ドイツ゠東アジア関係史 1890-1945 財・人間・情報
価格:6,820円 (消費税:620円)
ISBN978-4-7985-0319-6 C3020
奥付の初版発行年月:2021年12月 / 発売日:2021年11月中旬
本書は、帝政ドイツ・ヴァイマル共和国・ナチスドイツ、清朝・中華民国・「満洲国」、そして日本(大日本帝国)と、国家の形態や国家間の関係がさまざまに移り変わった近現代の「ドイツ゠東アジア」関係に注目して、国家および国家以外のアクターが織り成した様々な関係の再構築を試みるものである。具体的には①財として、武器や農産物・阿片の貿易や製鉄所建設計画をめぐる交渉、②人間として、在上海ドイツ人コミュニティのたどった命運、③情報として、ドイツの対華報道・広報戦略に着目する。そしてこれら諸レベルの関係を担った官僚、経済人やジャーナリストらの動向から、激動の東アジア史の真実が浮かび上がってくる。
熊野 直樹(クマノ ナオキ)
九州大学大学院法学研究院教授(ドイツ現代政治史、独亜関係史)
田嶋 信雄(タジマ ノブオ)
成城大学法学部教授(国際政治史、比較政治学)
工藤 章(クドウ アキラ)
東京大学名誉教授(ドイツ経済史・企業史、独亜経済関係史)
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序 章 課題と視角
はじめに
第1節 前著『ドイツと東アジア 1890-1945』の成果と残された課題
第2節 本書の分析視角
第3節 各章の概要
おわりに
第1章 中国武器市場をめぐる日独関係
はじめに
第1節 20世紀初頭の中国における武器生産と武器貿易
第2節 対中国武器禁輸協定(1919-1929年)と日独関係
第3節 対中国武器禁輸協定の廃棄とその後の状況
おわりに
第2章 製鉄製鋼設備・技術――ドイツ鉄鋼業と中国中央鋼鉄廠
はじめに
第1節 双方の意思決定と独中間交渉
第2節 契約
第3節 契約履行の過程とその停止
おわりに
第3章 中国に豆を求めて
――戦間期ドイツ・中国関係のなかの大豆と落花生
はじめに
第1節 20世紀前半のドイツ油糧種子輸入貿易と中国
第2節 戦間期ドイツの対中国輸入貿易のなかの大豆と落花生
第3節 戦間期中国駐在ドイツ領事館報告のなかの満洲大豆と華北産落花生
おわりに
第4章 阿片と独「満」関係
はじめに
第1節 阿片と独亜関係
第2節 阿片と「満洲国」
第3節 阿片と独「満」関係
第4節 阿片とナチス・ドイツ
おわりに
第5章 第二次世界大戦の終結と上海のドイツ人コミュニティ
――「二つの中国」と「二つのドイツ」の成立を背景として
はじめに
第1節 二つのドイツ人コミュニティ
第2節 ベルリンとドイツ人コミュニティ――1930年代から1945年まで
第3節 南京とドイツ人コミュニティ――1945年から1949年まで
第4節 「二つのドイツ」と「二つの中国」――ベルリン・北京・ボン・台湾・上海
おわりに
第6章 ドイツの対華プレス政策と中国の言論空間をめぐる争い
――辛亥革命期を中心に
はじめに
第1節 中国におけるドイツ系メディア
第2節 辛亥革命期の中国新聞界における反独報道
第3節 辛亥革命後のドイツの対華プレス政策の積極化――『覚書』の作成
おわりに
あとがき