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二十世紀ドイツの教育科学ドイツにおける教育学の発展史

ドイツにおける教育学の発展史 二十世紀ドイツの教育科学

A5判 386ページ 上製
価格:7,480円 (消費税:680円)
ISBN978-4-7985-0362-2 C3037
奥付の初版発行年月:2023年12月 / 発売日:2023年11月中旬

内容紹介

明治期、日本において教育思想・教育論としてのドイツの教育学は注目されてきたが、アカデミックな学問としての教育科学の実態はあまり知られていない。さらに第二次世界大戦、ドイツは東西へと分割されたが、主に紹介されるのは西ドイツの教育学のみであり、東側の動きは部分的にしか伝えられてこなかった。
本書では約280名の教育学者に焦点があてられ、教育学の発展過程が解明されるとともに、その過程が分断後の東西ドイツ双方でどのように進行したのか、そして教育学者たちのナチズムへの関与が戦後、それぞれの国でどのように扱われたのか、明らかにされる。

著者プロフィール

クラウス゠ペーター・ホルン(クラウスペーターホルン)

(Klaus-Peter Horn)
ドイツ・ゲッティンゲン大学教授(一般的教育学・教育史学)。フランクフルト大学にて博士号を取得した後、ベルリン・フンボルト大学にて教授資格審査通過。ベルリン・フンボルト大学にて助手や私講師などを務めた後、2004年にテュービンゲン大学教授となり、2011年より現職。2008年度の後期には日本学術振興会外国人招へい研究者として東京学芸大学に滞在。ナチズム期の教育学(教育科学)に関する著作や、ドイツにおける教育学(教育科学)の発展過程に関する論文・書籍を数多く出版。
日本人研究者との共同研究の成果として次の著作がある。Horn, K.-P., Ogasawara, M., Sakakoshi, M., Tenorth, H.-E., Yamana, J. & Zimmer, H.​ (Eds.). (2006). Pädagogik im Militarismus und im Nationalsozialismus: ​Japan und Deutschland im Vergleich​​. ​Bad Heilbrunn: Klinkhardt.

鈴木 篤(スズキ アツシ)

九州大学大学院人間環境学研究院准教授(教育動態論)。博士(教育学)。大阪大学人間科学部卒業、広島大学大学院教育学研究科修了。兵庫教育大学教員養成スタンダード開発室、大分大学教育福祉科学部・教育学部での勤務を経て現職。ドイツ教育学、S. ベルンフェルトやN. ルーマンの理論を基盤に、学校教育や教育実践、教育学史の研究に取り組む。
 書籍に『日本における教育学の発展史─教員の集合的属性に着目したプロソポグラフィ─』(九州大学出版会、2023年)、近著論文に「科学システムとしての教育学と教育実践の関係性再考―N.ルーマン科学論における学問領域の細分化過程と観察の多元性に関する議論から」(『教育学研究』、2022年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

訳者まえがき
現在の国境線から見る各大学の所在地

第1章 導入

 日本の読者に向けた解説:教授の職階について
 日本の読者に向けた解説:教育学と教育科学の区別について

第2章 ヴァイマル共和国およびナチス政権期の研究大学における教育科学、1919年から1945年

 1 大学所在地ごとの全体像
 (1)バーデン
 日本の読者に向けた解説:退職・休職の様々な形態について
 (2)バイエルン
 (3)ブラウンシュヴァイク
 (4)ハンブルク
 (5)ヘッセン
 (6)メクレンブルク
 (7)プロイセン
 (8)ザクセン
 (9)テューリンゲン
 (10)ヴュルテンベルク
 (11)その他の「ドイツ」大学

 2 体系的分析
 (1)教育科学担当のゼミナール・インスティテュート・部門
 (2)出発点:1919年における教育科学担当の教授職
 (3)拡大期:1920年から1932年までの教育科学担当の教授職
 (4)収縮期:1933年から1945年までの教育科学担当の教授職
 (5)ナチス政権期における教育科学:特異な形態(Singuläre Figuration)
 (6)領域再生産と博士論文指導教員
 (7)ディシプリンの発展の進展:1919年から1945年におけるディシプリンの発展傾向
 (8)1944/45年の状況

第3章 ソヴィエト占領地域とドイツ民主共和国の研究大学における教育科学、1945年
から1965年

 1 大学所在地ごとの全体像
 (1)ベルリン
 (2)ドレスデン
 (3)グライフスヴァルト
 日本の読者に向けた解説:新教員(Neulehrer)について
 (4)ハレ-ヴィッテンベルク
 (5)イェナ
 (6)ライプツィヒ
 (7)ポツダム
 (8)ロストク

 2 体系的分析  
 (1)1945/46年の教育科学担当の教授たち
 (2)1945/46年から1955年までの教育科学担当の教授たち
 (3)1956年から1965年までの教育科学担当の教授たち
 (4)領域上の再生産と博士論文指導教員
 (5)教授資格審査、ドイツ社会主義統一党の所属、地域主義、教育科学の内的分化:1965年までのソヴィエト占領地域ならびにドイツ民主共和国におけるディシプリン発展の傾向

第4章 西側占領地域とドイツ連邦共和国の研究大学における教育科学、1945年から1965年

 1 大学所在地ごとの全体像
 (1)バーデン・ヴュルテンベルク
 (2)バイエルン
 (3)ベルリン
 (4)ハンブルク
 (5)ヘッセン
 (6)ニーダーザクセン
 (7)ノルトライン・ヴェストファーレン
 (8)ラインラント・プファルツ
 (9)ザールラント
 (10)シュレスヴィヒ・ホルシュタイン

 2 体系的分析
 (1)1945年以降の「戦前期教授たち(Altprofessoren)」
 (2)1945年以降の新たな着任・任用者の全体像
 (3)1945/46年から1958年までの新たな教授たち
 (4)付説:「科学機関拡充のための学術審議会答申(Empfehlungen des Wissenschaftsrates zum Ausbau der wissenschaftlichen Einrichtungen)」
 (5)1959年から1965年までの教育科学担当の新たな教授職
 (6)ナチ党への所属、東方難民(Ostflüchtlinge)、再帰国者(Remigranten)
 (7)領域の再生産と博士論文指導教員(Doktorvater)
 (8)制度面・スタッフ面での自律化:1965年以前のドイツ西側地域におけるディシプリンの発展

第5章 教育科学の20世紀における制度化と地位向上、細分化と自律化


訳者解題「ドイツにおける教育学の理論発展と日本の教育学にとっての意味」  
解説「学問の地盤が揺れ動くとき──教育学史研究と東西ドイツ統一」(山名 淳)  
原著者あとがき  
訳者あとがき  
史料と引用参照文献一覧  
人名索引


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