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アウグスティヌスの聖書解釈学「記号」と「言語」

プリミエ・コレクション65
「記号」と「言語」 アウグスティヌスの聖書解釈学

A5判 362ページ 上製
価格:4,840円 (消費税:440円)
ISBN978-4-8140-0013-5 C3310
奥付の初版発行年月:2016年03月 / 発売日:2016年04月上旬

内容紹介

キリスト教世界最大の哲学者アウグスティヌスを、近年注目を浴びている言語・記号理論と、聖書解釈学の視点から論じる。独自の記号理論を有しながら、同時にその聖書解釈がキリスト教的生にも深く関わっているこの稀有なる思想家の本質を明らかにする。

著者プロフィール

須藤 英幸(スドウ ヒデユキ)

京都大学文学部・文学研究科非常勤講師。
福島県生まれ。2003年、Fuller Theological Seminary, Master of Arts in Theology修了。2011年、京都大学大学院文学研究科思想文化学専攻(キリスト教学)博士後期課程研究指導認定退学。京都大学博士(文学)。

主な著作
“The Problem of Conversion in Ad Simplicianum: Augustine's Proposal of a Suitable Call (vocatio congruens) for the Human Condition," Patristica: Journal of the Japanese Society for Patristic Studies, Supplementary (vol. 3), 2011.
「アウグスティヌスにおける聖書解釈学と生の展開」『中世哲学研究——Veritas』第31号,2012年。
「アウグスティヌス『三位一体論』における内的言葉」『基督教学研究』第33号,2013年。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 論
  第一節 探求すべき問い
  第二節 『キリスト教の教え』の聖書解釈学
   一 主題をめぐる研究史
   二 意図される読者をめぐる研究史
   三 執筆時期とレニングラード写本
   四 内容と構造
   五 用語としての聖書解釈学
  第三節 言語の媒介性と本書の目的と方法
   一 言語の媒介性をめぐる研究史㈵(一九八〇年以前)
   二 言語の媒介性をめぐる研究史㈼(一九八〇年以降)
   三 本書の目的と方法

第I部 アウグスティヌスの記号理論
  第I部のアプローチ

第一章 『教師論』の記号理論
  第一節 問題と方法
  第二節 『教師論』の概略
   一 記号理論と照明説
   二 言葉と思考との乖離
   三 真の内的教師
   四 単語単位としての記号
  第三節 『問答法』との対比
   一 言葉の分類
   二 理性的判断と内的真理
   三 記号と事柄の関係性の内的把握
   四 言葉の分類と口述可能なもの
  第四節 アリストテレス『命題論』との対比
   一 記号理論の構造対比
   二 命題の意味と多義性の問題
  第五節 『教師論』の照明と言葉
   一 命題の意味と権威
   二 事柄の権威と言葉の権威
   三 言葉の権威と言葉への懐疑
  第六節 結語

第二章 『問答法』の記号理論
  第一節 問題と方法
  第二節 ストア学派の論理学
   一 ストア派言語論のシニフィアン
   二 ストア派言語論のシニフィエ
   三 ストア学派の記号論
  第三節 『問答法』の記号理論とその適用
   一 『問答法』の概略
   二 『問答法』の言語理解
   三 アウグスティヌスによる記号理論の適用
  第四節 マークス説とジャクソン説
   一 アウグスティヌスの独自性をめぐるマークス説
   二 ジャクソンによるマークス批判とその検証
  第五節 結語

第三章 『キリスト教の教え』の記号理論
  第一節 問題と方法
  第二節 『キリスト教の教え』の三極構造をめぐる諸説
   一 三極構造をめぐるマークス説とシモーネ説
   二 三極構造をめぐるジャクソン説
  第三節 『キリスト教の教え』の記号理論と聖書解釈学
   一 単語単位の記号理論と文章単位の意味理論
   二 受信型記号と発信型記号
   三 聖書解釈学と三極構造
  第四節 結語

第II部 アウグスティヌスの言語理論
  第II部のアプローチ

第四章 『教師論』の言語理論と『三位一体論』の内的言葉
  第一節 問題と方法
  第二節 『教師論』の主題とその意味理論
   一 『教師論』の主題と構成をめぐる諸見解
   二 『教師論』の言葉の二重性
   三 『教師論』の意味理論
  第三節 『三位一体論』の内的言葉
   一 『キリスト教の教え』の「心に保持する言葉」
   二 『三位一体論』の内的言葉と受肉的音声
   三 『三位一体論』の内的言葉と愛
  第四節 結語

第五章 『シンプリキアヌスへ』の言語理解と『キリスト教の教え』
  第一節 問題と方法
  第二節 『シンプリキアヌスへ』の言語理論をめぐる転換
   一 『ローマ人への手紙諸論題の注解』の回心構造
   二 『シンプリキアヌスへ』の「相応しい呼びかけ」
   三 「相応しい呼びかけ」をめぐる諸見解
   四 「相応しい呼びかけ」をめぐる諸見解の検討
   五 「相応しい呼びかけ」による回心構造と自由意志
   六 『シンプリキアヌスへ』の言語理解
  第三節 『キリスト教の教え』の言語理論とその恩恵的前提
   一 『キリスト教の教え』序論の言語理解と恩恵
   二 『キリスト教の教え』と表現内容としての魂の動き
   三 言語理論の発展性をめぐるアリーチとフレテレンの見解
   四 照明の方法と言語の方法
  第四節 結語

第III部 『キリスト教の教え』の聖書解釈学
  第III部のアプローチ

第六章 『キリスト教の教え』の聖書解釈学とクライテリア
  第一節 問題と方法
  第二節 『マニ教徒に対する創世記』のクライテリア
   一 アンブロシウスの説教と馬鹿げたこと
   二 『マニ教徒に対する創世記』のクライテリアとペパン説
  第三節 『キリスト教の教え』のクライテリア
   一 『キリスト教の教え』のresとsigna
   二 多義記号の解釈とその意義
   三 『キリスト教の教え』のクライテリアとマルー説
  第四節 『キリスト教の教え』のクライテリアの特殊性
   一 クライテリアの転換なのか
   二 テスケ説とクライテリアの特殊性の原因 I
   三 テスケ説とクライテリアの特殊性の原因 II
  第五節 『キリスト教の教え』のクライテリアとキリスト教共同体
   一 キリスト教共同体のres
   二 キリスト教共同体のsigna
  第六節 結語

第七章 『キリスト教の教え』の聖書解釈学と生の展開
  第一節 問題と方法
  第二節 『キリスト教の教え』の生の展開
   一 七段階の生の展開
   二 知識の第三段階
  第三節 字義的解釈と情念
   一 字義的解釈の位置づけ
   二 情念と悲嘆
  第四節 比喩的解釈と喜び
   一 比喩的解釈の位置づけ
   二 喜びによる悲嘆の克服
   三 比喩的解釈の解釈学的役割
   四 『詩編注解』の比喩的解釈
  第五節 結語

結 論
   一 媒介としての言語の可能性
   二 聖書解釈学における人間の現実的状況と言語表現
   三 アウグスティヌスの聖書解釈学をめぐる研究の展望

あとがき
引用文献表
  一次資料
  一次資料(翻訳書)
  二次文献(若干の参照文献を含む)
  索引(人名・事項)


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