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鳥の行動生態学

鳥の行動生態学

A5判 314ページ 並製
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-8140-0000-5 C3045
奥付の初版発行年月:2016年03月 / 発売日:2016年03月下旬

内容紹介

いろんな姿形で多様な暮らしをしている鳥たちを観察していると,たくさんの「なぜ?」が浮かんでくる。かれらがどのように環境に適応して生きているのか,観察はもちろん,遺伝子解析やバイオロギングなど最新の技法を駆使して,つがいで子育てをしたり,托卵したり,道具を使って餌を採るといった鳥の行動をめぐるさまざまな「なぜ?」に迫る。

著者プロフィール

江口 和洋(エグチ カズヒロ)

福岡女子大学・非常勤講師

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

口絵
はじめに

第1章 鳥類における血縁認知
江口和洋
1.血縁の認知と識別──定義に関わる論争
2.血縁識別の機能
3.血縁認知の生じるメカニズム
4.連想学習に基づく血縁認知
5.表現型の一致に基づく血縁認知
6.血縁認知と MHC

第2章 対称性のゆらぎと性淘汰
上田恵介
1.非対称性の種類
2.ツバメのメスの選り好み──野外での証拠
3.キンカチョウのメスの選り好み─飼育下の鳥での証拠
4.FAは個体の質を正直に反映しているのか
5.複数の飾りを持つ雄における FAの意味
6.種間の違いより FAが重要─シリアゲムシの場合
7.ヒトではどうか ?

第3章 鳥類の配偶システムとつがい外父性
油田照秋
1.鳥類の配偶システム
2.つがい外父性(Extra-pair paternity)
3.つがい外父性研究のテーマ
4.オスのつがい外父性の適応的機能とコスト
5.メスのつがい外父性の適応的機能とコスト
6.適応的機能仮説における課題
7.今後の展望

第4章 鳥類における雄から雌への給餌行動の機能
遠藤幸子
1.つがい形成前の雄から雌への給餌の機能──つがい相手選択仮説
2.つがい形成後から産卵期における雄から雌への給餌の機能
3.抱卵期における雄から雌への給餌の機能
4.雄から雌への給餌行動の進化
5.給餌行動研究の今後の展望

第5章 条件的性比調節
山口典之
1.子の出生性比とその適応的調節
2.鳥類おける条件的性比調節の実証例
3.性比を調節する生理メカニズム
4.到達点と今後の展開

第6章 鳥類の子殺し
高橋雅雄
1.親による子殺し
2.非血縁子殺し
3.協同繁殖種での子殺し
4.子殺しに関する比較研究
5.今後の研究の展望

第7章 騙しを見破るテクニック 卵の基準,雛の基準
──托卵鳥・宿主の軍拡競争の果てに
田中啓太
1.騙しの信号のモダリティ──似ている卵,似ていない雛
2.卵の基準──卵擬態
3.軍拡競争の果て
4.托卵鳥研究における IT革命
5.雛の基準─識別能の欠如?
6.托卵鳥研究におけるパラダイムシフト

第8章 鳥類の採餌行動に見られる知能的行動
三上かつら
1.カレドニアガラスの道具加工
2.ハシボソガラスのクルミ割り
3.独学か社会から学ぶか
4.種を越えた観察学習
5.空間記憶とエピソード記憶
6.知能的行動を支えるメカニズム
7.状況が知能的行動を促す?

第9章 鳥類の警戒声─悲鳴か情報伝達か?
鈴木俊貴
1.動物言語学の夜明け
2.鳥類の鳴き声の意味を探る
3.ヘビを示す警戒声
4.托卵鳥を示す警戒声
5.危険の度合いに応じた鳴き声の変化
6.意図的な情報伝達

第10章 さえずりを他種が聞くと何が起こるか
──形質置換,そして種認知への影響
濱尾章二
1.さえずりをめぐる性淘汰と自然淘汰
2.さえずりを形成する生態的要因
3.同所的に分布する他種の影響─形質置換
4.アオガラの研究例
5.形質置換の駆動力
6.形質置換と生殖隔離
7.形質置換の波及効果で起こる生殖隔離
8.今後の展望

第11章 行動と生理
──ストレスホルモンによる“異常事態”への応答
風間健太郎
1.野外環境の変動とストレス─“異常事態”との遭遇
2.ストレスホルモン「コルチコステロン」
3.コルチコステロンの作用──高濃度分泌は“諸刃の剣”
4.野外の鳥類におけるコルチコステロンのはたらき
──海鳥を例として
5.コルチコステロン研究のこれから

本書で取り上げられた主な鳥類の分類的位置
索引

コラム1 ミズナギドリ類のにおい探知能力 江口和洋
コラム2 性的二型 油田照秋
コラム3 セーシェルヨシキリの協同繁殖 江口和洋
コラム4 卵の青や緑の色は性選択形質 江口和洋
コラム5 カラスの餌落とし 江口和洋
コラム6 ヨーロッパにおける Ficedula属の種分化 江口和洋


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