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古代ローマ人の危機管理

古代ローマ人の危機管理

四六判 244ページ 並製
価格:1,980円 (消費税:180円)
ISBN978-4-7985-0301-1 C1052
奥付の初版発行年月:2021年05月 / 発売日:2021年04月下旬

内容紹介

前1~後3世紀に栄華を誇った古代ローマ帝国にも、盗難・火災・洪水・疫病など、現代にも共通する数々の脅威が存在した。豊かな都市生活を襲う様々な危機に人々はどう対処したのか? ウェスウィウス火山の噴火で滅んだポンペイ、泥流の下に沈んだヘルクラネウム、ローマの外港として栄えたオスティア――三大遺跡での調査から、古代ローマ人のリスクマネジメントの実像に迫る。火災の痕跡写真や実測データをもとにした水没シミュレーション、浴場の断面図など多数の写真・図版から、古代都市をビジュアルで解説。

著者プロフィール

堀 賀貴(ホリ ヨシキ)

京都大学博士(工学)、MPhil(マンチェスター大学)
京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士後期課程単位習得の上退学、山口大学講師、
准教授を経て、2003年より九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門教授。

エヴァン・プラウドフット(エヴァン プラウドフット)

DPhil(オックスフォード大学)
ミシガン大学卒業後、オックスフォード大学リンカーン・カレッジ修士、博士課程で
古代ローマ考古学を学ぶ。

藤井 慈子(フジイ ヤスコ)

博士(史学、上智大学)
上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了、日本学術振興会特別研究員、
イタリア政府奨学生を経て、現在イタリアを拠点に活動するローマ・ガラス史家。

ジャネット・ディレーン(ジャネット ディレーン)

Ph.D.(アデレード大学)
レディング大学講師、上級講師を経て、2005年よりオックスフォード大学ウォルフ
ソン・カレッジ准教授。2019年より同カレッジの古代世界研究クラスターのディレ
クターを務める。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

略号一覧
地図

はじめに

第一のリスク 盗難 
ポンペイの都市住宅 
ポンペイ住宅の敷居と鍵 
ポンペイ住宅の動線計画
店舗付き住宅とニュースタイル住宅の登場 
安全か快適か まだらな都市景観 

トピック1 古代ローマの扉と鍵 
鍵を復元する 考古学的な証拠から 
扉の規格 基本的なシャッター戸の形式 
石製敷居 生き残った証拠 
扉の鍵、金属製付属品、およびその他の防犯装置 
店舗の鍵 
邸宅を守る 

トピック2 古代ローマの窓と窓ガラス 
窓と防犯 
透明板の登場 
窓ガラスの技法、製造地、流通、価格 
防犯が必要な現代の窓ガラスを生んだ古代ローマ 

第二のリスク 火災 
古代ローマの建築規制と文献に見る都市住宅
古代ローマ建築の実際 
火災に対するリスクマネジメント 
石のように硬いローマ 

トピック3 古代ローマの建設現場 
古代の「建設現場」 
建設資材の生産と輸送 
建設現場での事故 
危機の最小化 
財産=都市の所有者を守るために 

第三のリスク 洪水 
オスティアを構成する建物群 
オスティアにおけるかさ上げ 
洪水に対するクライシスマネジメント 
安全基準としての神殿 

第四のリスク 疫病 
古代ローマを襲った疫病
リスクとしての人口 
庶民生活における密接、密集、密閉 
古代ローマ浴場の真実、浴場は清潔か不潔か? 
新しい浴場の登場 
健康的「共同浴場」としてのテルマエ 
テルマエへの大量給水 

おわりに マネジメントの臨界点 

エピローグ


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