第3インタナショナルへの道 リュトヘルスとコミンテルン創設
価格:7,480円 (消費税:680円)
ISBN978-4-7985-0320-2 C3022
奥付の初版発行年月:2021年12月 / 発売日:2021年12月中旬
第1次世界大戦勃発により第2インタナショナルが事実上「崩壊」したあと起こった国際反戦のツィンメルヴァルト運動からコミンテルン創設直後までの国際社会主義運動の一大再編過程を,複数のオルターナティヴ(選択肢)をもっていた過程として捉え,とりわけ社会主義左派がめざした「インタナショナルの再建」は,果たしてロシア10月革命を背景としたコミンテルン創設によって実質的に実現したのであろうか,を問う。その帰趨を見極め,なぜ,どのようにしてそうならなかったか,を旧ソ連文書館史料等の第1次史料を駆使して実証的に解明する。
山内 昭人(ヤマノウチ アキト)
1950 年 長崎市生まれ。
1977 年 京都大学大学院文学研究科博士課程中途退学(西洋史学〔現代史学〕専攻)。
京都大学博士(文学)。
現 在 宮崎大学名誉教授。九州大学名誉教授。
主 著
『リュトヘルスとインタナショナル史研究―片山潜・ボリシェヴィキ・アメリカレフトウィング―』ミネルヴァ書房,1996 年。
『初期コミンテルンと在外日本人社会主義者―越境するネットワーク―』ミネルヴァ書房,2009 年。
『戦争と平和,そして革命の時代のインタナショナル』九州大学出版会,2016 年。
目次
まえがき
凡 例
略語一覧
序 章
1 戦争と平和,そして革命の時代のインタナショナル史研究
2 コミンテルン創設関係史料および研究史
3 リュトヘルス関係史料および文献紹介
4 本書の構成
第1 章 訪露後のリュトヘルスとインタナショナリストの活動
1 土木技師兼社会主義者としてのリュトヘルス
2 外国語グループ中央連盟
3 在露英語を話す共産主義者グループとリュトヘルス
(1) 英 - 仏共産主義者グループとしての活動開始
(2) 議事録から見た活動実態
(3) 南部戦線での活動
4 ソヴェト・プロパガンダ部
5 在露英語を話す共産主義者グループによる英語出版
(1) リーフレット・小冊子類
(2) 『コール』と『コミューン』
6 占領地域共産主義諸組織会議から新インタナショナル構想へ
(1) 「世界革命」の一舞台としてのバルト海沿岸地域
(2) 占領地域共産主義諸組織中央ビューロー ――「小インタナショナル」
(3) ポーランド・ラトヴィヤ・リトアニアの左翼共産主義的立場
(4) 共産主義インタナショナル・ソヴェト同盟から創設されるコミンテルンへ
7 技術顧問兼インタナショナリストとしてのリュトヘルス
第2 章 ソヴェト・ロシアによるコミンテルン創設前史
1 ソヴェト・ロシアによる最初の試み
2 1918年 12月からの本格的取組
3 1919年 1 月 24日公表の大会招請状
4 1919年 3 月 1 日の予備協議
第3 章 コミンテルン創立大会
1 コミンテルン即時創設をめぐる諸問題――「インタナショナルの再建」を中心に――
(1) 予備協議・国際共産主義会議・創立大会での議論
(2) 即時創設反対・賛成意見の論点整理と検討
(3) スパルタキストの即時創設反対論
(4) インタナショナルは再建されたか?
2 代表資格審査問題
(1) 代表資格審査委員会の設置
(2) レインシチェインのアメリカ代表問題
(3) リュトヘルスの複数代表問題
(4) イギリスの代表問題
(5) スイスの2 代表問題
(6) 革命的バルカン連盟の代表問題
(7) ISK 書記バラバノフの取扱問題
(8) フランスの2 代表問題
3 リュトヘルスの報告・発言・動議
(1) アメリカ赤衛軍運動の紹介
(2) オランダの運動等の情勢報告
(3) 中間層および植民地問題についての発言
(4) 日本社会主義者からの決議・書簡の動議提出
採択された決議/メイデー決議とシベリア出兵反対書簡/
文言の改変/文言のさらなる改変/歴史的文脈
第4 章 コミンテルンの初期活動
1 創立大会での組織構想
2 執行委員会の創設と運営
3 バラバノフ問題
4 外国資金援助試論
(1) 創設前夜の外国資金援助
(2) 資金援助に向けての準備
(3) 外国資金援助一覧表
(4) 在外ビューローへの資金援助
キエフのビューロー(南部支部)/スカンディナヴィア委員会
(ビューロー)/アムステルダム・サブビューロー/西欧書記局
(5) 資金援助問題の新たな検討課題
第5 章 コミンテルン・アムステルダム・サブビューローの残された問題
1 現地創設
2 議会主義と労働組合問題
(1) コミンテルンによる方針転換と解散決定
(2) アムステルダム・サブビューローの方針の一貫性
(3) 『共産主義内の「左翼主義」小児病』への反論
3 解散と内部分裂
4 アムステルダム・サブビューローの「功罪」
終 章 第3 インタナショナルへの道の「終焉」
1 『「左翼主義」小児病』批判と「 未来の至るところでの『ボリシェヴィズム』」
2 ホルテル - トロツキー論争
(1) ホルテル,トロツキー,ブハーリンらの主張
(2) ホルテルらによるトロツキーおよびブハーリン批判
補 章 コミンテルン・パンアメリカン・エイジェンシーの活動資金問題
はじめに
1 受領資金総額とその配分・支出先
2 カナダ関係支出
3 南米行支出
4 メキシコでの支出
5 アメリカ合州国での支出
あとがき
文献目録
英文目次
人名索引