景②
第3節 日本における「ドイツ・ブーム」 社会的背景
(1) 伯林日本学会/東京日独文化協会の設立
(2)「現在のドイツ」への焦点化 ドイツ側の現地アクターの動向
(3) 日本における親独気運の高まり 第一回日独青少年団交歓事業と「大独逸展覧会」
第4節 一九三八年一一月における日本外務省の妥協的措置と日独文化協定の成立
(1) 日洪文化協定の締結延期要請
(2) 日独文化協定の成立とその政治外交的意味
第3章 外務省文化事業部の対独文化事業政策方針 一九三八−四〇年
日独文化協定の執行過程(1)
第1節 日独文化協定の実施へ
(1) 日独文化連絡協議会の設置交渉
(2) 日独文化連絡協議会の全体的な活動状況
第2節 ヴァルター・ドーナートの活動と日本認識
第3節 東京協議会における文化的「猶太人問題」をめぐる論議
(1) 文化協定を通じたドイツ側のユダヤ人排斥要求
(2) 文化的「猶太人問題」への日本側の対応
(3)「ナチス」宣伝の回避と「ドイツ」文化の輸入
第4節 文化事業部の廃止と対外文化政策の転換
(1)「対支文化事業」における文化事業部の政策理念
(2) 情報局設置にともなう文化事業部の廃止
第4章 日独文化連絡協議会における学術交換をめぐる論議 一九三九−四二年
日独文化協定の執行過程(2)
第1節 東京協議会における日本側の待遇改善要求
第2節 ベルリン協議会における学術交換をめぐる論議
第3節 実現しなかった文化事業拡大計画
第4節 「相互主義」に基づくドイツ側の対応
第5章 「日独共同戦争」下の「精神的共同作戦」 一九四三−四四年
日独文化協定の執行過程(3)
第1節 日独の戦争敗退過程における「精神的共同作戦」の提唱
(1) 対米開戦後、「日独共同戦争」へ
(2)「精神的共同作戦」 揺らぐ関係性の反映
第2節 戦争末期における日独関係の諸相と文化事業
(1) 戦局の悪化と日本在留ドイツ人 「同盟国人」と「外人」のあいだで
(2)「共同戦争ノ完勝」と「戦後経営協力」へ向けて
(3) ドイツでの新たな試み
ヨアヒムスタール・ギムナジウムにおける日本語教育の導入
終 章 砂の上の同盟
あとがき
註
史料・参考文献
索 引