日本比較法研究所研究叢書110
ローマの法学と居住の保護
価格:7,370円 (消費税:670円)
ISBN978-4-8057-0810-1 C3332
奥付の初版発行年月:2017年02月 / 発売日:2017年02月上旬
古代ローマの元首政期(前1世紀〜後3世紀前半)のローマ市では、人口の増大により都市の高層化が進んでいた。従来の住宅は1・2階建てあったが、この時代になると20メートルをこすインスラと呼ばれる高層建築が出現する。この変化は、ローマ市に住む人々の居住環境に大きな変化を及ぼした。ところで、この時代のローマの法学は、6世紀に編纂された「ローマ法大全」を通して後世に伝わり、現代の法学の基礎を形成した。法的にみると、居住者は、建物所有者、用益権者、賃借人、無償居住者にわけることができる。本書は、こうした人々の居住がいかに法的に保護されたという観点からこの時代の法学の全体像を捉え、これを通じてローマ法の実像の解明を目指すものである。
森 光(モリ ヒカル)
中央大学法学部准教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
〈主要目次〉
第1章 序論
第2章 古代ローマの住居と居住者
第Ⅰ部 所有者
第3章 総説
第4章 対物訴権
第5章 占有関係
第6章 都市地役権
第7章 相隣関係
第8章 不法行為
第9章 刑罰
第10章 公法上の規制
第11章 第Ⅰ部小括
第Ⅱ部 用益権者・使用権者
第12章 総説
第13章 用益権者の権限
第14章 建物の維持管理
第15章 所有者とのその他の関係調整
第16章 使用権
第17章 用益権の「物権」化
第18章 第Ⅱ部小括
第Ⅲ部 賃借居住人
第19章 総説
第20章 賃貸人訴権、賃借人訴権
第21章 引越の特示命令
第22章 「賃借権」の「物権」化
第23章 第Ⅲ部小括
第Ⅳ部 無償居住者
第24章 住居の遺贈
第25章 住居の無償提供
第26章 居住権の「物権」化
第27章 第Ⅳ部小括
第28章 結論
―ローマ法学と居住の保護